grit(やり抜く力)

才能とタフさ

165TED、面白アイデアに溢れていてしかも一つ一つが短くて。細切れに空く時間に、ちょこちょこと聞くのに最高です。

 

そんな中で、子供達、周りの子達を見てきて、漠然と思っていることが、具体的な言葉で表されてる、と感じたのが、Angela Lee Duckworth氏の”The key to success? Grit”でした。(日本語http://www.ted.com/talks/lang/ja/angela_lee_duckworth_the_key_to_success_grit.html)。

 

以下、2013年5月のTEDのスピーチの要約です:

 

ダックワース氏は、経営コンサルタントから公立中学の数学教師になり、その後大学院へ戻り心理学者に。氏が常に解き明かしたいと思っていた問いが「子供達が成功する鍵とは何だろう?」でした。現代で「賢さ」を測る基準となっているIQ,、それでも中学で教えていた際、良い成績とIQとはあまり関係がないという事実に愕然としました。大学院での研究では、国の最高の陸軍士官学校のカデット、スペリングビーの全国大会参加者、貧困地域の学校の先生、企業のセールスマンなど、様々な場で、どういった人物が残り、結果を生み出し、成功するのかを調べ続けました。

 

そして見つけたのが、成功の鍵は、社会的知性でも、ルックスでも、 身体的健康でも、 IQでもなく、「grit(タフさ、不屈の精神、やり抜く力)」ということです。

 

「gritとは、長いゴールに向け、パッションと忍耐力を持ち続けること。スタミナを持つこと。毎日明けても暮れても未来にこだわり、週や月といった期間でなく、何年もの間、未来を現実にするためにハードワークを続けること。人生を短距離走でなくマラソンを走るように生きること。
Grit is passion and perseverance for very long term goals. Grit is having stamina. Grit is sticking with your future, day in, day out, not just for the week, not just for the month, but for years and working very hard to make that future a reality. Grit is living life like it’s a marathon, not a sprint!’」

 

成功の鍵となる「grit」。「grit」は、何ら才能(talent)とは関係ない、むしろ才能とは反比例することがあるのが明らかになっています。それでも、まだ誰も、科学も、「grit」についてほとんど知らない。「grit」を「どう育てるか」について、何も分かっていないのです。

 

Dwek博士の「成長型マインドセット」(*)を育てるための研究は、「grit」を育むのに大いに役立ちます。

 

それでももっと必要なのです。これから「grit」を育成する研究が、より進んでいく必要があります。子供達のgritを育てるために、大人たちが研究をやり抜く(grit)必要があります。

 

要約終わり。

 (*)Dwek博士の「成長型マインドセット」について、以前少しまとめたもの:http://kosodatekyua.com/2014/04/mindsetyarukinojizoku/

 

 

 

「何らかの才能とgritが反比例する場合がある」というの、周りを見ていてとてもよく分かります。小学中学と「ハイリーギフテッド・プログラム」を見てきましたが、いわゆるIQの高い子には、それだけ落とし穴もたくさんあり得ると感じています。

 

「過度激動OE」などを持ち合わせていることが多く、敏感過ぎて「タフさ」とは対極にある。

 

・学年が上になるにつれ、課題量も増え、内容もより複雑になり、より「タフで」継続的な努力が必要になるにも関わらず、努力しないでもできてしまうことに慣れているため、どうしていいのか分からない。

 

・科目や課題の種類などによって「できる」「できない」の差も大きい場合があり、「できない」という状態に耐えられずor途方に暮れ、投げ出してしまう。

 

・その上、周りから「生まれつき」のギフテッドと扱われ、才能や知性は生まれつきのものと信じてしまう傾向にある。「成長型マインドセット」とは対極にある、「固定型マインドセット」の持ち主に。

 

・成果を出しても「才能あるから当たり前」、成果を出せないならば「才能あるのに何で?」という目で見られる。努力も結果も評価されない場合がある。

 

小さな内に何らかの才能が見出されないとしても、「健やかなるgrid」を持った子が、どんどん追い抜き伸びていく、そんなように感じることもあります。

 

 

 

それでも、確かに、早くに見出された才能とgritを共に成長させていくことは可能だと、周りのいくつもの例を見て思います。

 

まずは、どれだけできていたとしても、「努力してより良くなっていける」という「成長型マインドセット」を教えていくこと。どんな結果も成長への過程、失敗は成長へのチャンスと教え続けること。「あなたは賢い」といった褒め方をするのでなく、「あなたの努力が素晴らしかった」と過程に注目し続けること。

 

子供達のgritを育てていくために、周りの大人のgritが必要、本当にそう思います。日々子供達に向き合いつつ、探索を続けていきたいです。

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