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テレビゲームが子供に与える「よい影響」&「よくない影響」整理

015テレビゲーム、我が家の子供達も大好きです。
 
周りを見ても、キンダーから高校生まで、様々なゲームの話で盛り上がってますね。学校の授業でも週に1度、「コンピューターラボ」なるものがあり、高学年はドキュメントを作ったりリサーチに用いるようですが、キンダーや低学年はゲームを通して英語文法や算数を学んだりしてます。課題が早く終わったら、好きなゲームで遊んでもいいよーなんて先生から褒美をもらったり。
 
今年のキンダーのクラスでは、教室内にコンピュータが7台!あるんですが、自由時間にゲームしていいことになってるんですよね。親御さんからは賛否両論あります。
 
我が家にはWiiがありますが、普段ゲームといえば、もっぱらスマートフォン。下2人は1日10分程、3番目は20分程と同意していて、上2人は宿題課題の合間にちょこちょことしているようですが、「やり過ぎない。貴重な時間を大切にする」と同意しつつ、自主性に任せてます。見ていて「長いんじゃないかな」と感じると、「あと何分する予定?」など声かけたりはしますが。
 
記事にもありましたが、周りを見ても、特に「男の子」のゲームに対する熱情、あの吸いつけられる力ってものすごかったりしますね。
 
 

はたして、テレビゲームって、本当のところはどうなんでしょう? 

子供達はどんな影響を受けるのでしょうか?

 

その「よい影響」&「よくない影響」について、いくつかの研究をまとめてみます。

 
 
 

よい影響

 

1.創造力が増す

ミシガン州立大学教授リンダ・ジャクソン氏が、12歳児を対象に行った研究では、どれほどの時間ビデオゲームに費やしているかを調査し、創造力をはかるテスト(Torrance Test of Creative Thinking)を受けさせてみたそうです。すると、普段ゲームをしている子の方が、高いスコアを出したとのこと。「現代のゲームにある複雑なキャラクターやストーリー設定は、子供の問題解決能力を高め、ゲーム以外の場に応用する力を促進する」、とジャクソン氏。
 
確かに分かる気がします。横からスクリーンを眺めるだけでも、私自身アタマこんがらがったり。
 
 
 

2.視覚空間推論力(Visuospatial Reasoning)の促進

アリゾナ州立大学のクリストファー・サンチェス氏は、視覚空間推論力を高めることで、数学や科学のパフォーマンスが上がると報告しています。化学者や数学者や地質学者などが得意とする力ですね。
 
サンチェス氏は、60人の大学生に視覚空間推論力スキルをはかるテストをし、その後25分間ビデオゲームをさせてみたそうです。そして再びテストしたところ、視覚空間推論力が改善されていたとのこと。
 
たった25分間でこれほどの違い!と研究者陣も結果に驚いたとのこと。
 
 
 

3.瞬間瞬間に注意を切り換える力が増す

注意力にも種類があり、ゲームで高められるのは、ぱっぱと瞬間瞬間に切り換えることのできる力だそうです。こうした素早くフォーカスを移し、視覚的に何かを見つけたりする力は、本を読んだり、地図を見たり、数学のいくつかの種類の問題を解くのにも役立つとのこと。
 
ビデオゲームをする子は、しない子よりもこうした注意力に優れていると示す研究がいくつかあると言います。
 
イタリアのサンドロフランセチーニ大学の研究では、読むことに困難を抱えるディスレクシアの子にビデオゲームをさせたところ、読む力が改善されたとのことです。
 
 
 
とここまで見ると、ビデオゲームしない手はない!とも思えますが、同時に、いくつもの研究が、その「よくない影響」について報告しています。
 
 
 

よくない影響

 

4.何かにじっくり取り組む集中力が落ちる

3にあるように瞬間的にぱっぱと移り換わる注意力は促進されるものの、自ら積極的にタスクにフォーカスするためにマインドを導びく力やじっくり集中して取り組む力(proactive attention)が損なわれるとのこと。
 
知覚的に処理するタスクに取り組む場合、普通、脳は刺激が始まる前に活性化し準備を始めているといいます。ところが、ゲームを多くしている子の脳では、この率先して準備するといった脳の機能が著しく弱いとのこと。外からの刺激に対し反射的にぱっぱと注意を切り換えることはできても、能動的に集中力を導く機能が低下するというんですね。
 
多くの研究が、ビデオゲームに費やす時間量と、教室内で集中することに困難を抱えるケースの比例関係を示しているのは、このためではないかと考えられています。
 
 
 

5.学業不振

心理学者エリン・ハスティング氏率いる研究など、他にもいくつもの研究が、ビデオゲームに費やす時間と学業成績の不振を報告しているようです。
 
といって、これはゲーム自体による直接的な影響だけが原因ではないとも考えられています。
 
デニソン大学のロバート・ワイズ氏とブリタニー・セランコスキー氏の研究では、ビデオゲームの購入を考えているとする6歳から9歳までの男の子に、IQテストと書く課題を与えます。その後、ビデオゲームを「購入した」グループと、「これから購入」グループに分け、全員の親に、ビデオゲーム、宿題課題、読書、他のアクティビティーにかける毎晩の時間配分を記録してもらいました。
 
結果、ビデオゲームを「購入した」グループの成績が下がったとのこと。
 
そして毎晩の時間配分をよく見てみると、ビデオゲームを購入した子供の方が、宿題や課題や読書などにかける時間が減っていたと言います。つまり、ビデオゲーム自体の問題というよりも、限られた毎晩の時間の中で、他のアクティビティーにかける時間をビデオゲームが妨げてしまうためではないかと結論づけられています。
 
購入前からあった「テレビの時間」などを、「ビデオゲームに費やす時間」に置き換えるなどして、全体的な時間配分を見ていきたいですね。
 
 
 

6.バイオレントなゲームによる「問題行動」の増加

先のハスティング氏の研究でも、普段ビデオゲームをする子供達を比べてみると、よりバイオレンスな内容のものに費やす時間が長い子の方が、学業でのパフォーマンスも低下し、攻撃的であったりと問題行動が増えるとのこと。
 
ゲームに限らず、スクリーンからのバイオレントなイメージが、子供にネガティブな影響を与えるとする研究はいくつもありますね。
 
 
 
 
 
以上の研究を見ると、コンピューターゲームやビデオゲームとは、確かに「へー!」と驚くような「よい面」もあるけれど、時間を決めゲームの内容を見ていく、それがよい距離感なのかもしれませんね。
 
ちなみに、心理学者のピーター・ビシュトン氏は、「1週間に2ー3時間ぐらいに限るのがベスト」と提案してます。
 
それには「だめ!」とするより、他に楽しいアクティビティーがたくさんあって、ゲームにそれほど時間をかける暇も気もない、という状況に持っていくのが理想ですね。
 
私自身は何せスピード感に弱いこともあり、ゲームに「はまった」という体験はこれまでなく、その楽しさもよく分からないんですが、熱中する子供達と時に一緒に楽しんでみるのも、「交流する時間」となりいいかもしれないな、そんなことを思いつつ。
 
 
 
 
春分!こちらもすっかり春陽気です。雪解け水がまぶしー。
それでは皆様、ぽかぽかな週末を!
 
 
 
 
参考資料:
‘Values and Pitfalls of Video Games’ “Scientific Secrets for Raising Kids Who Thrive” by Peter M. Vishton The Great Course
 
 
 

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