多様性

ムカッとした長男へ、多様性がいかに人を賢くするか

今朝目が覚めたら、
銀世界!
015
来年五月頃の雪解けまで。
 
 
 
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一昨日のこと。
 
「何で僕がやろうとしてることに、そうやってケチつけるわけ」
 
車の助手席でムスッとする長男十五歳。
 
「自分とは違う意見や違う見方に触れるとね、不快で、むかついて、シャットダウンしたくなって、時に攻撃したくなって。特にそれが自分の思い入れが強くて、やってやろう!と意気込んでいることだったり、身近な人からだったりしたら尚更かもしれないね。
 
でもね、そうやって自分とは異なる意見や見方に耳を傾けて、対話してみるのって、実は結果的にとてもためになることだったりするのよ」
 
と私。
 
はっ?っという顔でこちらを見る長男。
 
 
 
そこで、少し前に読んだ科学雑誌「Scientific American」の記事「How Diversity makes us smarter? (多様性がいかに私達を賢くするか?)」について説明してみました。:
 
何らかのグループ内での多様性というのは、不快さ、交流の粗さ、信じることの欠如、より大きな葛藤、コミュニケーションレベルの低下、結合(cohesion)の低下、不敬の増大、他にも多くの問題を生み出すと示す研究ってたくさんある。米国の最高裁判所も、多様性の徳(virtue)やそれを目指す意味に同意してないって。
 
でもそれは、多様性のもたらす「一つの側面」。
多様性にはまた「違う面」もあって。
 
何らかのグループ内での多様性というのは、革新的な考え方や、創造性や、新しい発明や、より課題について突き詰める態度や、そういったポジティブな要素を生み出すと示す研究もたくさんあるのよ。
 
例えば:
 
・上層部で男女両性が活躍していたり、多様な文化背景を持った人々を雇用している会社の方が、そうでない会社より革新的でより良い成果をあげている。
 
・ティームワークで問題を解きましょうというような課題を与えられた場合、人種的に多様なグループや、政治的な見解の違うメンバーのいるグループの方が、より問題解決能力が高い。
 
・1985年から2008年の間に出された150万の科学論文を調査したところ、民族的に多様な研究者が集まって出された論文の方が、より創造的でインパクトを与えるものだった。そしてより強い論文というのは、より地理的に広がりのある多くの人々が関わり、より多くの参考資料に基づいたものだった。
 
・自身とは異なる意見や見解を持つ相手に向かって話すほうが、より準備し、より質の高いプリゼンテーション内容となる。
 
こういった例が記事の中にいくつか挙げられている。
 
 
互いに異なる意見や見方を合わせることで、様々な角度から課題に向き合うことができて、結果的に面白い革新的なアイデアが生み出されたり、問題に対処する能力が上がるということなのね。
 
これ、よく分かるよね。
 
物事には様々な面があって、一つの方向だけからよりも、あちらからもこちらからも眺めてみた方が、その物事についてより分かるし、その物事についての向き合い方も向上する。そういった「違う見方」を提供してくれる人々と力を合わせていくほうが、一つの方向からぶつかっていくよりも、よい結果を生み出せるに決まってるもの。
 
 
でも、多様な考えや見方をする人々と共に何かを創り出す過程では、確かにより不快な気持ちや葛藤も体験するし、より大変だったりもする。自分と同じ見方や考え方をする人々だけに囲まれていた方が、いちいち説明しなくても以心伝心が可能だったり、ほっとしてゆったりできて。
 
 
この記事の最後、こんな言葉で結んであったの。
 
「多様性に伴う『痛み』は、運動の『痛み』のようなものだと思えばいい。筋肉を鍛えるには少し自分をプッシュしなければならない。゛no pain, no gain”(労なくして得るものなし)という言葉があるけれど、まさにそのpain(痛み)がgain(得るもの)を生み出す。全体的なチーム、組織、社会として、私達は多様性を必要としている。もし、私達が変化し、成長し、革新的であることを目指すのならば」
 
ママなるほどなと思った。
 
そして、なぜ最高裁が多様性のメリットに同意しないかも少し理解できたような気がした。「法」は、「革新的な変化や成長」を目指してるわけではなく、既存のシステムをより「効率的に維持して守ること」を目的としているからね。
 
 
 
さて、初めの話に戻るけれど。
 
だからね、今あなたは違う意見を言われて、そうやってムカッとしたわけだけれど、ママやパパを説得する時間やエネルギーってね、実はあなたにとって、とてもためになることだったりするのよ。
 
ママにもパパにも分かるように説明して、時に反対意見やとんちんかんに思えることを言うかもしれないけれど、論理的に説明して納得させてみて。それは面倒くさいことだろうけど、それがあなたに「筋肉」をつける。あなたをより「賢く」する。
 
社会に出たらね、もっと全く違う人々と交わり、その人達を説得していかなきゃいけなくなるんだから。ママとパパでトレーニングしていくといいのよ。
 
 
 
長男、かなり納得したようでした。頷きながら、Thanksと呟いて。
 
 
私自身も、他者との交わりの中で、思い出していきたいです。
多様性のもたらす「ペイン(痛み)」と「ゲイン(得るもの)」について。
 
 
 
皆様、新しい週、どうぞ良い日々をお送りください!
 
 
 

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