コミュニティー

多様な道筋を包み込んで

091次男と二人公園な昨日の午後。遊具から少し離れ、木々に囲まれた森の入口で、二人の女の子が遊んでいる。そばでプードルを連れて見守るお母さんらしき人。次男が近くへ行き、じっと見つめている。そして少し離れた所にいた私のところへ来て、「○○ちゃん(娘の一人のクラスメート)のね、妹達だよ」と。

 

「ハロ~」って言っておいでよというと、走っていって手を振っている。次男の後ろに付いて行き。「お母さんらしき人」というのは、女の子達のお父さんの妹Lさん。共働きの両親の家に住み込み、いつも娘ちゃん三人の面倒を見ている。

 

今週は冷え込んだわね、ようやく少し緩んでこうして外で遊べるわと、去年の夏の終わりに他州から引っ越してきたLさん。180センチほどあるスレンダーな身体に、アラスカの冬ではあまり見ることのない、茶色のレザーのジャケットを着込んで。

 

女の子達二人、次男にまつぼっくりを差出し、いっしょに「スープ」作ろう!と。まつぼっくりを探してきては、水溜りに入れる三人。「ハニー、そこに座ると濡れちゃうわよ、あらあらスープに髪の毛が入っちゃう」そう声をかけ見守るLさん。

 

「あなたみたいな叔母がいて、娘ちゃん達ももちろんお兄さん夫婦も、本当に幸せね」そう言うと、「私もこの子達と一緒に過ごせて、育児って大変だけれど、よかったと思う。でも実はね、この夏に他州へ戻ることにしたの。学校に戻ってね、外科技師を目指すことにしたのよ」と。若く見えるとは思っていたけれど、よく話を聞くと高校を卒業してまだ四年ほど!なのだそう。高校が終わり、バイトしながら旅をしたり、はるばるアラスカにやってきて姪達の面倒を見たりと「少し休憩」して、よし、そろそろ始めるぞ!とリフレッシュしたと。

 

「周りの友達はもうすぐ大学卒業したり、ロースクール(四年生大学の後弁護士目指して進む道)に行き始めたりとしてるけれど、私にはこんな時が必要だったわ」とにっこり。

 

友達の中には、高校卒業後、オーストラリアやニュージーランドやイギリスやフランスやイタリアなどで暮らし、そろそろ大学へ行こうかなと思っている子も何人かいると。

 

娘ちゃん達のお父さんお母さんも、弁護士と心理学者を目指しインターンのためアラスカに来ている。この夏、皆で他州の実家近くに戻るのだそう。祖父祖母や他の親戚の助けを借りつつ、お父さんお母さんLさん、目標に向かって。

 

あの子達が小さな頃から面倒みることはあったけれど、同じ家に住むというのは初めてだったから。「三人の小さな子がいる家」というのがどういうものか、よ~く分かった。すごいの、静かな時というのがないのよ! まだ当分はないと思うけれど、子供を持つ準備、これで少しはできたのかもしれないな、兄に感謝してるわと。

 

一直線に進む人々もいれば、あちらこちらに寄り道しながら様々な体験を積みつつ、徐々に道を見出していく人々もいる。こうして「多様な道筋」を包み込めるシステムというの、いいなと思う。

 

ぐるぐると「まつぼっくりスープ」をかき混ぜる三人。

 

いつもにこにこと嬉しそうな娘ちゃん達、子供達は別れを悲しがるだろうけれど、他州へ行っても、皆でますます幸せにね、春の陽だまりに、そう思いつつ。

 

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