grit(やり抜く力)

育てたい七つの特性

250 greeting1994年にヒューストンで始まったチャータースクールKIPP。現在二十州141の学校で、五万人近くの生徒が学んでいる。生徒の大多数が、低所得家庭、移民、アフリカンアメリカン。

 

99年には、ヒューストンとNYの学校がコミュニティーでトップに、数々名門校のあるニューヨーク全市でも五番目に高いスコアで最初の中学卒業生を送り出す。http://www.kipp.org/(クリップみてその雰囲気に感動)

 

「大学への山を登れ」をスローガンに、大学に入学し、卒業しキャリアを積むスタート地点に立つことを目標としている。

 

現在KIPPでは、「キャラクター通知表」というものが用いられている。そこでは、以下の七つのキャラクターが評価される。

Grit      タフさ・やり抜く力
Zest        熱意
Self-Control     自制心
Optimism      楽観
Gratitude      感謝
Social Intelligence 社会的知性
Curiosity      好奇心

 

これらは心理学者SeligmanとPetersonの「人が良い人生を送るために必要な24の特性」の研究から、KIPPの創設者Levin氏 とNYの名門私立Riverdale country School校長Randolph氏が、心理学者Duckworth氏の協力を得た調査を通し見出したもの。

 

今日の「賢さ」の主な指標IQが高かろうが低かろうが、成功していくのは、これらの特性のある人々だと。

 

 

 

一方、米国でトップレベルの私立学校の校長Randolph氏、「七つの特性」を育むカリキュラムを導入しようと思うにも、様々な問題点にぶつかる:

 

・「通知表」という形にするのなら、「A」を取るためにこぞって準備を始める家庭が多いだろう。これらの「特性を身につけるため」というより、「Aを取るため」という目的の方が大きくなってしまう。

 

・親が米国で最も成功した層であり、学校側から「どうしたら成功するか」を教えてもらいたいという立場にはない。

 

・毎年多くの生徒を名門大学に送り出しており、「大学へ行く」ということがあまりにも当たり前で、「七つの特性を身につけ大学への山を登ろう!」といったKIPPのようなスローガンは効力がない。

 

それでも、Randolph氏は、「より深い意味での成功」には、「七つの特性」が必要だと考える。

 

 

 

氏は、上流層にフィットするよう最高のパフォーマンスを親から期待され続ける子供達が、いかに不幸せであり得るか、心理学の研究を挙げる。親達は、子供達が飛びぬけてできるよう背中を押し続けつつ、同時に、子供達が「失敗」しないようあらゆる網を張る。人生に必要なスキルや性質というのは、「失敗」したときに最も学ぶにも関わらず。

 

困難にぶちあたり、失敗を繰り返すからこそ、「七つの特性」は磨かれる。それでも「上流階級」にある子供達は、何にも「失敗」しないよう周りから万全に守られており、「より深い意味での成功」を手にするための機会を取り去られていると、Randolph氏は考える。

 

Randolph氏自身、ボーディングスクールから、ハーバード大学に入ったものの、自分というものを完全に失ってしまっていたと。そこで休学して大工の見習いとなり、卒業してからも、イタリアで低い賃金の仕事をしながらオペラを何年か学ぶ。何度も何度も失敗し、そうしてようやく、より深い意味での成功を得るための知恵を身につけたと。

 

低所得者層の困難な状況にある家庭、米国の上流トップ層に関わらず、「失敗」や「困難」に向き合うことで、子供達は成長する。「困難」続きの子供達に、越えていくためのサポートを、恵まれた子供達に失敗させ乗り越える機会を。

 

 

両方の要素をもった移民中流家庭の我が家、失敗させないサポートより、失敗させ立ち上がらせるサポーをしていくこと、覚えておきたいです。

 

 

 

参考資料:
KIPP http://www.kipp.org/
”What if the Secret to Success Is Failure?” The New York Times
http://www.nytimes.com/2011/09/18/magazine/what-if-the-secret-to-success-is-failure.html?pagewanted=all&_r=0

 

 

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