マインドフルネス

マインドフルネス整理、その広まりと必要性

022今「マインドフルネス・ストレス低減プログラム(MBSR:Mindfulness-Based Stress Reduction Program)」のコースを取っているのですが、クラスに出かけ講師を含め様々な方との交流、また毎日の宿題や実践トレーニングをする中で、様々感じること思うことがあります。それは本当に、これが答えかな、と思っていたことが、どんどんと新しい答えに取って代わられるといった状況で。
 

佐々木さんが下さったコメントにお返事を書きながら
、思っていることや感じていることなど、少しずつ整理し続けていこうと思いました。
 
元々このコースを取ってみようと思ったのは、「マインドフルネス」についての比較宗教学者によるDVD講座を観たり、心理学者や教育に携わる方々の本を何冊か読み、自ら実践するにつれ、その効果を実感したからでした。「ストレス低減」を目指してというより、マインドフルネスについてもっと知りたい、そして実際どう教えられるのか知りたいということが大きかったです。
 
 
このMBSRというのは、生物学者ジョン・カバット・ジン氏によって開発されました。MITの学生だった頃から禅に興味を持ち、ティク・ナット・ハンや様々な禅僧に師事した体験(日本の禅院も含む)とハタ・ヨガ、そしてそれまでの科学者としての研究を合わせ、1979年、マサチューセッツ大学に「ストレス低減センター」を設立したジン氏。
 
マインドフルネス自体は仏教にルーツを持ちますが、MBSRは宗教性を排除したプログラムとして確立されたことからも広まり、今では全米250、世界中で750近くの医療センターで用いられています。
 
ジン氏自身はユダヤ教の家庭に育ち、仏教に多くを学びましたが、自身はユダヤ教徒でも仏教徒でもなく、科学者としているようです、
 
MBSRの効果については、多くの研究があります(マサチューセッツ大学、トロント大学、ウィスコンシン大学、カーネギーメロン大学、UCLAなどの大学にてなど)。その効果の科学的根拠が揃いつつあるからこそ、様々な医療機関でも用いられているということのようですが、英語のWikipediaには、治療や予防に確固とした効果があるとするには、より研究が進められる必要がある、それでも鬱や心理的問題を和らげるということはあるでしょう、というぐらいに書かれてますね。
 
MBSRのコース自体でも、「これが治ります」とは言いません。「こういった効果があるかもしれません」といった程度。
 
ただ強調されるのは、「痛み自体や苦しい状況自体が変わるわけではありません。それらにどう向き合っていくかという姿勢が変化していくんです」ということです。
 
自身の思考や感情をジャッジせず観、呼吸や五感の感覚からプリゼント(今この瞬間)へフォーカスをシフトさせることで、思考や感情の「やりたい放題」に陥ることが減っていく。体のコンディションや周りの状況は以前と変わらないとしても、より落ち着いた穏やかな気持ちでそれらに対応していけると。
 
 
 
MBSRの基となる「マインドフルネス」には、より科学的なものから、より宗教的なものまで幅広くあり、またその言葉の曖昧さを批判されもしますが、マインドフルである状態とは、「マインド(思考や感情)をジャッジせず見つめ、よりプリゼントにフォーカスした状態」と言えるでしょう。
 
マインド(思考や感情)は、ワンダーする(さまよう)もの。そういった性質を持ったもの。そしてそのマインドのワンダーから、様々なアイデアや計画や予防が生まれ、ヒトは進化してきたとも言えます。ただ、そのマインドが「やりたい放題」となってしまうとき、ヒトはまた様々な心理的問題を抱えもする、その心理的問題が身体へと影響を与えてしまう場合もある。自身のマインドを見つめ、プリゼントへのフォーカスを繰り返すことで、マインドのやりたい放題から抜ける、そしてそれはマインドの力をより活用していくことにもなると。
 
こうした「よりプリゼントにフォーカスし、マインドのワンダーに振り回されない状態」が、「ヒトの心身にとってヘルシーである」という研究結果が多く出てきていることが、マインドフルネスというものが、昨今ますます様々な分野で用いられつつある背景にあります。
 
米国タイム誌は、今年二月に「Mindful Revolution(マインドフル革命)」と題した号を刊行。またマインドフルネスを基にするアプローチはますますリサーチの対象となりつつあり、2003年に53の論文が発表されたのが、2012年には477の論文へ、2014年の初めには既に100の研究(randomised controlled trial:評価のバイアス(偏り)を避け、客観的に治療効果を評価することを目的とした、主に医療分野で用いられる質の高い研究手法)がされているそうです。
 
「誰もが手に入れられる幸せへの鍵? マインドを整える習慣」で紹介したHarverd Business Reviewの記事にも「瞑想や内省、日誌の執筆といったマインドフルネスの取り組みは、グーグル、ゼネラル・ミルズ、ゴールドマン・サックス、アップル、メドトロニック、エトナなどの優良企業で実践され、組織の成功に寄与している。」とありますが、十日前や昨日の日本語サイトBLOGOSでも、マインドフルネスが多くの企業に広まっていく様子について取り上げられているようです。(「経営者の間で広まる”マインドフルネス”とは」「科学的に効果実証で”禅”が米国社会の主流に:米財界で禅が主流になった?教育、ビジネス、社会を変える『マインドフルネス革命』の兆し」
 
それらの記事によると:
 

今年2月に「マインドフルネスは今や、米国社会の主流になった」と宣言した米有力ニュースサイト「ハフィントン・ポスト」の創業者アリアナ・ハフィントン氏によると、「マインドフルネスなどをベースにした社員訓練プログラムを提供する大企業、中規模企業が米国全体の35%に達している」。
 
2013年になって、Salesforce社のCEOのマーク・ベニオフ氏が瞑想実践者であることを公表したほか、世界最大のヘッジファンドBridgewater社のCEO、Ray Dalio氏も40年以上瞑想を続けていることを明らかにした。また米国第3位の生命保険会社AetaのCEO、Mark T. Bertolini氏は、自分がヨガや瞑想をしていることを明らかにしただけでなく、約4万9000人の従業員に瞑想プログラムを提供し始めた。
 
世界最大級の食品メーカーGeneral MillsのVice PresidentだったJanice Marturano氏は、2006年にマインドフルネスの瞑想プログラムを同社でスタートさせ、これまでに500人以上がこのプログラムに参加している。今では同社のミネアポリス本社には、敷地内のすべてのビルに瞑想ルームがあるという。 同氏は2011年に独立しマインドフル・リーダーシップ研究所を設立し、今年「A Practical Guide to Mindful Leadership」という本を出版した。
 
オハイオ州選出のTim Ryan連邦下院議員は、熱心なマインドフルネス推進者の一人で、2012年に「A Mindful Nation」という本を出版。企業だけでなく、教育機関や軍など、国を挙げてマインドフルネスを取り組むべきだと主張している。また同下院議員は2013年に、オハイオ州の学校教育にマインドフルネスを取り入れるための100万ドルの連邦助成金を確保している。
 
また学校教育に取り入れた場合の効果にも期待が寄せられている。脳が柔軟な子供達、この時期のマインドフルネス訓練にはより効果が期待できるだろうとのこと。園児に簡単なマインドフルネスの訓練をほどこした幼稚園では、幼児同士の喧嘩や自分勝手な行動が大きく減少したという実験結果もある。

 
とのこと。
 
 
 
 
 
電子機器が発達し、いつどこでも溢れる情報に瞬時に触れられる現代とは、マインドをワンダーさせるには最高の刺激的環境です。
 
そんな中、欝や不安感の増大など、メンタル面に問題を抱える人々も増え続けています。
 
ますますマインドワンダーにとって格好の刺激に溢れていくだろう世界の状況の中で、ダウンスパイラル思考やとんでもない思考に「はまり込んでしまう」といった「マインドのやりたい放題」状態から手綱を取り戻し、マインドワンダーのパワーを活用していくためにも、マインドを整え鍛えていく習慣が、今後ますます大切になるのかもしれません。
 
 
 
 
 
「よりプリゼントにフォーカスし、おしゃべり続けるマインドに振り回されない状態」
この状態というのは、様々な言葉で説明され、そのことに少し触れたかったのですが、また次回まとめてみます。
 
 
 

3 Comments

Leave a Reply

Powered by: Wordpress