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努力の方向を見直す

Classroom_843785861才能や能力は生まれ持ったもので変えることはできないと考える「固定型マインドセット」

 才能や能力は努力の継続によって伸ばしていけると考える「成長型マインドセット」

 こちら米国では、心理学者Dwek氏の研究を基に、近年、「成長型マインドセット」こそが、子供達を伸ばす鍵だと、学校現場でも目指されている。

 

それでも言ってみれば、「成長型マインドセット」というのは、アジア諸国では、より行き渡った当たり前とも思われる考え方ではないだろうか。努力すればできるはず、努力してないからできないのよ、そう親は、子供たちの背中を小さな頃から押し続ける。「できる子」を見れば、こちらなら、「与えられたギフトね」で終わってしまうことも、アジア諸国では、「あなたにもできるはずよ」と、叱咤する機会になるのではないだろうか。

 

アジア諸国では、才能や能力は生まれ持ったものだから、努力したってそうそう変わりはしないよといった「固定型マインドセット」は、そう一般的ではない。

 

特に東アジアでは、努力と継続こそが成功への鍵だと信じられているという研究もある。 (Chen and Stevenson 1995) だからアジア諸国の子供達は、アカデミック面でも高い結果を出すのだと。

 

それでは、なぜアジア諸国の子供達が、皆やる気満々で学校が大好き!とはならないのだろう? 「成長型マインドセット」が行き渡るならば、子供達は生き生きと自分の能力を伸ばすことにやる気を持つだろうと、こちら米国の研究者が予想するように。

 

それは、アジア諸国の「努力の方向性」に、決定的な違いがあるためだと思い当たる。

 

アジア諸国では、「努力するならより『彼ら』になれる」

 

一方こちらで理想として目指されるのは、「努力するならより『自分』になれる」

 

だからいくら努力しても苦しくてしょうがない。必死で「彼ら」になろうとする空しさ。

 

アジアでは、「努力して成長できる」よりも、「努力してより『自分』に成長できる」が強調されていく必要があるのではないだろうか。

 

 

参考資料:

“The right mindset: How a child’s theory of intelligence can change the way she learns”http://www.parentingscience.com/theory-of-intelligence.html

Dweck CS 2006. Mindset: The new psychology of success. New York: Random House.

Chen C and Stevenson HW. 1995. Motivation and mathematics achievement: a comparative study of Asian-American, Caucasian-American, and east Asian high school students. Child Development 66(4):1214-34.

 
 
 
写真 by frwl Wikipedia Commonsより

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