やる気

子供をやる気にさせる「三つの内的動機付け」

172でもさ、どうしてもやる気の出ない時っていうのがあるんだよね。目の前のこの課題をしないといけないんだけれどね、もう全然やる気になんないの。で、ちんたらちんたら普段の二倍くらい時間がかかったり、と長男。
 
終わったら、○○しようとか、自分に報酬を用意してみたら?
 
それだとね、報酬のためにざざっと済ませようと思って、何だかうまくいかないんだよね。
 
うん分かるなあ、「外発的動機」より「内発的動機」の方が力があるとママも思う。
 
そんなことを話しながら、以前目を通した「モーティベーション」についてのリサーチを思い出し、少し調べてみた。
 
 
 
弁護士Dan Pink氏の理論で、世界中でベストセラーになった「DRIVE」。
 
経済学では、「より報酬(外発的動機)が多ければ、よりモーティベーションが大きくなる」というのが定説。それでも、それは右から左へと何かを動かし続けるといった、よりシンプルで決まったことを繰り返すようなタスクにのみ有効。より複雑で、想像力や創造性を必要とするタスクにはあてはまらない。そして、現代のほとんどのタスクが後者といえる。
 
それでは、より複雑で想像力や創造力を必要とするタスクには、どんなことが「動機付け」となるのか?
 
それは、以下の三つの内発的動機付けだと氏は言う:
1.Autonomy 自主性
2.Mastery  熟達
3.Purpose  目的

 
1は、自分が手綱を握っているという感覚。
2は、何かを習得し熟達させる喜び。
3は、自分を越えたより大きなものに貢献できるという気持ち。
 
1については、ドイツのソフトウェア会社での実験例などがあげられる。どこでいつどうやってでもいいから、二十四時間以内に結果を出すこと、という条件を与えた方が、場所時間方法を決められた場合よりも、生産率が伸びた。
 
2は、何ら外発的報酬に関係なく、何かができるようになっていくということ自体の喜びの大きさについて、例えば趣味でギターを少しずつマスターしていくなど。
 
3については、ある企業の雇用者に、「より高く売るため」という目的より、「地球環境に優しいプロダクトを無料で」という目的を与えたほうが、生産率があがったという研究結果などがある。
 
 
子供達に当てはめてみると、なるほどなあと思う。
 
1.「宿題しなさい!」という言うより、「今夜の計画は?」と聞いたほうが断然、本人やる気になる。
 
2.「できた!」という喜びの大きさ。
 
3.ある企業の雇用者が「環境に優しいプロジェクト」によって「やる気マックス」になったように、実は子供というのも、自分の技術を鍛えることで、これからの世の中に少しでも貢献できるかもしれないというような目的を、目の前の受験やいい学校やいい就職先やといったことよりも、欲しているのかもしれないなと思うことがある。「こんな暖かい家で勉強ができる環境にある子供達が世の中にどれほどいるだろう? できる環境にある子が、少しでも技術を身につけて、少しでも世界をより良くしていくために何かしていけたらいいと思わない?」そんな問いは、実は大人が思う以上に、子供の透き通った心に響くんじゃないかなと。目先の目的は、その先のより大きな目的に繋がっているのだと示していけたら。
 
 
 
またピンク氏は、様々な実験から、「外発的動機付けは、創造性を潰すことにもなり得る」と言う。確かに一直線に走り抜けるようなタスクにはいいかもしれないけれど、途中様々なハプニングも起こりうる迷路のような道を行くには、より深く響く動機に支えられる必要がある、そうして歩き続ける過程に、創造やインスピレーションの瞬間もやってくる。
 
 
これら「三つの内発的動機付け」、活用していきたいですね!
 
 
 
参考資料:
TEDスピーチ:Puzzle of motivation by Dan Pinkhttp://www.ted.com/talks/dan_pink_on_motivation.html
RSA Animate – Drive

”DRIVE” by Dan Pink

Comments are closed.

Powered by: Wordpress