日常

長女の診断を前に

509px-AsthmaInhaler十二歳長女、四年ほど前気管支炎になり、吸入器にお世話になったことがあるのだけれど、それ以来、時々痰がからまったような軽い咳をすることがある。全く出ない日も多いけれど、一時間おきほどの日も。より重い症状のある夫が、「ハウスダスト・アレルギー」と診断され、「アレルゲン免疫療法」を始めてからすっかり症状がなくなったので、試しにと、アレルギー検査に出かけた。

 

医師助手(Physician Assistant)という男性が、診察して下さる。長女の胸と背中の音を聞き、その後受付のお姉さんが、肺活量を調べて下さる。

 

お姉さん:これ口にくわえて、吸って吐いてを繰り返して。
長女:深い呼吸? 
お姉さん:そうねこれくらいかな、ふ~。(実際に吐いて示してくださる)
(真似をする長女)
お姉さん:次はこうやっては~って。
長女:それは強く吐き出すということ? 
お姉さん:そうそう強くね。
長女:長くということでもありますか? 強く短く?
お姉さん:う~ん強くね。
(は~と長女)
お姉さん:じゃあ次はこんな感じで、ふ~、できるだけ長くもうこれ以上吐けないと出しきったところまで。
長女:弱くてもいいから長くということですか?
お姉さん:そう、長くね。
(ふ~と長女)
お姉さん:じゃあ初めからもう一回繰り返してみようか。

 

隣でお姉さんと長女のやりとり見ていて、わ、分かりくい・・・と思わずつぶやく私。

 

診察室に戻ると、医師助手の男性が、不快な症状を一から五までのスケールで表してね、と様々な質問。咳で診察に来たのだから、この不快度は高いだろうねえ、胸の辺りに痛み感じることあるでしょ? 苦しくなったりすることもあるに違いないね。長女、「そういえば、この前、そういう風に感じることもあったように思う。」

 

そして長女の顔をじっと見つめて、「君はね、喘息なんだよ」と。さっき聴診器をあてた時も、かなりぜーぜーという音(wheezing)が聞こえたしね。(そう言いながら受付のお姉さんがしてくださった肺活量の結果に目を通す)ああ!なんて数値だ! 今すぐ吸入器を出すからね。まずは、このぜーぜーを取り去るために、一日四回吸入器を使って下さい、念のため胸のレントゲンを一週間以内に撮ってくださいね。まあレントゲンは念のためであって、引っかかることはないと思いますけど。あとレスキュー吸入器というのも出しますから。呼吸困難に陥ったら用いてください。一週間して肺の雑音がきれいになったら、アレルギーがあるか調べてみましょう。

 

「一日四回」と書かれた吸入器とレントゲンを撮るための紹介状を持って車に。長女、「私喘息だったんだねえ」とぽつり。「近いし、予約なしでOKだって言ってたし、レントゲン今撮りに行こうよ」と。

 

う~ん、ママね、しっくりこない・・・。肺活量検査のややこしさ、四年前気管支炎になった時、最後の手段といった様子でかかりつけの小児科医が吸入器を出して下さったこと。楽になったら止めていいからねと。そんな話をしつつ、この医師助手の指示に従う前に、かかりつけの小児科に相談してみようということで同意。

 

帰宅し、長女の話を聞いた長男、「その人に今日『喘息』と言われなかったら、きっと自分が喘息だなんて一生気がつかなかっただろうね」と。そう、それほど喘息らしくない喘息。

 

 

 

翌日、小児科医へ。かかりつけの小児科医と同じ小児科グループの医師、前日いただいた吸入器を見て一言、「これは慢性喘息の薬です。例え喘息であっても、私だったら初めからこんなものは出しません。あなたがこれを娘さんに与えなくて、本当によかったです」と。四年前の気管支炎以来、吸入器を使ったこともないこと、それ以来風邪をひいてもそこまで重くなったことはないこと、時々少し痰絡み咳以外は、毎日スポーツもし、いたって元気に過ごしていることなど確認し、胸と背中に聴診器。「何のぜーぜーといった音も聞こえませんよ」

 

この女医さん、持参した吸入器、ゴミ箱に投げ捨てたあああ~! 

 

そして私の方へ振り返り、「同意しますか?」と。大きく頷く私。

 

鼻や喉も調べ、「何の薬もいりません」ときっぱり。

 

そして、様子を見守り、もし不快感がひどくなるようなら、また診察に来てくださいね、アレルギーテストを受けてみるといいですよと。

 

最後、「さあ、よかったわね、思いっきり週末楽しむのよ!」と長女の背中を叩き、診察室から送り出してくださった。

 

これほど極端な見解の違いもすごいことですが、「何だかおかしいな」と思ったら、二度三度意見を聞いて回ることの大切さを、身にしみて思いました。

 

 

 

印象的だったのは、

 

その医師助手の診察室、日本人形や中国の置物や、オリエンタルなものがたくさん置かれていて、場所も「ウェルネスセンター」というような名前で、西洋医学バリバリとはまた違う対処局所でないホーリスティックなアプローチを目指しているようでもあり。また評判もいいようで、医師二人もいるそのセンターの待合室は満員、実際、夫もその男性による「アレルゲン免疫療法」で、症状が消えたのです。

 

一方この小児科医は、こちらの一般的な医者、それでもいつも薬をほとんど出さず、「自然治癒力」の力を最大限用いたいという姿勢。

 

「バイアス」を脱ぎ捨てて、その時その場の「より本当のこと」を見つめていけたらなと思わされました。

 

 

 

その後、長女本人が、女医さんの「全く問題なし」というのにはどうしても同意できない、やっぱり不快感があるので、第三の意見が聞きたいと。

 

そこで「アレルギーセンター」に連絡すると、予約を取るには「小児科医の紹介」が必要ということで、再びかかりつけの小児科グループへ。今度はまた別の女医さんが診て下さった。

 

聴診器をあて、「少しぜーぜー聞こえますね」と。

 

ということで、「アレルギーセンター」に診てもらうまでには多分二ヶ月近く待つことになるだろうから、その間にもし不快感が強くなったら使ってくださいねと、吸入器(慢性喘息用とはまた違う種類のもの)を出して下さった。そして、鼻の通りをよくするために、薬局などで購入できる鼻スプレーもいいですよと勧めて下さった。

 

私喘息だったんだ、から、私喘息なんかじゃなかったへと一日でがらりと変わり、それでも何だか不快感はあるしと再び診てもらうと、再び吸入器をいただき。長女もたった数日間でのこの診断の移り変わり様に、衝撃を受けてました。将来、彼女本人や彼女の子供や身の回りの人々が様々な診断を前にした時、どう動いていったらいいのか、学ぶ機会になったかなと思ってます。

 

周りの喘息持ちの方に聞いたり、少し調べてみると、喘息の軽いものや、咳喘息といわれるものは、本人も周りも気づかないまま過ごす場合も多いとのこと。それでも徐々に重くなり肺に負担がかかり過ぎる前に、しっかり治しておいた方がいいという意見も。また夫の例のように、アレルゲンを薄めたものを身体に取り入れ抗体を作るよう働きかける「免疫治療」で、すっかり喘息のような症状がなくなることもあり。

 

また遺伝が大きいというのも定説のようです。夫の家系には喘息持ちが何人か。

 

またアレルギーについては、片親がアレルギー持ちだと50パーセント、両親だと75パーセントの確率で子供にアレルギーが出る、また何らかのアレルギーを持っている人は、目の下に「くま」が出易いというようなことを、最初の医師助手の方がおっしゃってました。夫も私も軽いアレルギー持ち。

 

念のためにと出していただいた吸入器は、今のところ使うことはなさそうですが、四月終わりの「アレルギーセンター」での診察まで、様子を見守っていきます!

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