エンパシー(気持ちに寄り添う力)

共感力を育むために役立つ10のヒント

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「共感力」というと、

他者の気持ちを感じられる力、

他者の側に立って他者の見方を理解できる力、

などが思い浮かびます。

 

先の記事で触れましたが

それでも共感力を育むには、

こうした「相手の気持ちを感じ取る力」と共に、

「ネガティブな感情に向き合い昇華できる力」を育んでいくことが大切、

そう説く神経科学者Jean Decety氏とPhilip L. Jackson氏の研究に、

深く同意します。

 

他者の気持ちに敏感になり、

なだれこんでくる悲しみや苦しみに一緒に溺れてしまっては、

自身も相手もどこにもたどり着きません。

 

また他者の悲しみや苦しみに敏感になると辛くてしょうがないから、

最初から他者の側に立つことをやめてしまおう、
ということもあるかもしれません。

 

Decety氏とJackson氏は、

共感力は以下の三つの要素から構成されるとします:

 

1.自身と他者との感覚の区別

2.他者の物事の見方や捉え方を理解できる

3.自身の感情的反応を調整できる

 

「3」がしっかりと備わっているのならば、

共感力として一般的に言われる「1」や「2」を存分に発揮でき、

解決に向け相手の状況へと働きかけていくこともできます。

 

「共感力」とは、
確かに生まれ持っての得て不得手がありますが、

働きかけによって育んでいけるものです。

 

人類学者Dewar氏は、

以上のことを踏まえた上で、

共感力を育むためのヒントをまとめています。

 

では、共感力を教えるための10のヒント、1から!
 
 
 

1.子供の情緒的なニーズに向き合い、苦しみや悲しみからどう立ち上がるかを教える。

 

子供自身の感情的なニーズが家庭で満たされている子ほど、より強い共感力を発達させるという研究があります。

 

世話をする人との間に、情緒的身体的なサポートに頼ることができるといった安心感を築けている子ほど、周りで困っていたり悲しんでいたりする子を助けようとするとのこと。
 

またその子のネガティブな感情を感じ取り、解決を目指し向き合うことを助けようとする両親などの存在がある場合ほど、その子は周りの子に対し共感力を発揮すると言います。

 
 
 


2.子供を「精神や知性(mind)」を持った一人の人として扱う。

 

(「mind」は日本語で「心」といより、思考や理性を含む「精神や知性」といった方が近いですね)

日頃から「精神や知性」の仕組みについて話す機会を持つようにします。信じることや望むことや感情というものが、いかに行為行動の動機となるかについて話し合ってみます。

 

我が家ではマインドフルネスを通し、自身の「マインド」の動きを見つめることを話し合うようにしています。

 
 
 


3.日々の生活でモデルを示す。

 

日々の出来事やテレビや本で目にする、辛い目にあった人々、厳しい状況にある人々、被害に合った人々がどういう気持ちかを話し合ってみます。

様々な境遇にある人々の気持ちを理解しようとする姿勢を周りの大人が体現するよう心がけます。

 
 
 

他者との間の共通点を見出すよう助ける。

子供達は、自身が身近に感じたり、似ていると思う相手により共感すると言われます。また、不快な体験を共にした相手には共感しやすいとも。

 

身近な人から、全く似ても似つかない人まで、自身との共通点を見つけるよう話し合ってみます。考え方や育った環境や肌の色が違っても、同じように愛する人がいて、同じように日々喜び悲しみ、真っ赤な血が体中を巡る温もりを持った同じ人間、そう実感できるよう。

 

そうした同じ人間が、不快な目に合っていると認識することで、また共感力も生まれます。

 
 
 

5.自身と他者との間の「温度差」について教える。

 

お腹がすいてないと、お腹がすいている人の気持ちに共感しにくいもの。自分が満たされ「涼しい」状態であると、空腹など、どれだけ感情的に身体的に「熱い」状態であるかをなかなか共感できにくいと言われます。

 

これら自身と他者との「温度差」は、判断を誤ったり共感しにくかったりといったことにも繋がります。それでも一旦こうした「温度差」が存在すると自覚することで、共感力を育むために活用することもできます。

 

・高飛車なクラスメートに恥をかかせられたのなら、これからは自分が周りに高飛車に振舞わないよう気をつける機会にします。

 

・長距離を車で行く長旅に不快感を示す子供に、一昔前の祖先の旅がどういうものだった想像させてみます。舗装されない道を、砂埃にまみれ、馬に引かれがたがたと果てしなく揺られて行ったのでしょう。

 

また、「温度差」の存在を理解することで、自分の力を過信しないよう気をつけることもできます。

「温度差」についての研究は、「誘惑に打ち勝とう」とするより、「誘惑を起こさせる状況を避ける」ことの方が、より効果的だと示します。「自制心」を学ぶとは、単に「強い」だけでなく、「賢く」あること。宿題に向き合う際は、電子機器から遠ざかる、人気の無い子を邪険に扱うような友人からは距離を持ち、違う子達と交流するなど。

 
 

 

他者の立場や役割について探索させる。

 

他者の目から見たら世界はどう見えるのでしょうか?

 

本やテレビなどの物語は、他者の立場に立ってみる格好の機会を与えてくれます。その登場人物は何を考え、何を信じ、何が欲しくて、どう感じているのか。話し合うことがいいと示す実験があります:

 

百十人の七歳の生徒達に、読書させます。読後、何人かの生徒にはその本の感情的な内容について会話させるようにします。そして何人かには、その内容について絵だけを描くようにさせます。二ヵ月後、感情について会話をした子供達は、より感情や精神や知性についての理解、共感力を示したといいます。その効果は六ヶ月続いたとのこと。

 

また、医学生を対象にした実験では、透明のテープを貼ったゴーグルをつけ、思いゴムの手袋をはめ、そう老人の白内障や動きを体験させてみせます。すると、学生はより老人に対する共感力を示すようになったとのこと。

 

こうして実際に擬似体験させるのもいいですね。

 
 

 

7.相手の表情を真似てみる。

 

悲しい顔をすると悲しい気持ちになり、嬉しい顔をすると嬉しい気持ちになる、そう示す実験があります。特定の表情を真似することで、その表情に呼応する感情を司る脳の部位が活性化される、また心拍数や体温の変化や、ガルヴァニック皮膚反応(Galvanic skin response皮膚流れる電流抵抗皮膚の湿気低くなること)なども見られると言うのです。

 

ということは、相手の表情を真似てみることで、相手の気持ちをより理解できるのではないか?そうDecety氏&Jackson氏。

 

またこの表情を真似てみるメソッドは、エドガー・アラン・ポーの短編小説「the Purloined Letter」にも出てくるとのこと。

 

 
 

8.報酬や罰によるのではなく、内面的な自制心によるモラルを発達させるよう助ける。

 

他人を助けることで物質的な報酬を与えられると、子供はより他人を助けることをしなくなる、と示す実験があります。

 

また「民主的子育てスタイル」(恣意的なルールや重い罰によるのではなく、理性的な説明やモラル的な結果を強調したスタイル。「子育ての極意?「民主的子育てスタイル」参照)で育てられる子は、より内面的に何が正しく間違っているかという感覚を育んでいくとのこと。

 
 
 

9.より年齢が上の子とは、「内面に根ざすモラル」について話し合う。

 

平均的で善良な人々でも、「正当な理由」が与えられるなら、他者を傷つけ拷問さえもできてしまうと示す研究(by 社会心理学者Stanley Milgram)があります。

 

「学習実験」と称されたこの実験では、ボタンを押すと、(実際は俳優が痛がる振りをするのですが)ある人物に電気ショックが伝わるという設定で、実験参加者は、白衣を着た人物に、ボタンを押し続けるよう促されます。

 

悲鳴を上げ痛がる(振りをする)人物、それでも義務を遂行するといった様子の白衣を着た権威的な人物に促
され、悶え叫ぶその人物が意識を失った(振りをする)後でさえ、65パーセントの人々がボタンを押し続けたといいます。

 

これらの人々は感情の無い「サイコパス」ではなく、権威的な人物から社会的プレッシャーを与えられた「極めて普通の人々」。

 

「正当な理由」が与えられ、社会的状況が揃うならば、大人も子供も他者に対して残酷になれてしまう。

より年齢が上の子に対しては、Milgram氏のこの「有名な実験」について話し合ってみるのもいいかもしれません、そうDewar氏は提案します。

 

歴史を振り返っても、今でも、こうした現象は頻繁に見られるもの。一人一人の内面に根ざすモラルとは何なのか、見つめていきたいです。

 
 
 

10.温もりで包み、「オキシトシン」レベルを上げる。

 

ホルモンの一種「オキシトシン(oxytocin)」レベルが高いと、より他者の感情を読み取る力も上がるとのこと。三十人の青年にオキシトシンを吸わせ、人の目を写したいくつかの写真をみせたところ、吸わなかった青年に比べ、気持ちを読み取ることに秀でたのこと。

 

母乳の分泌や子宮収縮などを促すともされるこの「オキシトシン」とは、ハグやマッサージなどのスキンシップ、また気持ちの良い社会的な交わりなどで分泌されると言われます。

 

子供達を温もりで包み込んでやる、それがまた、他者への共感力を養うことにもなるんですね。

 
 
 
 

 

共感力を育むヒントとは?

 

感情、精神、知性を持った一人の人として子供達に向き合い

ネガティブな感情から解決に向け立ち上がることを助け

モデルを示し

他者との共通点を見出し

自身と他者との「温度差」を自覚し

他者の立場から物事を眺め

他者の表情を真似てみ

内面的なモラルを育み

温もりで包む

 

心に留め、日々子供達に向き合っていきたいです!

 
 
 
 
 
 
 

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参考資料:

 

’Teaching empathy: Evidence-based tips for fostering empathy in children’ by Gwen Dewar, Ph.D.

http://www.parentingscience.com/teaching-empathy-tips.html

 

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