マインドフルネス

誰もが手に入れられる幸せへの鍵? マインドを整える習慣

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2010年の科学雑誌「Science」にこんな研究が載りました。
 
マインド(思考・感情)をワンダーさせることが幸せから遠ざかる原因?
 
マインドをワンダーさせることは、人間だけに与えられた能力。他の動物達は、目の前の物事から離れ、空想に耽ったり、白昼夢をさまよったり、過去や未来へと旅立ったりということはできません。そしてこのマインドをワンダーさせることが、人類というものを進化させてきた。様々な学び、理由付け、計画というものを生み出してきた。ところが同時に、このマインドをワンダーさせることこそが、人を幸せから遠ざけるものでもあるのかもしれない。古代から様々な宗教のコアには「マインドをプリゼント(今この瞬間)に保つ」という教えがある。それは確かに、幸せの鍵になることなのかもしれません。
 
といった内容の、ハーバード大学研究者によるものです。
 
マインドをワンダーさせる、確かにそこから様々なアイデアも生まれ、想像により引き起こされる不安などから、様々な予防や改善に向けての動きも可能となり、人というものを進化させてきた。それでも、この解き放たれたマインド(思考と感情)こそが、同時に、人を不幸にもすると。
  

 
 
私自身、体験から、このことがとてもよく分かります。
 
子供時代から空想(妄想)の世界にいがちな子で、皆が平気で上り下りする遊具なども恐くてだめ、暗闇も恐くて毎晩ベッドから抜け出し母親の部屋に行き、恐い映像なんてものも大の苦手で、ニュースで地震の映像を見ただけで一ヶ月ほど毎晩寝られなくらい不安感が強かった。それで三十代初めに、とうとう不安感マックスとなり夜も寝られずパジャマのまま裏庭を徘徊、このまま私は廃人になってしまうのじゃないかというところまで行ったのですが、これはまさしく今振り返ると、マインドがワンダーしっぱなし、「マインドのやりたい放題」に振り回されていた典型のように思います。
 
私自身日常生活もままならない状態から戻って来られたのは、マインドの奥底に「温もり」を見出した体験が要にあるのですが、もう一つ、普段常にあちらこちらからプリゼント(今この瞬間)に戻してくれる五人の子供との生活も大きかったように思います。
 
また例えば、欝的に落ち込む状態というのは、私自身も体験してきましたが、ダウンスパイラルな思考を止められない状態とも言えないでしょうか。私なんか私なんて私なんか私なんて、あれもだめでこれもだめでもうどうしようもなくて、過去から未来からだめな自分が津波のように押し寄せ、果たしてこんなだめな自分が生きている意味なんてあるんだろうか? そう「マインドのやりたい放題」に翻弄されている状態。
 
 
上の研究によると、ネガティブな空想をした場合だけでなく、より楽しく喜ばしい空想をした場合でさえ、プリゼント(今この瞬間)にフォーカスした場合よりも、「ハッピー感」が減少すると報告されています。プリゼントにフォーカスする、そうすることで人はよりハッピーで健やかになる、そんな科学的エビデンス(証拠検証)が多く出てきている。それがここ何十年の間にマインドフルネスなどが様々な分野で認められつつある理由でもあるのでしょう。
 
そして私自身、この「プリゼントにフォーカスすることで増すハッピー感」というものを、ひしひしと実感しています。
 
 
 
マインドフルである状態とは、私自身、「自身の思考と感情の動きに気づいていること。そして逸れていく思考や感情をジャッジすることなく、穏やかにプリゼントにフォーカスをシフトさせる」だと思っています。
 
プリゼントに戻ってくる力、それは体験する多くの方が言うように、「筋力」のようなもの。鍛えることで強くなっていくといいます。「やりたい放題」のマインドから、今この瞬間へと引き戻す力を鍛えていく。マインドフルネスは、確かにその一つの方法なのでしょう。
 
そして「瞑想」というものにも様々な種類があると言われますが、私自身が理解しているのは、何か神秘的な体験を目指すとか、神秘的な力を得るとか、そういうことではないんですね。ワンダーするマインド(思考や感情)を何度も何度も、それこそ子犬に「お座り」を言い聞かせるように、プリゼント(今この瞬間)へと引き戻す。そう繰り返すことで、プリゼントへと戻る「筋力」を鍛えるためのものです。
 
 
 
人類を進歩させてきた、この目の前の物事から離れマインドをワンダーさせる能力。ではプリゼントにフォーカスするとは、その能力を削ぎ落とすということ?ならば目の前の食べ物をせっせと巣へ運ぶアリ、自然界に組み込まれたプログラムだけに従うアリと、プリゼントにフォーカスし続けるヒトと、どう違うのというのか?
 
ヒトというのは、プリゼントにフォーカスし続ける訓練を通し、マインドワンダーとプリゼントの間をより自由に行き来する力を手に入れることができる、ということなのだと思います。
 
「マインドのやりたい放題」に翻弄されっぱなしでもなく、アリのように目の前の物事のみこなすだけでもなく。マインドに呑み込まれず、マインドをワンダーさせる能力をより生かせるようになる。
 
 
それは何も修行を積んだ聖職者といった特別な人々のことではなく、少し関心を持って実践してみることで、「以前より操る力がつき、よりハッピーになる」と感じる人々が多くいる。世界中様々な医療センターや、インテルやグーグルなどの企業や英国議会などでもマインドフルネスが用いられるようになってきている。最近も、二十年ほど前癌治療をした後、医療機関でマインドフルネスを学び、それ以来実践し心身ともにハッピーといった効果を実感しているという初老の女性に出会いました。皆、社会の中で、普通に職業を持ち、暮らしている方々です。
 
最近の記事(日本語)からの引用です:
 
「インテル社が導入、『瞑想で業績を上げる』マインドフルネスプログラム」 The Huffington Post  2014/07/17
 
最近ではEI、リーダーシップ、エンゲージメントを高めるメンタルトレーニングとして、Google、General Mills、Target、など大手各社やハーバードビジネススクール、クレアモント大学でも採用され、注目を浴びている。(ハフィントンポスト2013年7月8日の記事より)
 
マインドフルネスは、健康(免疫力↑、痛み・炎症↓)、メンタルヘルス(うつ、不安症、ストレス↓)、人間関係(EI・思いやり↑、寂しさ↓)、自己管理力(感情の制御、内省力、注意力↑)、生産性(集中・注意力、記憶力↑)などの効果があることが科学的に実証されている(Psychology Today 2013年9月11日”20 Scientific reasons to start meditating today”より)
 
そして重要なのは、このマインドフルネスの状態を創る能力は、トレーニングによって誰もが改善できるということである

 
引用終わり

「グーグル、ゴールドマン・サックス・・・ なぜ企業はマインドフルネスに取り組むのか」Harvard Business Review  2014/ 08/ 27
にも、様々な企業が採用している例が載っています。
 
 
 
誰もが手に入れられる幸せへの鍵とは?
 
今この瞬間にフォーカスする力を鍛えること
、これが「一つの方法」と言えるのかもしれない、マインドフルネスの実践を通し、感じています。
 
不安感の波に押しつぶされていた子供時代、呑みこまれぼろぼろになっていた過去の私自身に、マインドをトレーニングする習慣を身につけさせてやれたら、そうしみじみと思う今日この頃。日々気づきに溢れつつ、私のように必要ととする方達に少しでも伝えられるよう、実践トレーニング、続けていきますね。
 
読んでいただきありがとうございます。
 
皆様、よい週末をお過ごしください!
 
 
 

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