マインドフルネス

うつ状態のメカニズム、どうしたら抜けられる?

お知らせ:
 
「はじめに」のページにある、「ユア子育てスタジオ」でお届けする情報について
 
・子供や子供を取り巻く大人のマインド・バランスについて
 
を付け加えました。
 
現在、マインドフルネスについて学びつつ実践しています。MBSR(マインドフルネス・ストレス低減プログラム)を10月末に修了し、「Mindfulness Schools」にて、マインドフルネス・ティーチャー資格修得予定です。また自宅にて、マインドフルネス実践の場「マインド・バランスな夕べ」を始めました。
 
 
 

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うつ状態に落ち込んでいく仕組みとは?
そこから抜けるには?
 
「第三世代の療法」と言われる「マインドフルネス認知療法」の試みについて紹介します。
 
 
1991年、三人の心理学者によってMBSR(マインドフルネス・ストレス低減プログラム)を基に開発されたマインドフルネス認知療法(Mindfulness-based cognitive therapy:MBCT、英国では国の機関(英国国立医療技術評価機構)が、うつ病患者に勧める療法です。うつ病を三度以上経験した患者について、従来の療法と比べ再現率が半減したという研究報告もあります。(Wikipedia)
 
「マインドフルネス認知療法」では、ヒトのマインド(思考感情)とは、通常「するモード(doing-mode)」になっていると考えます。
 
その「するモード」を支えるのが以下の「3つのポイント」です
 
1.現時点の位置確認
2.どこへたどり着きたいかを定める
3.どこへたどり着きたくないかを定める
 
「するモード」では、1、2、3を常に思い出し比較しつつ、2と3で定めたゴールに何とかたどり着こうと、様々工夫し考え続けます。
 
例えば、
1.商品が売れない(現時点の位置確認
2.売れるようにする(どこへたどり着きたいかを定める
3.売れないままではだめ(どこへたどり着きたくないかを定める
 
1から2と3へのギャップを念頭に、2と3を達成するため、他の商品と比べ欠けた部分をあげ、過去に遡りうまくいかない理由を並べ、なぜ売れないか? を分析し、未来に向け売れるよう工夫していきます。
 
こうしたマインドの「するモード」により、ヒトは様々な物事を成し遂げます。皿洗いから、仕事のノルマから、商品販売から、ビルの建築まで、あらゆることをです。
 
「外の世界」で何かを成し遂げるためには、目標を定めて突き進むといったこの「するモード」は必要不可欠であり、有効です。
 
 
 
ところが、この「するモード」を「内面的な世界」に当てはめる時、とんでもなくうまくいかない事態が生まれてしまいます。
 
例えば、
1.ハッピーじゃない(現時点の自身の位置確認
2.ハッピーになりたい(どこへたどり着きたいかを定める
3.ハッピーじゃない状態は嫌だ(どこへたどり着きたくないかを定める
 
内面的な世界では、これら「1から2と3へのギャップを念頭に、2と3を達成するため、様々考え工夫する」という過程が、多くの場合、より悪い結果へと繋がってしまうと言うのです。
 
例えば、まずは「なぜ自分はハッピーじゃないか?」と問い始めます。
皆あんなにハッピーそうなのに、どうして自分は違うんだろう? なんで自分にだけこんな不幸な出来事が起こるんだろう? なんでいつもこうなってしまうんだろう? 自分には一体何が欠けているんだろう? 
 
他者と比べ、欠けた部分をあげ、過去に遡りうまくいかなかった思い出を並べ、
自分にはこんなことが欠けているからか。他人に比べこんな部分が劣っている。これも足りないあれも足りない。こんな部分さえあれば。あの人のように恵まれていたら。過去こんなこともあったあんなこともあった。昔からずっとそうだったな。
 
そして未来を思い、
このままいったら将来はどうなるんだろう、うまくいくわけないじゃないか・・・。
 
「2と3にたどり着くために、様々工夫し考える」はずが、気持ちは沈み、やる気も失せ、来し方も行く末も真っ暗と絶望感にさいなまれ。
 
内面世界は、商品販売や、流し場に皿がたまってる、よし洗おう、ああすっきり台所が片付いた、のように「するモード」で単純にゴール達成!となるものではないんですね。
 
 
こうした「明確な答えのない問いを何度も何度も繰り返し抜けられなくなる状態」を、心理学では「rumination(反芻して思い巡らすこと)」と呼んでいるそうです。そして何十年もruminationについて研究を続けた心理学者によると、ruminationは、状況を悪化させてしまうだけだと言います。
 
 
 
ではどうしたらいいのか?
 
「するモード」から「別のモード」に切り替えるのが、有効とされています。
 
マインド(思考感情)というのは、自動車のギアのように、一つのモードで動くもの。うまくいかなくなったモードを抜けるには、別のモードへとシフトすればいいと。
 
まずは、自身が「堂々巡りの問いにはまり込み落ち続けている」と「気がついて」みること。そして、悲しみや不幸せな気持ちや不快な感情に、より有効に向き合うことのできる「他のモード」を培うようにします。
 
 
「するモード」には7つの特徴があります。
1.オートパイロット
2.「考え」を通した体験
3.過去と未来に漂う
4.不快な体験を避け、逃避し、取り除こうとする
5.現時点とは異なる必要がある
6.「考え」や「アイデア」をリアルなものと捉える
7.達成することにフォーカスしその副作用を考慮しない。例えば自身や他人に対しての思いやりに欠けていたり。
 
 
この「するモード」に対する特徴を持つのが、「あるモード(being-mode)」です。
 
以下が「あるモード」「7つの特徴」です。
1.意識的に気づいた状態で選択の余地あり
2.直接的な感覚を通した体験
3.今この瞬間にある
4.不快な体験に興味を持って向き合う
5.物事が既にある状態であることを許す
6.「考え」や「アイデア」はメンタルな出来事と捉える
7.より広いニーズに敏感になる
 
この「あるモード」こそが、「マインドフルな状態」でもあります。マインドフルネス認知療法では、「するモードの7つの特徴」を自覚し「あるモード7つの特徴」を培うよう働きかけていくのです。
 
 
 
日頃から意識的に「あるモード」をトレーニングし習慣化することで、必要な時によりスムーズにシフトしていけるようになります。そのトレーニングの中心にあるのが、「マインドフルネス瞑想」(アプリやyoutubeなどで三分・五分と気軽に試してみることができます)です。
 
その他にも、エキソサイズやバケーションや、森に散歩に出たり、海辺を歩いてみたり、コメディーショーを見て笑い転げたり、子供達と転げまわって遊んでみたり、カフェでほっと温まったり。そんなひと時も「あるモード」に切り替わる時ですね。
 
 
 
 
うつ状態に落ち込んでいく仕組みとは?
「するモード」を内面世界に当てはめ、明確な答えのない問いにはまりこんだ状態。
 
そこから抜けるには?
1.「するモード」の「3つのポイント・7つの特徴」を自覚し、「するモード」がうまく機能していないことに気づく。
2.「あるモード」の「7つの特徴」を自覚し、「するモード」から「あるモード」へシフトする。
3.普段から「あるモード」を培うことを心がける。
 
 
カナメは、「実践」。
実践の積み重ねが、身体や脳内回路に変化を起こし(脳の変化の研究結果についていずれまとめます)、
現実的な効果を生み出す、
私自身、そうひしひしと実感しています。
 
 
 
 
「するモード」に牛耳られた生活に、「あるモード」を散りばめてみます。
すると、崩れてしまったバランスが、戻り始めます。
バランスを取り戻すのならば、人はより健やかにハッピーになり、持てる力を発揮していくことができるのではないか、
そう探究を続けていきます!
 
 
 
皆様、どうぞ良い日をお過し下さい!
 
 
 
参考資料:
“Mindfulness-Based Cognitive Therapy for Depression” by John Teasdale, Mark Williams and Zindel Segal
“The Mindful Way Workbook”  by John Teasdale, Mark Williams and Zindel Segal
 
 
 

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