子供の食べ物の好き嫌い、そのルーツと対処法

OLYMPUS DIGITAL CAMERA最近、長女13歳と発達心理学についての講義(the Great Course)を見ています。
 
その中で、心理学者Peter M. Vishton氏が、子供の「食べ物の好き嫌い」について、これまでの様々なリサーチを紹介しながら話していたことを参考に、まとめてみます。
 
 
 

人類の歴史を遥か遡ると見えてくる「食べ物の好き嫌い」のルーツ

元々、赤ちゃんというのは、ある程度共通した「好きな味嫌いな味」というものを持って生まれてくると言います。甘い砂糖水を舐めさせれば嬉しそうな表情をし、苦い汁を口に入れれば、あからさまに顔をしかめます。母乳も結構甘かったりするんですよね。私自身授乳時代、ヒトの身体とは、こんな甘みのある液体を作れるものなんだなあと驚きました。
 
こうした生まれ持った味の好き嫌いに加え、その子特有の好き嫌いというのは、大体18ヶ月頃から始まるとされています。赤ちゃん時代は何でも満遍なく食べていた子が、急にやけに注意深くなり、それまで食べたことのない新しい食べ物は嫌!これも嫌! 食べたくな~い! そう好き嫌いの激しい子に豹変してしまうんです。我が家でも覚えがあり、周りでもよく聞くケースです。
 
では、それはなぜでしょうか?
 
その答えは、人類の歴史を遥か遡ると、見えてくるといわれます。人類(ホモサピエンス)が生まれたのは、約15万年程前のこと。そして人類の祖先となる猿人が生まれたのは、その約数100万年程前とされています。そして今から1万2千年頃前までの間、つまりこれまでの人類の歴史のほとんどの期間、人類は「狩猟採集」によって生きてきました。
 
現代のヒトの持っている性質には、人類の歴史の99パーセントの期間を占めるこの「狩猟採集」という生活様式のあり方が、深く刻まれていると考えられています。
 
ヒトはなぜ甘く脂質のある食べ物が大好きなのか? それは、狩猟採集時代、今度食べ物にありつけるのがいつになるか分からないため、高カロリーで腹持ちするものが常に重宝されていたからと言われます。
 
苦いものはなぜ嫌いなのか? 苦味は毒をもっている場合も多く、安全な食べ物を探し出す必要があったためなのです。
 
それでも新しい植物や魚介類などを試し、「食べられるものの範囲」を広げるのは、当時、狩猟採集生活で人類が生き残っていくために大切な営みでした。といって、大人ならば、少々毒のあるものを口にしても、体調をしばらく崩して回復ということが可能でたが、子供時分の小さな身体で「新しい食べ物」を試すことは、生死に大きく関わることを意味しました。その子が大人になるまで生き残る確率は、格段に下がってしまいます。
 
18ヶ月頃から好き嫌いが激しくなるのも、ちょうど母乳に頼る時期を卒業し、様々な食物を試し始める時期と合致します。つまり、現代の子供達が、18ヶ月頃から急に食べ物に注意深くなり「知らない食べ物は嫌!あれも嫌!」と始めるのも、狩猟採集時代の人類の生存本能が根付いているため、と説明されるんですね。
 
 
 

「好き嫌い」へのシンプルかつ有効な対処法

では、この深くインプットされた子供達の「好き嫌いの性質」に対し、どうしたら、様々バラエティーのある食物を食べさせることができるでしょうか。
 
それには、シンプルに、その食物に「さらし慣れさせる(expose)」ことが有効だと分かっています。
 
6ヶ月以下の赤ちゃん45人に8日間インゲン豆をすり潰したものを与える実験では、最初顔をしかめて見るからに不味そうな表情をしても、構わず続けることで、8日後には多くの赤ちゃんが、自分から喜んで食べるようになったと言います。
 
つまり赤ちゃんの表情などにあまり気をとられる必要はないとのこと。それは深く根付いた生存本能がそうさせるだけで、しばらく食べ続け安全で必要なものと身体が納得するならば、いずれ慣れて食べるようになるのです。
 
この「身体が納得」というのも、ポイントだそうです。とにかく、少しでも消化器官に落とし、身体に行き渡らせてみる。すると、身体が必要と納得するならば、しばらくして欲するようになる。人の身体には、そんな「自ら栄養を求めるシステム」というのが、備わっているといいます。
 
また、こんな実験もあります。お母さんを、
 
1.妊娠中たくさん人参を食べたグループ
2.授乳中たくさん人参を食べたグループ
3.妊娠中も授乳中も人参を避けたグループ
 
と3つのグループに分けます。そしてそのお母さん達の赤ちゃんが離乳食を食べ始める頃を比較したところ、妊娠中と授乳中にお母さんがたくさん人参を食べた1と2のグループの子の方が、3のグループの子に比べ、人参ジュースで作られた離乳食をよく食べたそうです。
 
つまり「さらして慣れさす」というのは、胎児の段階からできることなんですね。お母さんが妊娠中から多様でヘルシーな食べ物を食べていると、赤ちゃんもそうした多様でヘルシーな食べ物に慣れやすいとのことです。
 
 
 

「慣れさせる」ための工夫いくつか

遥か昔から深く刻まれた子供の食べ物の好き嫌いという性質は、とにかくその食べ物に「慣れさせる」ことで緩和していく、とのこと。これは安全で害はないんだよと身体に安心させていくといったイメージですね。
 
といって、とにかく食べなさい!と無理強いし過ぎても、逆効果と示す研究もいくつかあるようです。嫌な思い出と食べ物が重なると、その食べ物をよけい食べなくなってしまうとのこと。
 
・病気中など調子の悪い時に、新しいものにチャレンジさせない。
のも大切です。我が家でも覚えがあります。調子が悪くて吐いてしまった時に食べていたものなど、嫌な思い出と重なった食べ物は、その後もどうしても食べる気がしないようです。風邪気味でレストランで食事し、その後吐いてしまい、もうそのレストランには2度と行きたがらないなんてこともあります。
 
・大人が食べているものを、どれも少しの量でいいので、とにかく満遍なく口に入れてみるようにする。とにかく、身体にひとまず入れてみることを少しずつでも続けてみます。するともし身体が必要と納得すれば、欲しがるようになっていきます。
 
・忍耐強く、子供自身が栄養を自ら取り入れようとするシステムを信じてみる。何度も口にいれた末も頑なに「嫌!」な場合は、その子の身体には、今は必要ではないのかもしれません。
 
・大人が多様な種類の食べ物を子供の前で食べる。子供の目の前でその子が好きでないものをおいしそーに食べてみるのも、大きな助けになります。子供は大人をモデルに育っていくもの。また子供は「雰囲気」でその気になりやすいですね。家でも、食べようとしているところ上の子達がうわっ美味しくない!と言ったものは、下の子達なかなか食べる気がしないということがあります。逆に、あまり食べたいと思わなさそうなものでも、「うわ~、おいし~」と上の子達が食べ始めると、僕も私もと下の子達も箸を伸ばすと言うことがあります。
 
・見た目を美味しそう&楽しくしてみる。見るからに美味しそうな盛り付けの仕方や器の色合いなどってありますね。同じものでも、こうも食いつきが違うか、と実感してます。ついつい我が家も、どばっ、ばしゃっ、ととにかくついで食べる、となりがちなのですが、ちょっと気を向けていきたいです。
 
・お腹がすいているときに、新しいものに挑戦するようにする。腹ペコならば、何だって美味しく感じるもの。
 
・見慣れた食べ物や好きな食べ物とセットで新しいものを食べさせる。よりスムーズに新しいものを口に入れられます。パウンドケーキに練りこんだり、ババロアにしてみたりなどの工夫もできますね。フルーツたくさん野菜ジュースなどは、家でも好評です。
 
・一緒に作る。料理の過程を一緒に体験すると、食べる気も随分と盛り上がります。あまり好きでないキュウリも自分で刻んでみると、いくつか口に入れてみたくなります。
 
 
 

 我が家を振り返り

我が家の子供達を振り返ると、私自身以前はかなりスパルタで、徐々によりゆるくなりつつあるかなと思います。「皿に出されたものは文句言わず最後まで食べる」は以前のままですが、以前は私が皿によそっていたのを、今は自分で自分が食べられる量を取る、どうしても嫌いなものは少しの量だけでも皿に盛る、としています。あとデザートを食べられるというその後の喜びなどがあると、嫌いなものもしぶしぶ口に入れるということもありますね。
 
講義には、「皿に出されたものは全部食べなさいと無理強いする」は「良くない例」として紹介されていたのですが、「ママ!ちょっと今の聞いたー?!」とジロリと私を見たあの長女の表情!(笑) こうして一緒に子育てを振り返るのも、感慨深いですね。
 
 
 

まとめ

食べず嫌い、と、食べても嫌い、があると思いますが、どちらもまずはとにかく忍耐強く「慣れさせてみる」こと。それでも食べても食べても嫌いな場合というのは、その子の身体には今は必要でない場合もあるのかもしれないとのことです。味覚というのは変わりますし、大きくなれば自然に食べるようになるものもありますね。私自身も、人参と里芋が子供時代苦手でしたが、今は普通にいただいています。
 
歴史を遥かさかのぼり深く刻まれた子供達の好き嫌いという性質。とにかく多種多様な食べ物を少しでも口に入れ「慣れさせる」のが、有効とのこと。そのために「おっ、食べてみようかな」とつい手を伸ばしたくなるような工夫を、できる範囲で取り入れつつ
 
覚えておきたいです!
 
 
それでは皆様、新しい週、よい日々をお送りください!
 
 
 

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