三女のキンダーガーデン入学前夜のことです。週五日終日の本格的な学校生活の始まり。三女本人はもちろん、兄姉皆興奮気味です。そこへ長男が言いました。
「おばあさんになってリタイヤするまで、一生続くワークのはじまり~はじまり~! 明日はそんな人生の第一日目なわけだ」
シニカルな調子で。
「う~ん、人生ってね、そんな言葉で括ってしまうよりも、もっとずっといいものよ」と私。
中学生になり、かなり張り切って頑張っている様子の長男。それでも、ふと大人びた表情を見せながら言うことがあります。
「こうして初めのうきうきした楽しさも、いつか慣れて薄れていくんだよね」
「先生の話きちんと聞いて、レポートや宿題を締め切り前に提出して、いい成績とって、高校行って、やりたいことのできる大学行って、したい仕事について・・・、それがいわゆる『いい人生』?」
この詩は、そんな長男に向けて作ったものです。
『息子へ、Life is Beautiful』
あなたがほんの少し垣間見ている世界を
私はよく知っている
頑張ってAとった 念願の学校に入った したい仕事に就いた 愛する人と一緒になった 可愛い子等に囲まれ 衣食住不自由なく暮らし・・・
それでも
ぽっかりと空いた穴
虚無に漂う
My son
意味を 目的を 見失い
虚無に漂い 虚無に呑まれ
死への扉に手をかけた
その先に見出したものを 私はあなたに伝えたい
全ての意味が崩れ落ち そこに見出した感覚を
私はこの感覚 この温もりによって 今を生きている
私もあなたも いつかこの世からいなくなる
一時 この世にこうして生きている意味を 一度崩れ落ちた意味を再び築くとするならば
それは こうして生かされている自分を 最大限使うため
自身に与えられたギフトを磨き 少しでも周りへと還元していくため
誰もが中継者として 未来の世界を創造するために この世に生かされている
My son
辺りは輝きに満ちている
何一つ手にとっても そのきらめきを宿していないものなどない
目を開いて まずは その足下に咲く花を見て
Life is beautiful