学習支援

子供を伸ばす「褒め方」

062子供は褒めて伸ばしましょう。

本当にそう思います。

褒められたときの、あのぱっと輝く笑顔!

 

 

それでも、「褒め方」によっては、子供達にとって良い効果をもたらすこともあれば、あまり良くない効果をもたらす場合もある、そう示す研究も多くあるようです。

 

日本の言葉「褒め殺し」とは本当によく言ったもので、「褒める」ということには、そんな「諸刃の刃」な両面あるということを思い出しつつ、子供達、たくさん褒めてやりたいです。

 

心理学に詳しい人類学者Dewar氏は、何十年もの間「褒める」ということについて研究を続ける心理学者のJennifer Henderlong Corpus氏とMark Lepper氏の発見を基に、「褒める」時、心に留めておくといい点について、以下のようにまとめています。

 


1.誠実に特定のことを褒める。

生後24ヶ月くらいまでは、どんな言葉での褒め方であったとしても、その子ができるようになったことなど、とにかく褒めるのがいいようです。赤ちゃんは、ああ何だかママとパパ楽しそうに喜んでるなあくらいで、まだ言葉のニュアンスや詳しい意味など読み取れませんものね。三歳児対象の調査で、積極的に課題にチャレンジしやり抜く子供は、それまで母親にたくさん褒められた子だったという結果もあるようです。

 

それでも、より成熟した子には、「とにかく褒める」では、自信やその子との関係を損ねることにもなり得るとされています。

 

自分のこと可愛そうに思ってるんじゃないか、ただ思い通りにさせようとしてるだけなんじゃないか、自分のことを全然理解してないんだなあと、思ってしまうこともあるとか。

 

そこで、いいわねえ~、すご~いといった漠然とした言葉ではなく、より具体的な特定のことについて褒めるようにします。ああ私のこと僕のことちゃんと見て分かってくれてるんだな、と子供達の心に届くように。

 

確かに、我が家でも、私が適当に言っているか、きちんと見て心から言っているのか、子供達すぐに察知しますね。

「すっご~い!」「やった~!」 と何かの片手間に声をかけると、

「ママ、聞いてなかったでしょ」「ママ、全然関心ないでしょ」 そう返ってくることがあります。(笑)

 

「トラック三週を○○秒で走れたなんてすごいね。この前より○秒も速くなったじゃない!」

などより具体化して特定のことを褒めると、子供達も、ああちゃんと見てくれてるんだなと思いますね。

 

 


2.変えられると実感できることを褒める

「子供が率先して取り組む言葉がけとは?」で少し取り挙げましたが、知性や才能など、そう簡単に「結果」が手に入るわけでないものに対し褒める時は、気をつけた方がいいようです。

 

知性や才能などについては、賢さや上手さよりも、努力や戦略など、その子が変えられると実感できるものに対して、褒めるよう心がけます。

 

「なんて頭がいいの!」より、「その難しい問題を最後までやり抜けたなんてすごいわね!」

「上手に弾けるね!」より、「今度は次にどのキーに指を持っていくか前もって用意できたのね!」

 

子供達は賢さや上手さなどのその時点での「結果」を褒められることで、それらの評価を損なうことを恐れ、失敗する可能性のあるより難しい課題などにチャレンジすることを避けるようになると言われます。

 

また、知性や才能などは、元々何度も失敗して少しずつ積み重ねていけるもの。賢い!上手!など「結果」を褒められることで、賢く「見せよう」、うまく「見せよう」といった表面的な術のみを身に着ける方向へと子供達の心が動いてしまうということもあるようです。

 

失敗すること、そしてより難しい課題へチャレンジすることは、知性や才能を伸ばしていく上で、とても大切な要素です。

何度転んでも立ち上がりと努力し続ける姿を、たくさん褒めてやりたいです

 




3.到達してほしい基準を描写した褒め方を

その子にとって、易し過ぎず、難し過ぎずのちょうどよい基準を示した褒め方をするようにします。

「よくできたわね!」だけでなく、

「あなたのこのエッセイの書き出しがいいわね。問題を提起して、きちんとどうしてその問題が重要なのかを説明しているもの」

などと褒めることで、次回からも、どういったことを大切にしたらいいのかがよく分かるフィードバックになります。

 

 

 

4、現実的な範囲を越え、褒め過ぎない

「すごいわね! こんなにうまく文章が書ける子見たことがないわ!」
「あなたみたいな、行儀のよい子今まで出会ったことがない!」

 

こういった現実的でない言葉は、子供が大きくなるほど、子供の気持ちもしらけていくようです。

 

もっとうまく文章を書ける子はいるに決まってるし、
今までもっと行儀のよい子に会ったことがあるに決まっているじゃない、と。

 

こちらでは時々こんな褒め方に出会うことがあります。「今までで一番言うこと聞けてお利口さんだわ!」という医師(小児科医ではない)や、「このクラスが今までで最高のクラスよ!」と毎年生徒に向かっておっしゃる先生や。私などは何てポジティブなんでしょう!と思うのですが、子供達に聞くと、その先生のクラスメート皆、「そんなわけないに決まってる」と思っているようです。家のように、兄姉から「自分達の時にも同じことを言っていた」と聞いている子もいますしね。

 

子供は、大人が思う以上に、鋭く観察してますね。現実的で子供の心に届く褒め方をしていきたいです。

 

 

 

5.簡単に達成できることを、褒め過ぎない

すぐにできてしまうことに対して褒められると、特により年齢が上の子ほど、あなたはこれがどれほど簡単な課題か分かってないしょうがない人ね、と思うか、あなたは私がこんなこともできないしょうがない子だと思ってるわけね、と思ってしまうとのこと。

 

米国での四歳から十二歳の子に向けた実験で、課題を与え、同じような結果を出した子に対して、一人は褒め、一人は褒めないとした様子を撮影した映像を子供達に見せ、その二人の努力や能力について分析させたものがあります。
どんな年齢の子も、「褒められた子」の方が、「より努力した」と分析します。それでも、年齢が高い子供ほど、「褒められた子」の方が「能力的に劣っている」と分析したそうです。

 

面白いのが、同じ実験を中国でしたところ、どの年齢の子も、「褒められた子の方が能力的に劣っている」とは思わなかったそうです。これは、中国などでは「褒める」ということ自体、とても稀であり、本当に素晴らしいときにしか大人は褒めることをしないと子供達が思っているためと説明されます。

 

日本も、こちら米国に比べると、どちらかというと中国のような結果が出るのかもしれませんね。

 

こちら米国では「自己評価をあげる」ため、とにかく褒めまくるという風潮があります。そして、昨今そうした「褒めすぎることの害」が言われるようになってきています。

 

メキシコ人の友人が、子供達のサッカーの試合で、こちらの親の「褒め度」に、呆れていたのを思い出します。とんでもない方向へボールが飛んでいこうが、その子の「自信を損なわないように」と、とにかく「褒める」。「何を改善したらいいかを誠実に話し合って、もっと練習する方がよほど自信がつくのよ」と友人がつぶやいていたのが、とても印象的でした。

 

その子をよく観察し、その子のためになる褒め方をしていきたいです。

 


6.その子が好きで自ら没頭することに対して褒め過ぎない

その子が自ずと没頭してしまう大好きなことに対して褒める時も、気をつけたほうがいいようです。特に年齢が上の子に対しては、その好きな課題に取り組む度に、褒めることを繰り返すと、やる気を損ねてしまうともされています。

 

特定の課題を達成する度に、物質的な報酬を受け取り続けることで、人はその課題に対する態度を変えてしまうという研究があります。課題へ取り組む楽しみよりも、手にする報酬にフォーカスするようになってしまうというのです。そして最近の脳の研究では、こうした「物質的な報酬」と、褒めるといった「社会的な報酬」とは、脳の同じ箇所を活発にさせることが分かっているそうです。

 

その子が楽しく思い、自ずと入り込んでしまうことに対しては、一人で探索できるようそっとしてやり、とり立てて褒めるといった必要もないのかもしれませんね。

 



7.他人と比べるのではなく、課題を習得することにフォーカスする。

周りの子に比べ、よりできた時に褒めるというのは、確かに子供達のやる気や課題に取り組む楽しみを増大させるという調査結果があります。それでも、こうした他者との比較の上で褒めるということには、以下の二つの問題点があると、Dwek氏は言います。

 

一、一番になれるときだけ、やる気になるようになる

米国の四年生と五年生を対象にした実験にこういったものがあります:

パズルを完成した子供達に対し、

Ⅰ、他の子と比べて褒める

Ⅱ、達成したことを褒める

と違った褒め方をします。次に、また別の課題を与えます。そして子供達が課題をやり終えた後、何のフィードバックも与えないようにするのです。すると、「Ⅰの他の子と比べて褒められた子供達」はやる気を失い、「Ⅱの達成したことを褒められた子」はやる気を保ち続けたといいます。

比較して褒められた子は、自分が他の子より優れているという言葉がけがなくなった途端、やる気を失ってしまったのです。

 

二、学び習得することよりも、他人と比べての順位が目標になってしまう

自分が他人より優れているということを示すことが関心の中心となり、学ぶ喜びや、内的な動機に目が向きにくくなります。

 

そして負ける恐れのある新しい課題やより難しい課題には、取り組むのを避けるようにもなるようです。また失敗から学ぶより、失敗に対し自分はどうしようもない子なのだといった反応を示すようになるともされています。

 

我が家でも子供達の前では、お友達、兄弟姉妹間での比較を口にしないよう気をつけています。「比較」は時にその子について客観的に知るためのとても有効な方法になり得ますが、子供には感じさせないようにします。他の子と比べ、どうせ自分にはあの子ほどうまくできないんだと歩くのをやめてしまっては、せっかくのその子独自の芽を育てていくこともできません。
 
他の子との「比較」は、勝つぞ!といった即効性のあるやる気を起こす効果はあるかもしれませんが、長い目で見るとうまくいきません。周りではなく、昨日の自分自身と比較し、少しでもよくなっているか、そうフォーカスしていけるよう励ましていきたい、そう思っています。

 

 

子供を伸ばす褒め方とは?

誠実に、具体的な描写を用いて褒める。
能力や才能に関することは「努力」を褒める。
その子のレベルをよく観察して褒める。
大好きな課題に没頭している時はそっとしてやる。
周りとではなくその子自身の過去と比較し、学び習得することにフォーカスして褒める。

 

子供達が大きく羽ばたいていけるような褒め方を、心がけていきたいです!
 

 

 

 

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参考資料:

‘The Effects of Praise on Children’s Intrinsic Motivation: A Review and Synthesis’

By Jennifer Henderlong and Mark R. Lepper 2002

http://www.inner-cityarts.org/documents/resources/EffectsofPraiseonMotivationHenderlongLepper.pdf

 

‘The Effect of Praise: What scientific studies reveal about the right way to praise kids’  by Gwen Gwen Dewar, Ph.D.

http://www.parentingscience.com/effects-of-praise.html

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