学習方法の違い

「同時処理優位タイプの子」の成長

長男十四歳、昨日アラスカ大学の授業を取るための試験を受けました。英語と数学のみで、三時間以上の試験。結果はその場ですぐに知らせていただけるのですが、英語は大学の授業をすぐに取ってもいい、数学はあと一コースマスターするならば、大学レベルのものを始められるとのこと。高校数学を終了していないので、全く知らないコンセプトや記号などもちょこちょこあったようです。頑張ればこれから二年間で、四年制大学「学士」を修得できますよと。

 

長男、普段の学校の成績がオールAといった「成績優秀者」では決してないんですね。Bや時にCも混ざったことがあります。それでも全米テストなどでは上位二パーセントを取ってきたり、こうしたテストには強かったりする。

 

周りから見て、成績が取れないのは努力が足りないから!と怠けているように見えなくもないのですが、「もっと努力しなさい!」とだけ言われても、なかなかうまくいきません。

 
 

長男を見てきて、彼が力を発揮するのに役立つと気がつくのが:

1.全体像の把握

2.インテンシティー(強烈さ)

3.自主性

 
 
 

1.全体像の把握

 

全体像が見えると、俄然やる気を出します。例えば、先の見えない「暗記」や「ドリル」などはまるで拷問のように苦しみますが、「一日十ずつ覚えましょう」でなく、「何日までに百覚える」とゴールが明らかになると、燃えるんですね。また高校卒業にはこれだけの単位が必要で、将来したいと思っている職業につくには、今こういったことが必要と具体的に分かるとモーティベーションが上がります。「今というこの瞬間が、あなたが描くそのゴールに繋がっているのよ」と声をかけるのが効果的です。

 

「まずは全体像を把握しようとする」のは、「同時処理優位タイプ」の特徴とも言われます。

 

脳が情報を処理する方法には、「継次処理」と「同時処理」があると言います。

「継次処理優位」の人は、時間軸に沿って、ステップに従い順番に処理して考えることが得意。

「同時処理優位」の人は、情報を一つの全体的なまとまりとして処理するのが得意。

 

どちらもバランスよく使いこなせる人もいますが、人によってはどちらか一方が極端に優位ということもあるようです。そして現在の学校制度の中で学習障害などの問題を抱える子供達は、この「優位性が極端」な場合が多いと言われます。

 

また「継次処理優位タイプ」は、現行の学校の授業のあり方とマッチし、花開いていき易いですが、「同時処理優位タイプ」は、複雑なことを考えたり理解するのが早く得意でも、「ミス」や「勘違い」も多く、日頃の成績などにも結びつきにくいとされています。

 

例えば、以前長女が「アインシュタインの論理パズル」を解いた時の様子に触れましたが、情報処理バランスがより取れているように見える長女は、グリッドを用い、ステップを踏んで徐々に答えを出していったのに対し、長男は、グリッドを用いず頭の中で答えを出し、一回目の回答は間違い、二回目で正解。

 

ゴールまで一気に到達しようとするので、中間地点がどうしても雑になってしまうんですね。ゴールから逆走して、細かな部分をチェックし確認する作業を習慣にする必要があると、つくづく思います。

 

また「継次処理優位タイプ」は聴覚優位者、「同時処理優位タイプ」は視覚空間的学習者に多いとされています。

 
 
 

2.インテンシティー(強烈さ)

 

これは「チャレンジしている時の状態」です。

 

長い時間をかけ一からステップに沿って徐々に難しくという状態が続くと、興味関心が続かず、白昼夢や他事へと漂流してしまう。現行の学校の授業というのは、まさしくこの「一からステップに沿って」が主流、はっと気がつけば授業が終わっているという状態の繰り返し。

 

一から徐々に難しくなる「ブレイン・ゲーム」なども、最も難しいものをまず試してみて、できなければ徐々に簡単なものへとしたがります。

 

また長男がレスリングや、サバイバルキャンプ、極限トライアスロン、レスキュー隊などに惹かれるのも、この「インテンシティー」を味わうためなのだろうなと感じています。

 
 
 

3.自主性

 

先の「何日までに百覚える必要がある」といった課題を前にした場合でも、「こうやって覚えなさい」より、「じゃあどうやったらうまく覚えられると思う?」と問いかけた方が、力を発揮します。

 

「宿題しなさい」より「今夜の計画は?」と聞いた方がやる気に。

 

自分で試し、失敗し、またやり直しと繰り返し。

 

「同時処理優位タイプ」や「視覚空間優位タイプ」は、直感的で創造力が豊かな子が多いとも言われますが、自身の直感や創造力を存分に試し発揮できる時間があるのが理想ですね。

 
 
 
 
 

長男を見ていると、一度社会に出て働いてからのほうが、学業にも没頭しやすいのかもしれないなと思うことがあります。社会という「全体」を肌で感じ、「インテンシブ」に、「自身で必死に工夫」してみる。

 

机上だけでない文脈の中で理解していくのは、「視覚空間学習者の特徴」としてあげられるものですが、文脈から切り離された問題集などに向き合っていても、なかなかすんなり頭に入らないこともあるようです。

 

例えば長男は、航空関係のNPO活動をここ数年続けていて、毎週一度集まり、週に何度かメールなどで大人からティーンまでとやり取りする必要があるのですが、そのメールを通して、苦手な「正確なスペル」や文法の大切さ、「頭の中でなんとなく掴んだもやもや」を、いかに人に明確に伝わる形にするかを学んでいます。これらは、「机上の繰り返しの練習」だけでは、彼の中ではどうしてもピンとこないんですね。

 
 

私自身を振り返り、かなり長男に似た傾向があったので、こういったタイプについて、私なりに理解できます。中学高校の授業内容というもの、ほとんど全くといっていいほど覚えてないんですね。先の見えない迷路をさまよい、白昼夢の中に過ぎていった。

 
 

中学→高校→大学→就職といった順序に拘らず、「学び・成長」にフォーカスして進んでいきたい、そう思っています。

 

大学の授業を取りながら、高校卒業に必要な単位を早めに終わらせ(大学の一セメスターは高校の一年分に換算されます)、高校四年の残りの時間を、興味のある分野を深めたり、もう一度逆行して雑になっていた細かな部分を煮詰めていくことに用いるというのも、一つの方法かなと思っています。

 

様々なタイプの子の力が、現在の教育制度の中に埋もれず発揮されていくために、中学高校生の企業でのインターンシップ、何歳でも大学の授業を取ることができる、オンラインコースの活用など、画一的でなく、多様な学習過程を実践できる柔軟なシステムがますます行き渡ること、願っています。

 
 
 

一昨日は、一日中小学一年生からのクラスメートで近所に住むS君と、
裏庭で電気ノコギリうならせ、木材組み合わせ、こんなものを作ってました。
木上の憩い場。
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昨日のアラスカ大学での試験。
さっぱりきれいな校舎。
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何だか集中できそうな場だなあ、とつぶやきながら。
カフェもあるね。
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