一昨日は山に登りました。
日本だったら柵とか張り巡らされてるよね、というような崖っぷちや絶壁を、
一応、「小さな子や犬にはおすすめしませんよ」とサインが立っているものの、
子供も大人もすいすいと登っていきます。
実は私は、物心ついたころから高所恐怖症気味。
保育園の遊具に周りがきゃっきゃと登る横で、
足がすくんで途方に暮れていたり、クラスで撮った校庭の集合写真にも、
遊具の一番低いところにしがみつき、顔をひきつらせて写っていたのを思い出します。
舞台のステージなどもその高さが恐かったり、遊園地の乗り物なんてもう何が何でも乗りたくなくて。
とはいえ飛行機とか、きちんと囲まれていたらいくら「高く」ても大丈夫。
オープンな状況で下を覗いて見る状態がだめ。
ちなみに子供達は皆、今のところ平気のようです。
身体が硬直し、胸が締め付けられる、あの恐怖感。
トラウマから何らかのフォビアになる場合もあるといいますが、
親から聞いたり記憶をたどる限り、
幼少時に高さに関するトラウマになる出来事があったわけでもなく、
生まれつき脳の構造がそうなっている、ということなのかなと。
認知行動療法に、曝露療法というのがあるといいます。
それは苦手なことに少しずつ自分を曝して慣らしていくということなのですが、
一昨日の山登りも、自分なりの曝露療法でした。
少しずつどころか、かなり過激ではあるんですが。
頂上直前最後の絶壁には、
足がすくみ呼吸もうまくできなくなり「もうだめだ」ともなりながら、
とにかく下を見ないで、深呼吸。
今目の前の一歩一歩にフォーカス。
リラックス。
長い間、
リラックスというものがよく分からないのに、
リラックスしなさい、
そう自分自身に声をかけていたように思います。
頭でイメージしたことを、
何となく試してみるものの、
今思うと、リラックスからは程遠かった。
マインドフルネスを通して、
私は初めて、
リラックスというものを、
感覚的につかむことができたと感じています。
それは、自らの思考感情身体感覚を観察していくこと。
足の先から頭の先まで感じていき、
力の入った部分に気づいてみること。
そして吐く息と共に、緩めてみること。
こうした練習を通し、
ああ、これがリラックスということなのかあと。
そして普段、いかにガチガチに力が入っているかに気づきます。
頭でリラックスすると思うより、
身体感覚をつぶさに観ていく、
身体の硬さを生み出す思考や感情との関係を観ていく。
そして身体を緩めていくこと。
それがリラックスにつながるんですね。
そして、頂上!
ああ、この景色。
帰り道はかなりリラックスして進むことができるようになりました。
確かにこうしたことを繰り返すなら、恐怖感も和らいでいくでしょうね。
無理し過ぎず、自分の力を過大&過小評価せず、自ら目の前に飛び越える調度良い高さのハードルを置いて。
こうした曝露療法は、「不安感」にも有効とされています。
不安になる状況に、少しずつ自らを曝し慣らしていく。
「大丈夫」と安心させていく。
時に後退しながらも、また一歩踏み出して。
うまくいかなくても、ではうまくいくためにどんな工夫ができるかと、少しずつ少しずつ。
そう繰り返していると、だんだん、こうして曝露し試すこと自体が、なんだか楽しくなってくるんですね。
きついと感じる状況でも、よしっ、今度も試してみようじゃないと好奇心のようなものさえ芽を出し、
足を踏み出す意欲が湧いてくる。
そうして木っ端微塵にはじけても、また集めて、挑戦すればいい。
その繰り返しが、失敗への恐れを緩和し、失敗こそ次にうまくいくための過程という確信を強めてくれます。
何かができるようになるというのは、本当に嬉しいこと。
より自由になるという喜び。
パラグライダーで山を下りる人も!
いつか挑戦してみようかな、
ふとそう思っている自分に驚きつつ。
それでは皆様、今日もよい日をお送り下さい!