社会・国・世界

日本政府による多様な教育環境実現への模索

OLYMPUS DIGITAL CAMERA日本でも、政府による「多様な学びのあり方を模索する動き」が出てきていますね。
 
2015年度文科省予算概算要求には、「フリースクール等支援」として約1億円が計上されたとのこと。
 
今年10月に川崎のフリースクールを訪問した下村博文文部科学大臣は、翌日の会見でこんなことを言っています:
 
「フリースクール等への支援は、私が9月の内閣改造で留任した際、安倍総理から指示をされた事項でもありまして、総理御自身もフリースクールを視察されるなど、重要な政策案件であると考え、文科省初めての試みとして、このたび、全国の、全てのフリースクールの方々に呼びかけて、「フリースクール等の関係者を集めたフォーラム」を、11月24日に開催をする予定です。
                           中略
不登校などにより、既存の学校教育の中では適応できない子供であっても、その中に未来のエジソン、アインシュタイン、未来のアーティスト、音楽や、あるいは工芸、美術等を含めて、そういうところの子供であるからこそ、逆に世界に大きく貢献できるような人材が埋もれているかもしれないと、そういう感覚を改めて現場で持ちました。このため、フリースクール等、多様な選択の中で学んでいけるような柔軟な対応を含め、全ての子供たちに対するバックアップ体制について、柔軟に、そしてシャープに対応していきたいと考えております。」
 
下村博文文部科学大臣記者会見録(平成26年10月28日) http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1352879.htm
 
 
こうして政府が呼びかけ、先月11月24日に開催された「第一回全国フリースクール等フォーラム」には、北海道から沖縄まで427名集まったそうです。
 
フォーラムで開会挨拶をし、最後まで議論に耳を傾けたという下村大臣は、翌日の会見で:
 
「昨日のフォーラムを皮切りに、今後とも、フリースクール等の関係者の意見を広く聞きながら、子供の視点に立って、これまでの発想を転換し、子供たちへの支援策への検討をスピーディに進めていきたい
 
「昨日もフォーラムで三つの団体から事例発表がありまして、フリースクールでは一人一人の子供たちの状況などに応じながら多様な活動が行われることについて改めて感じました。子供たちに対して、こうした多様な学習環境が提供されることが必要だと思います。」
 
「・・・子供の立場から考えたら、例えば、バウチャー制度のような形で、子供に対する補助で選択できるというような、いろいろな組合せで、フリースクールに対するだけの支援というよりは、子供の視点に立って、より子供が選択できる、しかしそれがきちんとした学習ができるという前提で、ただお金を配るということにはなりませんから、そういうようなことを根本的に見ていかないと・・・」
 
下村博文文部科学大臣記者会見録(平成26年11月25日)http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1353554.htm
 
とのこと。
 
 
また「公設民営」(自治体が委託料を払い、民間の予備校や塾、企業、NPO法人などに公立学校の運営を委託する)などの試みも、大阪市で始まりつつあるのですね。
 
 
「既存の教育制度からはみ出る子供達を育てていく必要がある」、そう政府が重い腰を上げつつある、と思える昨今の動き。政府から補助が支給され、各家庭の負担が少しでも減ること、同時に、フリースクール等の「独自性」が保たれる政府介入であること、願っています。
 
 
 
ちなみに、こちらアンカレッジ市周辺には、通常の区域別の公立学校に加え、「オールタナティブスクール」「チャータースクール(日本で始められつつある公設民営、通常の学校内に併設された「特殊プログラム」などが多くあります。
 
・モンテッソーリ教育やシュタイナー教育を施す学校
・フリースクールいくつか
・ネイティブアラスカンの文化・言語継承を目指す学校
・各イマージョンプログラム(ロシア語、日本語、スペイン語、中国語、ドイツ語などで半日授業)
・「ギフテッド」プログラム
こうした多様なメソッドが溢れる中、「伝統的オーソドックスな教育スタイル」(規律正しく先生の権威を重んじ反復学習重視スタイル)に立ち返ろうとする学校
 
など、抽選や試験(試験があるのは「ギフテッド」プログラムのみ)をパスすることで、アンカレッジ周辺の子供達誰もが通うことができます。「公立」なので、もちろん無料です。「教科書検閲」なども、もちろんありませんし、そもそも教科書というものがない学校もあります。人気のある学校やプログラムの抽選は、倍率も高く、よほどラッキーでないとなかなか入ることができないという現状もありますが。
 
またその他にも、ホームスクールを選択する家庭には、政府からの補助金が支給されます。
 
 
日本から来た方など、「選択肢があり過ぎて・・・」と目を回すこともあるほど。
 
「地域によって区分けされた近所の公立学校だけが選択肢」では、生徒1人1人やそれぞれの家庭の異なるニーズを、とても満たすことができやしない、そんな多文化入り混ざる米国社会ならではのあり方とも言えますね。
 
 
 
「既存の学校教育の中では適応できない子供であっても、その中に未来のエジソン、アインシュタイン」がいるかもしれないとおっしゃっる下村大臣。何もそんな「飛びぬけた才能」があるわけでなくても、身近なところに「多様な教育環境の選択肢」がある、そんな社会になっていったら、そう願っています。
 
皆様、今日も良い日をお過ごし下さい!
 
 
 

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