食卓の「キヌア」から見える世界

ここ一年ほど、ポトラック(料理持ち寄り)の集まりなどで必ずお目にかかるのが、「キヌア・サラダ」。それ以前は、あまり聞いたこともなかったのですが、今では必ずどなたかが持参します。
 
家でも「キヌア」、ここ数年ほどお米に混ぜて一緒に炊いています。雑穀米感覚で。大手ホールセールの店で購入しているのですが、ここ数ヶ月の間になんと値段が二倍ほど!にはね上がりました。

 
 
「キヌア」は、正確には「穀物(grain)」ではなく、ほうれん草やビートなどを含むアガサ属(goosefoot)の植物だそう。
 
・人に必要な十の主要なアミノ酸やミネラルを、米や麦やオートなどのどんな穀物よりも多く含み、
 
動物性たんぱく質に匹敵するたんぱく質量
 
カロリー的にも卵や牛乳を凌ぎ、肉と同じくらい
 
ビタミンEやビタミンB2なども多く
 
・最近の研究では、エストロゲン(女性ホルモンの一種)が豊富で、更年期の後のエストロゲン不足からくる乳がんや様々な症状を防ぐことができるとも分かっているそう。
 
とにかく、「一種でこれほどの栄養価を供給できる食物というのはキヌアくらい」ということで、NASAの宇宙飛行士の食事にも加えられているようです。

 
 
 

南米のボリビア・ペルー地域でのみ食されてきたキヌア、今では世界中で注目され、ヨーロッパ、米国、アジアの国々でも食卓に。国連は、キヌアの秘めるその可能性ら、2013年を「キヌアの年」と名づけ。キヌアが世界の食糧危機、栄養不足改善に重要な役割を果たせるのではないかと。

 
 

ボリビアやペルーでは、何千年にも渡って主食だったキヌア。それでも、こうした世界の流れの中で、現地でも値段が高騰、もっぱら「食べる」より「売る」ためのものに。今では現地の主食は、より安価な米やパスタや輸入物のジャンクフードに取って代わられ、現地の人々の栄養面が懸念されています。
 
これらの問題の解決策として、「生産地を増やしていこう」という動きが盛んになってきているようです。何でもキヌア、かなり過酷な気候でも持ち堪えられるほど「育て易い植物」なのだそう。海抜3600m、雨も多く、年に200日霜が降りるようなボリビアですくすくと育つ!のですから。いくつかの地域(アフリカのマラウイ共和国やパキスタンなど)で、栽培が成功し始めていると報告されています。

 
 
 

キヌア混ぜごはんをいただきながら、子供達とそんな話を。

 
「食べない」ことが解決になるのかな?
 
よりヘルシーな食べ物が行き渡るのはいいことだよね。
 
より多くの人が食べようとすることで、より作ろうという動きが出て、生産する場所や人々も増えていく。
 
そしたら、値段も下がって現地の人の手に届くようにもなるかな。
 
厳しい環境でも育ち易いっていうのは最高だね。
 
初めは世界の限られた場所だけで食べられていて、今では世界中で日常的に食べられているものってあるよね。ジャガイモやトウモロコシや、元々は南米インカから広まっていった。
 
キヌアも将来、世界中で日常的に食べられる食物になるのかな。もうすでなりつつあるかもしれないね。
 
 
 
目の前の食物も、世界と繋がっている、そうしみじみと。
 
生産地が増えていくことを願いつつ、
 
アンデスの人々を想いつつ。
 
 
 
トマト、ケール、玉ねぎ、コーン、ハムス(ひよこ豆ペースト)などと混ぜた「キヌアサラダ」。コリアンダーをのせて。
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アンカレッジの大手ホールセールの店で売っているキヌア。ボリビア産。
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