幸せ

子育てについてのサイエンスな発見10選!

012生物人類学や発達心理学などに精通した科学者Gwen Dewar氏が、ここ一年ほど氏にとって驚きだった「子育てに関する科学的発見トップ10」をまとめています。
 
科学的な発見というのは、新たな仮説が立てられ証明されと、長い目で見ると覆されていくものもありますが、科学者が長い時間と膨大な労力を投じた実験研究から導かれる結論一つ一つから学べることは、大きいと思っています。
 
 
では、トップ10から。(より詳しく知りたい方は、英語ですが、最後の参考資料の最初の記事に、それぞれの研究についての詳細へのリンクがあります)
 
 
10.「シェアしなさい!」と玩具やお菓子を強制的に他の子と分け合うようにするよりも、子供の選択に任せた方が、子供はより寛容になる。
 
3-5歳児にシールを渡し、悲しい顔をした犬の縫いぐるみを見せ、シールは縫いぐるみにあげても、自分のものにしてもいいのよと選択肢を与えた場合と、縫いぐるみにあげなさい、と伝えた場合では、前者の方が、後により持っているものを分け与えるようになったという実験より。
 
このシール大切だけれど可哀想だからあげようかな、そんな内面の葛藤を何度も体験することで、子供達は分け合うということを学んでいくのかもしれませんね。そこには、子供は本来分け合うということが大好きなのだという前提があります。(そんな前提を示す実験結果もあるようです。)
 
お友達の集まる場に行く前に、予めどうしたら皆が楽しく遊べるかなと話し合ったり、手にしたばかりの新しいものや大切なものは、初めからお友達の集まる場に持っていかないなどとするのも手ですね。
 
 
 
9.大人が身振り手振りを用いて話すことが、子供の学習を助ける。
 
赤ちゃんに対しても、小学生に対しても、手を用いたジェスチャーや身振りなど、言葉以外の手がかりを多く用いることで、語彙力のアップや算数の理解がより深まるなどの効果が見られることが、異なる二つの実験から分かったそうです。
 
 
 
8.愛情たっぷりのスキンシップは、脳の発達を促進させる。
 
親に身づくろい(grooming)されたネズミの赤ちゃんの方が、学習や社会性を司る脳の部位、海馬(hippocampus)や脳りょう(corpus callosum)がより発達したという実験結果より。
 
 
 
7.「トレース」や「書き写す」ことは、アカデミックスキルを上達させる。
 
様々な形を書き写すことに長けたプレスクーラーは、小学校に上がってから読みや算数に秀でる、小学生でも授業後の活動などでトレースやコピーなどたくさんした子の方が、算数や空間能力に秀でたといった調査結果より。
 
 
 
6.「タイガーママ」的な子育ては、うまくいかない。
 
「タイガーママ」的とは、世界中で議論となった中国系アメリカ人で法学教授Amy Chua氏による子育ての在り方です。プレーデート、スリープオーバー、TVなど一切なし、A以外の成績は許されず、毎日ピアノの練習に何時間も費やすといった高い基準を掲げ、スパルタ式に子供の能力を引き出していくもの。
 
Su Yeong Kim氏やその同僚による研究調査によると、最も高い業績をあげつつ社会にも順応した子供が育った中国系アメリカ人の家庭は、恥や罰や心理的な支配を用いる「タイガーママ」式ではなく、子供の意向を尊重し、感情的なサポートに責任を持つ「民主スタイル(authoritative)」(「四つの子育てスタイル」参照) であったという調査結果より。
 
「タイガーママ」的な子育てについては、その極端なルールや、ピアノがうまく弾けるようになるまで夕食なしといった「罰」、また「これをマスターしないならゴミ箱にあなたのお気に入りのものを捨てる」といった強烈な言葉などが強調され、「独裁・支配スタイル(authoritarian)」の代表のように捉えられていますが、必ずしもそうでない面もあると私は思っています。
 
「子供は、常に自身の最も高い地点に到達するよう背中を押される必要がある。自己憐憫に自分を甘やかすことから這い出させる」というChua氏の一貫した態度。「人のせいにしない。ハードワーク」をバリューの根幹に置く姿勢。その背景には、移民としてアメリカ社会で生き残るための術を身につけさせるという、子供達の未来への必死の思いがあります。
 
ピアノでつまづいた箇所がようやくできるようになり、「ベッドの中で抱き合って笑い合った」(Chua氏の著書より)瞬間、そこには険しい山を共に乗り越えることによって築かれた強い親子の絆があったでしょう。そこまでコミットするのは、深い愛情がなければ無理。表面的な言葉や態度の奥にある、Chua氏の深い気持ちを感じます。
 
 
 
5.親がリミットを守らせることで、子供の自制心(self-control)が発達する。
 
衝動性を抑え、集中し、機嫌を整え、計画を実行する、大きくなるにつれますます必要となるそうした一連の行為、そのためには「自制心」が必要です。そんな自制心を育むには、子供の好ましくない行為を無視したり、癇癪を起こすからと好きにさせるのではなく、子供の主体性を温かく励ましつつ、同時にリミットを守らせることが大切だと調査から分かっています。
 
自制心に問題が見られた親のほとんどが、「好ましくない行為を無視する。何かに癇癪を起こしそうになると折れる」と答えたそうです。こうしたリミットを設定し守らせることに消極的な「消極・受身スタイル」(「四つの子育てスタイル」)の親の子供が、自制心に問題を抱えるとのこと。
 
それでも、一概に「親の子育てスタイルのせい」とも言えず、年、性別(男の子の方がよりこうした傾向にあるもの)、家庭の収入、その子の特性、特別支援が必要なケース、などといった要素も深く絡んでいます。
 
 
 
4・ポジティブで感情的なサポートのある子育ては、脳の発達に良くない「ストレス」から子供を守る。
 
家庭内や友人間の問題、社会的な差別、自然災害、育児放棄や虐待などによって起こる「ストレス」は、子供の脳の発達に良くないことが分かっています。それでも、貧困や差別など過酷な環境で育つ子供達の調査結果から、例え恵まれない悲惨な環境にあろうとも、身近な大人が前向きで繊細な温もりをもった感情的サポートを心がけている場合は、ストレスに関わるダメージから子供達の脳を守ることができると分かっています。
 
愛情に溢れた温もりのある環境が、脳の健やかな発達を促します。
 
 
 
3.子供の持つ生物学的な時計に敏感になることで、親子間の就寝時間についての葛藤を避けることができる。
 
「まだ起きてるの!寝なさいっていったでしょ!」といったような親子間の葛藤は、子供達が眠くないのに、眠るよう促されている場合も多いとのこと。こちら米国では、就寝時間に厳しい家庭も多く、周りでも七時半にはベッドに入ることになっている、八時以降は部屋から出られない、などといった家庭もあります。
 
まだ寝たくない!寝なさいといったバトル、そんな時は、時計よりも、その子の就寝リズムに気を配ってみるのも方法だそう。
 
 
 
2.午後の昼寝はプレスクーラーの学習を助ける。
 
新しいことを学んだ後、昼寝をした子の方が、翌日もよく記憶しているといった実験調査から。
 
 
 
1.人生に意味や目的を見出す幸せは、DNAをより健康な状態へとプログラムし直すことができる。
 
「幸せ」には、二種類あるとされます。
 
一.自分自身の快楽的喜びを基にするもの

二.人生に意味や目的を見出す喜びを基にするもの
 
そして、1の喜びは、免疫力を高める遺伝子を不活性化させ、様々な病気の元となる炎症を起こす遺伝子を活性化させ、逆に2の喜びは、免疫力を高める遺伝子を活性化させ、様々な炎症を起こす遺伝子を不活性化することが分かっているそうです。
 
つまり2の喜びからくる幸せは、遺伝子をより健康なものへと変える効果があると。
 
そこで親として、子供達に1だけでなく、より2の喜びを体験させる機会を多く与えることで、遺伝子をより健やかなるものへとプログラムし直すことができるのではないか、そうGwen Dewar氏は提案します。それが、親から子供へ与えることのできる、最高のギフトではないだろうかと。
 
心に響くメッセージです。
 
 
 
10から1まで、興味深い研究の数々、日々子供達に接する中、覚えておきたいです!
 
 
 

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参考資料:
 
′Top ten parenting science stories of 2013′ by Gwen Dewar. Ph.D.
http://blogs.babycenter.com/mom_stories/01042014-top-ten-parenting-science-stories-of-2013/
 
‘Free choice, not coercion, makes kids more generous’ by Gwen Dewar. Ph.D.
http://blogs.babycenter.com/mom_stories/free-choice-not-coercion-makes-kids-more-generous/
 
‘Preschoolers with permissive parents show less self control’ by Gwen Dewar Ph.D.
http://blogs.babycenter.com/mom_stories/preschoolers-with-permissive-parents-show-less-self-control/
 
‘Can meaningful happiness “reprogram” your childs DNA?’ by Gwen Dewar Ph.D.
http://blogs.babycenter.com/mom_stories/can-meaningful-happiness-reprogram-your-childs-dna/

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