子育てスタイル

四つの子育てスタイル

042心理学では、子育てのスタイルには四つあるとされています。

 

1.Authoritarian (独裁・支配スタイル)

子供に有無を言わせず従わせるスタイル。従わない場合は罰を持って接する。
 
2.Permissive   (受身・消極スタイル)

子供の意向中心に物事を進める受身スタイル。リミットを設定し守らせることに消極的。それでも温かみがあり子供の感情的ニーズを包み込む。
 
3.Authoritative (民主スタイル)

子供の意向を尊重しつつも、リミットを設定し、ルールの理由を示し、子供の感情的ニーズにも責任を持って接するスタイル。
 
4.Uninvolved   (無関心スタイル)

衣食住の供給といった最低限のニーズを満たすものの、リミットの設定にも感情的ニーズにも無関心スタイル。

 

そして世界中様々な地域での研究を通し、3の民主スタイルが、子供の能力や感情面を最も健やかに育てることができるという結果が報告されています。

(元々は、心理学者Baumrind 氏が米国白人家庭の調査を通し1966年にまとめた1-3に、1983年にMaccoby氏と Martin氏が4を付け加え、その後、世界中様々な地域での研究が続けられています。)

 

また、片親のみが民主スタイルであっても、全くそのスタイルが取られない場合よりも大きく違ってくるとされています。

 

 

 

1,2,4のスタイルで育った子供達には、以下のような特徴が指摘されます。
 
1の「独裁・支配スタイル」で育つ子供は、一見行儀良くいい子に見えますが、社会的なスキルが欠けていたり、不安感、鬱、自己評価の低さに悩むことが多い。
 
2の「消極・受身スタイル」で育つ子供は、不安感や鬱なども少なく、自己評価も高い傾向にありますが、様々な誘惑に負け易く、何かを成し遂げるということが難しい。
 
4の「無関心スタイル」に育つ子供は、あらゆる面に凹みが見られます。非行に走る子供の多くが、4のスタイルの家庭で育っているとされます。

 

3の民主スタイル」とは、1の「独裁・支配スタイル」と2の「消極・受身スタイル」との間でバランスを取りつつ見出す着地点とも言えるかもしれません。子育てを通しつくづく思うのは、「条件に従わせる」と「無条件に受け入れる」との「バランス」が鍵だということ。以下のような民主スタイル」を念頭に、その場その時の最善に思われるバランスを見つけていきたいです。
 
3の民主スタイル」の特徴とは

 

・何かをするよう尋ねる前に、子供の望みや感覚感情を考慮する。

・子供に自身の感覚感情について話すよう励ます。

・子供が恐がっていたり動揺していたら助ける。

・何かをして欲しい場合はその理由を示す。

・親とは異なっているとしても、子供の意見を尊重し、子供が子供自身の意見を表すことを励ます。

・頼んで同意したことを途中やりのままにさせない。

・親の望みを満たすために「報酬」を与えることをしない。

・怒りの感情をぶつけない。

・「愛情を減らす」というかたちの罰を与えない。

 

「条件に従わせる」と「無条件に受け入れる」の間を揺れながらも見出す着地点として、覚えておきたいです。

 

 

 

メモ:

・一つ興味深い研究に、ヒスパニック文化についての最近(2009年)のものがあります。2の「受身・消極スタイル」が、3の「民主スタイル」」と同じように、子供達に良い結果をもたらすというもの。

これについては、調査においてどんな 「民主スタイル」」の定義が用いられたかによって、結果も異なってくるといった意見もありますが、周りのヒスパニックの人々を見ていても少し頷ける部分があります。

理性的で自己主張の強い欧米の子供達に比べ、どちらかというと情緒的なヒスパニックの子には、リミットを設け、理性的に説明してというよりも、感情面を包み込むことにより重きをおくことで、うまく育っていくということもあるかもしれません。

そして、これは日本に育つ子供達についても、当てはまる面があるようにも思います。

 

・一昔の前の日本では、1の「独裁・支配スタイル」を父親が、2の「受身・消極スタイル」を母親が受け持つことで、ある意味バランスがとれていたともいえるかもしれません。それでも、ジェンダーそして家族のあり方も変わりつつあり、これからは父親母親共に、個々人がバランスを心がけていくのが大切に思います。

 

 

参考資料:
Baumrind, D. (1966). Effects of Authoritative Parental Control on Child Behavior, Child Development, 37(4), 887-907.

Maccoby, EE and Martin, JA. (1983). Socialization in the context of the family: Parent–child interaction. In P Mussen and EM Hetherington,editors, Handbook of Child Psychology, volume IV: Socialization, personality, and social development, chapter 1, pages 1–101. New York: Wiley, 4th edition

”Parenting styles: A guide for the science-minded”
by Gwen Dewar, Ph.D.,

http://www.parentingscience.com/parenting-styles.html

García F and Gracia E. 2009. Is always authoritative the optimum parenting style? Evidence from Spanish families. Adolescence. 44(173):101-31.

Comments are closed.

Powered by: Wordpress