義妹が子供時代を過ごしたアラスカを婚約者に見せたいと。
この婚約者、
ペルーとマイアミを行き来するミュージシャンとは聞いていたのですが、
昨日初めて会って二時間ほど話し、
これまでの歩みなど聞かせてもらいました。
父親の音楽スタジオで働きながら、
十五歳からバンドを組み音楽を作り始め、
映像学やカメラ、メディア編集、視聴覚コミュニケーションなど様々な機関で学びつつ、
1992年に最初のソロアルバムをリリース。
その後2005年までレコードスタジオの経営に没頭。
そして2006年スタジオの職を辞し、
本格的に音楽活動再開。
彼曰く
「人が欲しがるものでなく、本当に自分の音楽を作ってみようと思ったんだ」
そうしてできあがったのが、
ペルー土着の民族音楽とジャズやロックや電子音楽を合わせたアルバム
「Cholo Soy: Peruvian Waltz Chillout」でした。
「Cholo」というのは、
スパニッシュとネイティブの混血クリオーリョの中でも、
よりネイティブ色の濃い人々を指し、
下に見て侮蔑するようなニュアンスで用いられることの多い言葉。
「Cholo Soy」とは、
「私はCholo」という意味で、
虐げられ続けた「Cholo」であることに誇りを持って立ち上がる
というような意味を持っているそう。
このアルバム「Cholo Soy」が大ヒット。
2008年には、
世界中でトップの音楽家に与えられる
「Independent Music Awards」の「フュージョン部門」を受賞。
そして、
「ジェームスボンド007(Quantum of Solace)」のサウンドトラックに使われることに!
自ら作った音楽が、
ジェームスボンドの映画に使われることが決まった時のこと、
それは嬉しそうに話してくれました。
初め提供した一曲、
そのシーンがカットされ使われないかもしれないと聞かされていて、
ところが監督がとても気に入り、
一曲どころかもう二曲使いたいということで、
結局三曲使われたのだと。
2011年には、
これら国際的な活躍によって、
ペルー政府により「音楽大使」に任命され、
今はペルーの国民的ミュージシャンとして、
世界中を飛び回ってDJをしたりコンサートをしたり。
今回義妹とアラスカに来るために、
ドイツでの仕事も一つ断ったのだそう。
時折義妹を見つめながら、
ニコニコと嬉しそうに。
一語一語がとても自然で、
囚われなく真っ直ぐで。
奥深くから湧き上がる形なきものを敏感に捉え表現し続けることを、
楽しんでいる、
子供のように無邪気に、
そんな様子でした。
「ストレスとかない?」と夫、
「無いね。自由なんだ」と笑いながら。
アンカレッジでも、
16日の土曜日、
小さなメキシコレストランでライブをするそうです。
バンドなく全く一人でのライブは初めてだそう。
ペルーでは彼のことを誰もが知っていて、
会場を埋め尽くす観客も、
少しメロディーを奏でジョークでも言うならば、
大歓声。
それでもペルーから一歩出れば、
「あなたは誰?」という雰囲気の中、
自己紹介から始まり。
「最後までに観客の心を掴めるか」
そうまた一から始める、
そんな気持ちになるのだそう。
アンカレッジにお住まいの方、
もしご都合つくようでしたら是非!
土曜日16日6:30pm
8615 Old Seward Hwy, Anchorage, Alaska 99515
FOR RESERVATIONS:907-575-1600.
皆で緑茶を飲みながらの二時間ほど。
その後ガレージの寝袋やテントや一式持って、
今夜はキャンプに行くのだと、
二人で手を繋いでレンタカーに乗り込み、
我が家を後にしました。
スタジオ経営から離れ、
本当に自分の内奥にある音楽を奏でたい。
そうして生み出された「Cholo Soy」。
見下され続けた「Cholo」であることに、
誇りを持って歩いていこうと。
インスパイヤリングなひと時でした。
ハイメ・クアドラ&義妹(左)と。
ハイメ・クアドラ(Jaime Cuadra)のホームページ:http://jaimecuadraf.wix.com/jaimecuadra2
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