つわり

つわり

Pregnant_woman2   英語で「つわり」は「morning sickness:朝の病」と言います。朝の空腹時に気持ち悪さを感じることが多いということで、そう呼ばれるようになったようです。こちらの産婦人科では、つわり対策として枕元にクラッカーなどを置き、朝目が覚めたらとにかく口に入れる、日中もスナックを携帯し症状が出たら口に入れるといい、などとアドバイスされます。

 

つまりこちらの「つわり」は、日本の「食べづわり」を指しているのかもしれません。

 

日本では「食べづわり」というのは「つわり」の一種であって、普通「つわり」というと気持ち悪くて思うように食べられない症状を指します。長男の妊娠七ヶ月までを日本で過ごした私にとって、「とにかく口に物を入れてみて」というアドバイスは、当時随分と的外れであるように感じました。周りの妊婦がキャンディーやクラッカーを持ち歩き、時折顔をしかめては口に入れ、また何事もなかったように過ごしている様子に何度か出会い、こちらの人々とは身体の作りが違うのだろうかと思ったものです。

 

こちらで「食べれば楽になる」といった程度に捉えられているつわり、実際、周りの知り合いを見回しても、日本人の方がつわりで苦しむ場合が多く、その度合いも重かったように感じています。世界中様々な地域でのつわりの例を比較した体系的な研究は今のところないようですが、ひょっとして文化や人種によって、つわりの重さに違いというのはあるのかもしれません。
「つわり」がなぜ起こるのかは、ホルモンの変化、アルカリ性から酸性への体質変化と色々な説があるようですが、実際のところはまだよく分かっていません。原因ははっきりせずとも、つわりの時期になると、とにかく車酔いのような症状が続き、嗅覚が研ぎ澄まされ、微かに漂う匂いにさえ敏感に反応します。

 

私自身は吐き続けたり点滴を受けるほどのつわりは体験したことがないのですが、それでも朝から晩まですっきりとしない気持ち悪さが続き辛かったのを覚えています。食べられる物と食べられない物とがはっきりと分かれ、それでもお腹をすかせた上の子達のためには、匂いを嗅ぐだけでも吐き気を催す食材を毎日のように調理する必要があり、耐え切れなくなると窓の外に顔を出し、数分かけて落ち着いてはまた調理に向かう、そんなことを繰り返す日々でした。

 

「十四週くらいまでに八十パーセントの妊婦のつわりが治まる」

 

こちらの産科医の言葉を何度も思い出しながら一日一日を過ごしました。私の場合は結局十七週ほどまで続いたのですが、出産直前まで続く方も稀にいるとは聞きます。

 

私自身助けになったのは、気持ち悪く感じる匂いからはなるべく遠ざかる、新鮮な空気を吸う、散歩など適度に身体を動かす、生姜を食すなどでした。

 

そしてお腹の温もりに手を当て、つわりの症状があるということは、お腹の中の命が無事育っているという証拠、こうして赤ちゃんが一日一日と大きくなっている、そう思うことが、癒しや励みになりました。

 

 

今つわりの最中にある方、何も受け付けられないほどひどい症状の場合は医療の力を借りつつ、どうぞ普段のペースのようにはいかないと開き直って、赤ちゃんを抱くその日を楽しみにされてください。ふっと軽くなるときが必ずきます!

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