キャンプからの帰り、
どうしても寄りたいところがあると長男。
往復で一時間半ほど寄道し、
たどり着いたのは、
スワード市にあるマラソン山。
今からちょうど三年前、
長男が崖から落ち、
手首複雑骨折した地。
毎年独立記念日には、
このマラソン山を駆け上って下りるレースがある。
足場の悪い急斜面が続き、
毎年怪我人や死者が絶えないレース。
そのレースに出てみたいと下見に来て、
事故にあった長男。
三年前:
駐車場で下の子達三人と待っていると、
落石と共に叫び声が聞こえ、
嫌な予感でいてもたってもいられず、
夫に肩を支えられながら降りてきた長男が、
真っ青ながらまずは歩いている姿に、
へなへなと地面にしゃがみこんだ。
麓の救急病院に駆け込み、
向くはずのない方向を向いている手首を前に、
歯を食いしばる長男。
「大丈夫、絶対元に戻るから」
と励ましながら、
私自身が気を失い。
六十メートル近くの絶壁を落ち、
奇跡的に手首複雑骨折だけですんだ。
もう腕が伸びないかもしれませんと言われ、
それでもありがたいことに、
腕は伸び続けている。
もし、
崖の途中であの木にひっかからなかったら、
その先また三十メートル程の絶壁を落ちていた。
「かなりの衝撃が加わったようですね」と
手首のレントゲンを見ながらおっしゃった医師。
もし、
木にぶつけたのが手首でなく、
頭だったら、首だったら、背中だったら・・・。
ただこうして無事でいられること、
感謝の気持ちに溢れます。
「感謝の気持ち」というのは、
きっと、
「今どれだけ与えられているか」を思い出す時、
湧き上がってくる。
失ってから気がつくのでなく、
今この瞬間にどれほど与えられているか、
気がついていきたい。
斜面を登り、
杉林を行き。
サーモンベリーもうすぐ赤くなるね。
細くなる道。
あ、ここだ、と長男。
目のくらむ崖。
肩を抱えられ降りてきた岩場
今日もこうして
大地を踏みしめられること
幾兆もの細胞が働き
心臓が規則正しく血液を送り出し
酸素を吸い二酸化炭素を吐き出し
その奇跡に
感謝を捧げて
↓