こちらに越してきてもうすぐ1か月、いまだに残る段ボールを横目に、あちらこちら走り回る日々です。新地に生活を築くとは、長年かけて様々なことに効率よくスムーズに取り組めるようアレンジしてきたシステムを、再び一から築き上げることでもありますね。やりがいがある!と意気込むと同時に、アラスカでの生活が、どれほど長い期間をかけ、どれほど多くの人々に助けられ、少しずつ培われたものであったかをしみじみ思います。真っ新な地、少しずつ積み重ねていきたいです。
子供達もそれぞれの学校環境に慣れつつあります。しばらく「行きたくない!」と毎朝泣き叫びどうなることかと思った次男も、今では笑顔で玄関を飛び出していくようになりました。何度かやり取りを重ねた学校スタッフの温かいサポートのおかげです。
さて今日は、こちらに来て驚いたことをまとめさせてください! こうした新鮮な気持ちって、暮す内にいつしか「当たり前の風景」へと溶け込んでいくのでしょうね。「東海岸」とはいえども広く多様で、あくまでも我が家周辺での驚きではありますが、書き留めておきます!
1. 近所の「シーフード店」でワニの肉を売っている
家から歩いて10分ほどの近所の小売店。
アラスカでは自ら捕まえる以外は、スーパーなどでしか魚介類を購入することがなかったのですが、何だか子供時代を思い出すような、懐かしい雰囲気。
ふと貼り紙を見ると、「ワニ(alligator):1パウンド14.5ドル」と・・・。
えっ、これって、魚やエビの「種類」のことだよね、「トラエビ(tiger shrimp)とかってあるし、「ワニエビ」とか「ワニまぐろ」とか、第一「シーフード店」だし、とまずは思いました。それで、ニコニコとこちらを見守るお店のおばさまに聞いてみたところ、
「ああ、これワニよ」
「どんな味ですか?」と思わず聞き返す娘に、
「チキンみたいに美味しいわよ~」と!
他にも「カエルの肉」が売られてました。ワニはフロリダから、カエルはノースキャロライナから運ばれてくるそうです。
2. 町角で農家直送野菜果物を売っている
田舎とはいえどもDCから1時間弱ほどの町で、こんな新鮮果物野菜が日常的に手に入るとは予想していませんでした。確かに16日間北米大陸横断して実感したんですが、米国って少し都市を離れると、すぐに広大な農地や大自然が広がっているんですよね。子供達の小学校前も見渡す限りのトウモロコシ畑。真っ青だった畑もここ1週間ほどで一気に茶色に。このお店、6月から9月の早朝から夜まで毎日営業。
果物野菜各種。
学校帰りに近所でとれた新鮮トウモロコシ購入したり。
トウモロコシ茹でながら、新鮮ハラペーニョとズッキーニの炒め物。
1の「シーフード店」で購入したムール貝とソフトガニに、トウモロコシとジャガイモとサツマイモとベルペッパー。
週末の新鮮食材ランチ!
3. 熱帯雨林気候のような蒸し暑さに激しい雨、そして雷
到着してからつい数日前まで、日中35度朝の湿度最高85%近くの蒸し蒸しの暑さが続いていました。時にスコールのような激しい雨が降り、まるで熱帯雨林気候のよう。稲妻に雷轟き、この1か月で雷警報が出たのも3回ほど。アラスカンな子供達、暑さに日々顔真っ赤にしながら、夜の闇が昼間のように明るくなる雷をまるでニューイヤーの花火かのように興奮して眺めてました。アラスカでは、激しい大粒の雨や雷、めったにないんですよね。
ちなみにDCは米国で最も蒸し暑い場所トップ10に入ることもあるようです。とはいえ、ここ1週間ほど朝晩めっきり涼しくなりました。日中25度前後朝晩摂氏14度ほど。寒い寒いと中には手袋はめて登校するクラスメートも!「アラスカの夏みたいだね」と懐かしがる子供達です。
4. 庭にヘビが出る
熱帯雨林的気候ですから、虫や爬虫類もそれは生き生きしてます。先週は、「ママ来て!」と犬の散歩から帰った娘たちが玄関から叫ぶので前庭に出てみると、芝生にすっと黒い線。近づいてよーく見ると、可愛いらしい目に口からチロチロと赤い舌、へ、ヘビーーーーーー!
「足下がスルッと動いたから見たら、ヘビだったのおー」、と嬉しそうな三女。
アラスカにはヘビはいませんから、子供たち野生のヘビを見るのは人生初。私も多分3度目くらい。しかも自分の家の庭とは!
この辺りは毒蛇も結構いるようなんですが、家の近くに出るようなものは、毒がないだろうとのこと。写真に撮りネットの画像で毒蛇との見分け方を子供達と見たんですが、「目が丸くて、頭部にかけてなだらかな曲線なら毒蛇ではない」とのこと。それが「丸さ」「なだらかさ」の度合いが微妙で、はっきりいってまだ区別がよく分からないです。
5. 子供たちの通う小学校の電力はソーラーパネルで賄われている
小学校校庭の隅にキラキラと光るもの。
ソーラーパネル!
メリーランド州では、2020年までに、州のエネルギーの2%(1200MW)を太陽熱で賄うことを目指しているそうです。2013年の時点では136.5 MWだそう。
6.5年生から高校生全員に1人1台ノートブックパソコンが支給される
「紙でのやり取りをどんどん減らす予定です」と先生方。スケジュールも宿題も成績表もネット内でやりとり。何冊もの教科書をバックパックに詰めて持ち歩く姿はもう見られることはなく、パソコン一台を片手に登下校の時代。電子メールで宿題を送信できるので、「今夜中に提出」なんて期限の宿題も!「毎晩充電して学校に持ってくる」も日々の宿題のひとつ。
来年はナント小学4年生から、再来年は3年生への全員支給を目指しているそう!
10年、9年、6年生の上の子達、「自分のパソコン」がすっかり生活の一部に。
7.小学校で「保護者と一緒にしましょう宿題」が多い
特にリーディングのカリキュラムなんですが、毎晩「保護者とする宿題」が出ます。保護者の前でこれだけ読みましょうと決められ、保護者向けのマニュアルには、ここでこういう質問して下さい、ここでこういう練習をしてください、こう話し合ってくださいと細かく書かれています。
1人だけでなく兄弟姉妹など2人3人いたら、夜1時間以上はかかるかもしれません。リーディングカリキュラムは学年に関わらずレベルによって分けられ、8週ごとにレベル審査があったりとペースも遅くはなく、1日宿題を飛ばせば、翌日のクラスでの練習に響くようになってます。
米国でも教育面でトップのひとつとされる州ですが、小学校からこうして「学校+家でホームスクール状態」といった保護者と一丸になって教えていくという方針も、そうした結果に貢献しているのかもしれません。
しかし、これまでいかに学校に丸投げだったかをしみじみ思います。そして4人目5人目でよかったなあと。これで赤ちゃんが下に何人かいたらかなりチャレンジングだったでしょう。
8.ホームスクールへの州政府による補助はない
次男の様子を見守りつつ、ホームスクールというオプションも調べてきました。それで分かったのは、「ホームスクールは『オール オア ナッシング』の選択。ホームスクールへ切り替えるのも再び学校へ戻るのも自由だけれど、公立学校から抜けるのなら学校に関する公のサービスは一切受けられない」ということ。
アラスカでは州から補助金がかなりの金額(小学校では年に20万円程、高校生では40万円程)出て、そうしたお金を使い公立学校の部活動や授業を選んで取ることもできたんですが、こちらでは一切補助金もなし。ホームスクールをする人々が集まる支援団体に自らお金を払って助け合うんですね。
カリフォルニアやワシントン州などでも補助金が出るようですが、州によって随分違うんだなあと驚きました。
一方、こちらでホームスクールをする方々と話していると、政府から補助を受けることは、公立学校のシステムに従うことになるため、補助は一切ない方がいいという立場の方が多いことが分かりました。「政府による我が子の教育への介入拒否」がホームスクールの基にある場合が多いんです。
アラスカでもホームスクールをする家庭に多く出会ってきましたが、皆さん補助金を「当然の権利」として受け取ってました。ホームスクールへの補助は、公立学校のために支払っている税金配分を受け取るためと説明されていたのですが、ここでは、ホームスクールという選択をするなら、そうした税金配分受け取りを自らの選択により拒否したとみなされるんですね。
子供達の様子を見つつ、私自身ホームスクールを選択することが今後あるかもしれませんが、その時は、覚悟して道を切り開いて行く必要がありそうです。
9.他州の未成年運転免許所は無効
同じ米国だしそのまま使えるでしょうと思ったら、未成年は再び一から始める必要があるんですね。これはアラスカ州でも同じようです。アラスカで運転していた長男も取り直しです。
また免許習得過程も州によって異なります。
アラスカでは、14歳0か月から筆記試験をパスすればその場で仮免許がもらえ、本免許保持者が助手席に乗っていれば運転することができます。そうして駐車場などで親と練習し、16歳になって実技試験を受けて1人でも運転できる免許獲得。
こちらはより複雑。まず筆記試験を受け「学習者免許(learner’s license)」を受け取れるのは15歳9か月以上。手続きには、高校からの出席証明なども必要になります。この学習者免許間に、州が認定する最低30時間のクラスを取り、6時間の実技トレーニングを受ける必要があるようです。その上最低14時間の本免許保持者との運転が必要になるのですが、その際一緒に乗っていた本免許保持者がスキルについて記録し報告する必要もあるようです。しかも仮免許(learner’s license)中は、日の出30分後から日没30分前以外、つまり夜の運転は禁止!とのこと。
確かにハイウェイが入り組みアラスカのようにシンプルじゃないですからね。それでもアラスカでは氷雪道の運転はかなりの腕前になるでしょう。ちなみにこちらは少しでも雪が積もると学校が閉鎖になります。
10.警察官が多い
毎日何度かハイウェイを運転するんですが、必ず1台か2台は路肩に止められてます。近所への見回りも頻繁、高校や中学も登下校時、警官が立っていることが多いです。
11.近辺でこれまで東アジア系の方に1人も会っていない
都市に近づくほど人種的に多様とも言われますが、少し離れた町など、多様性もほんとんど見られなかったりします。ここらあたりは白人が90パーセント近く、次にアフリカンアメリカンの方、そしてアジア系は1パーセントにも満たなかったりします。学校やスーパーなどでも、アジア人に会うことが今のところないです。アジア食材店へは1時間以上車を走らせる必要が!
とはいえ、醤油や米などは、今では普通のスーパーで売ってるんですよね。海苔と味噌と納豆がそろそろ底をついてきたので、遠出してみようと思ってます。
アンカレッジでも人種的にかなり多様な区域に住んでいたので、子供達も違いを感じているようです。
12.動物園には「種の保存」という役割がある?
400種類2000の動物がいるとされるワシントンDCの国立動物園。その4分の1が絶滅の危機に瀕した種といいます。
「パンダ道」があったり様々なパンダグッズなどが売られていて大人気のジャイアントパンダなども、動物園で繁殖させ、いずれは中国の自然界に返すことを目指しているのだとか。
ところでパンダって初めて実物を見たんですが、
白黒の丸っこいのがもこもこ動き回る様子、
その可愛さにやられました。人気の理由がちょっと分かったように思います。
この動物園のアジア象は、人工授精で生まれた5頭目のアジア象だぞう。
ウトウトするコモドドラゴン。
ゴリラの貫禄。
また動物園では園内の草木の種の保護にも取り組んでいるとのこと。
DC国立動物園は、絶滅に瀕する動物の「種の保存」の研究に初めて取り組んだ動物園なのだそう。動物園って、訪ねてくる人々に様々な種類の動物を見せ動物についての理解を深める場という認識だったんですが、絶滅に瀕した種を守り繁殖させいずれ自然界に戻すという方向もあるんだと目から鱗でした。
13.チェサピーク・ベイ・ブリッジに圧倒される
少し車を走らせるとチェサピーク・ベイ・ブリッジがあります。
長さ4.3 miles (6.9 km)。
1本目が1952年に建てられ、その後交通量増え、1973年に隣に2本目が建てられたとのこと。
橋の向こう側の人口も増えてきているようですし、将来3本目!ということもあるのかもしれませんね。
中間地点などかなりの高さがあるんですが、
ちょっとしたこんな柵があるだけの箇所も。
運転しながらかなりスリルがあります。
近辺に住む人々は慣れたものですが、遠方からの方など風がちょっと強かったり霧が出てたりすると、渡るのを断念する場合もあるとか。橋の入口には、運転するのはちょっと不安という方向け「向こう側に運転していってあげますサービス」もあります。
夕暮れ、霧、曇り、晴天、それぞれ趣があり、大きさ長さやデザインなど橋に感動したのって初めてでした。
14.ビーチに「生きた化石」カブトガニがゴロゴロしている
約4億年前から生きていて、恐竜と共にも暮らしていたカブトガニの死骸が、ビーチにコロコロ転がってます。
普通のカブトガニよりも一回り小さいとされるアメリカカブトガニ。
東海岸にはたくさん生息しているのだそう!
子供達、亡骸を家に持って帰るんだと大興奮。
そして庭に飾ってあります。
カブトガニの血は青く、毒素に触れるとゲル状に固まるので、医療機関で毒素検知のために用いられているそう。またガンの早期発見やHIVにも有効かもしれないという説も。血液採取後は海に返されますが、30パーセント近く血液を抜かれたカブトガニの生理学的変化が、東海岸のカブトガニ数の減少に繋がるのではという研究も:(http://www.sciencedaily.com/releases/2014/02/140224123802.htm)
可能性に満ちた青い血を持つカブトガニ、共存できるといいですね。
15.大西洋は茶色だった
何だか青いイメージがあったんですよね。夕暮れ時など日に照らされ青く見えることもありますが、
普段近寄って見えるのは、茶色。
でもやっぱり、
海はいいですね。
家から5分もいくとビーチがあるんですが、
水辺大好き子供達、大はしゃぎ。
アラスカでの短い夏には、湖で泳ぐことができましたが、
来年の長い夏には、「ちょっと海で泳いでくる!」が子供達の日常になりそうです。
日々驚きに溢れた東海岸での生活。この新鮮な気持ちを大切に、楽しんでいきたいなと思います。
それでは皆様、素敵な初秋の日々をお送りください!
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