行為を導くメソッド

「罰」を用いない子育て、「タイムアウト」から「タイムイン」へ

032米国でとてもメジャーなしつけ方法に、「タイムアウト」というのがあります。
 
子供が何か悪さをした場合、部屋の隅や、タイムアウト用の椅子に座らせ、しばらくじっとさせるという方法。
 
今では用いられていないようですが、私の子供時代の日本の学校では、「廊下に立ってなさい!」というような罰がありました。実際見たことはないですが、漫画などだと水の入ったバケツを両手に持ってだったり。タイムアウトも少しそんなイメージです。
 
そうして学校などの施設で用いられることもありますが、家庭で用いられることも多いです。子供達の集まる場に行くと、「タイムアウト!」と隅に立たされている子を見かけることがよくあります。
 
我が家でも上の子達に少し試してみたことがありますが(十年以上前)、なかなかうまくいきませんでした。
 
タイムアウトが成功するのは、まずは親が落ち着いていること。「そこに立ってなさい!」と言い放つだけでは、うまくいきません。どうしてタイムアウトになったのか説明し、子供も活動から離れじっとしている内に考え、しばらくして「どうしてか分かった?」という問いに納得したようなら、抱っこして話し合うなど温かいフォローアップが続き。
 
「罰」ではなく、「落ち着いて考える場を持ってやる」という様子にできるのならば、タイムアウトもうまくいきます。実際「time-out」という言葉より、「thinking time(考える時間)」という言葉を用いる学校もあると聞きます。
 
それでも、互いに落ち着いてこの一連の流れを遂行するのは、「悪さ」を前にヒートアップしている親と子にとって、なかなか難しいもの。立たされた子供も、罰を受けたショックから、またはタイムアウトに慣れてしまえば早く活動に戻りたいから、言葉だけの「分かった」になってしまったり。
 
「罰」というのは、即効性はありますが、「怒られたくないから、タイムアウトしたくないから、もうしない」となり、なかなかその子の問題行動を根本的に改善していくことにはなりにくいように思います。
 
 
 
生物人類学者Dewar氏は、先月の記事で「タイムアウト」に関する三つの疑問点を挙げています
 
1.タイムアウトの時間はどう決められるのか。
2.子供が反抗して聞かなかったらどうするのか。悲嘆に暮れ、癇癪を起こし、ますます悪くなっていったら?
3.タイムアウトにより、子供はどんなメッセージを受け取るのか。
 
 
1.時間はどう決められたのか。
巷で聞かれるのは、「年齢 × 1分」というのもの。二歳なら二分、三歳なら三分。それでも、これらには実験や調査の結果それが効果的といった理由などがあるわけでなく、何となく世間に行き渡っている取り決めとのこと。
 
 
 
2.子供が反抗して聞かなかったらどうするのか。悲嘆に暮れ、癇癪を起こし、ますます悪くなっていったら?
特に「タイムアウト」に関してのリサーチはないようですが、「罰」を用いた子育てのスタイルが、子供にどのような影響を与えるかについては、多くの研究結果があります。
 
もし「罰」に対して、子供が取り乱し、より葛藤や反抗心を生み出すようならば、子供の問題行動は悪化していくと。
 
 
 
3.タイムアウトにより、子供はどんなメッセージを受け取るのか?
先にあげたように、もし「罰」ではなく、「落ち着いて考え改める時間」として用いられるならば、タイムアウトという方法も有効です。
 
それでも、単に部屋の隅へと追いやられる「罰」として用いられるのならば、幼児は次回同じような葛藤にどう向き合ったらいいかなど学ぶことはなく、集団から引き離され、一人感情の波に揉まれる中、「拒絶された」というメッセージを受け取るだけではないかと。
 
確かに、まだ幼児の段階では、自身のヒートアップした感情にどう向き合ったらいいかなどよく分からないもの(大人でも難しい!)。 一人立たされるよりも、親などの腕の中でとんとん背中をさすられて温もりに包まれた方が、落ち着いて考え始めもできるように思います。
 
あるプレスクールの先生と話していた時、その方は「タイムアウト」を用いない方針だったのですが、「問題行動を起こす基によくあるのが、アテンションが欲しいということ。だから集団から引き離して一人にしても逆効果なんです。私は問題行動を起こす子は、膝に据わらせたりして、よりアテンションを与えるようにしています」とおっしゃっていたのを思い出します。
 
 
 
 
 
それでも器質的な原因も絡み、立て続けに問題行動を起こし続けるチャレンジングな子というのはいます。そしてそういう子に対するほど、親も「タイムアウト」などの「罰」を用いる必要に迫られるわけですが、すると、「2」の問題にぶつかり続けてしまいます。
 
 
ではどうしたらいいのか? 「罰」を用いずに、どう子供達を導いていけるのか。
 
問題が起きたときに対処するだけでなく、普段の働きかけを見直していくことで随分と変わってくるようです。そしてこうした姿勢は、それほど問題行動の見られない子からチャレンジングな子まで、有効と言われます。罰を用いなければならない状況を、減らしていくこと。対処的なその場限りの解決だけでなく、根本的な改善に向けて動いていく。
 
・普段から好ましい行為に注意関心を向けるようにする。昨今ますます強調されつつあるメソッドです(「子供の行為を導く最強メソッドとは」)。私自身も振り返るとついつい問題を起こした時に「最大限の注意関心」を払い、普段普通にいい子にしている時は「無関心」だったりするのですが、「仲良く遊べて楽しいね」「シェアして遊ぶと皆嬉しそうね」と言葉がけしたり、肩にそっと手を置いてみたり、普段「できている時」もちゃんと見ててくれるんだなと子供が感じられるようにします。
 
 
・「いい時」に話し合う。お友達間での問題行動などは、その場で対処するだけでなく、普段から「こういう時相手はどう思うかな」「こういうことしたらあの子はどういう気持ちだろう」といった内容を、過去にあったことや、絵本などを用いて話し合ってみます。「他にどんな方法があった/ あるかな?」と、より建設的な選択肢がないか見つけるよう助けてみるのもいいです。
 
「シェア」が難しかった子に、葛藤に直面するその場でたしなめると同時に、普段シェアして楽しく遊んでいる絵本をいくつか読んだり、リズムをつけて歌にしてみて普段一緒に歌ってみたりというのも、効果的でした。
 
 
・集まりなど向かう前に話し合う。お友達など集まる場に向かう車の中など、どうしたら楽しく遊べるか話し合ってみます。「こうしなさい」より、子供自身が考え言葉を発するよう導きつつ。「どうしたら皆で楽しく遊べるかな?」と。
 
 
・一緒に楽しむ時を持つ。一緒に料理したり散歩したり何か作ったり、子供と一緒に過ごす時を親も楽しんでいるという時。アテンションを求めての問題行動は減ります。
 
 
・難しい感情にどう向き合い落ち着くかなどの術を教える。深呼吸、身体を動かすなど。
 
 
 
基本的に、「だめ!」「~しない!」と教えるよりも、「~がいいね」「~しようか」「~したらどうかな?」と導いていくようにします。「そちらへ行くな」と遮り留まらせるよりも、「こちらに行こう」と進む方向を示して。
 
 
 
 
 
こうした働きかけとともに、では問題行動を前にどうしたらいいか。Dewar氏は、小児精神科Daniel Siegel氏の言葉を紹介しています:
 
親は「タイムアウト」の代わりに、「タイムイン」の時間を考えてみるといいかもしれません。部屋の隅に立たせるよりも、一緒に子供と座り話したり慰めたりして愛情を深める時です。ちょっと立ち止まり(pause)、自身の行為を省みるというのがどういうことなのか、落ち着いて話し合う時というのは、とても価値のあるものです。特に小さな子供にとっては、こういった「自身を省みる姿勢」と言うのは、「孤立の中」ではなく、「人との関係の中」で創られていきます。長い目で見た子育てにとって、(タイムアウトよりも)より効果的で報いのあるものとなるでしょう。
 
タイムアウトがなかなかうまく用いられなかった私自身にとって、とてもしっくりとくる言葉です。
また子供の問題行動を前に用いているかもしれない様々な「罰」を、「タイムアウト」という言葉に当てはめてみるのもいいかもしれません。
 
 
 
「タイムアウト」は「罰」ではなく、「少し立ち止まり自身を省み落ち着いて考える時」として用いるようにする。
それが難しいようならば、「タイムイン」を。
同時に、普段の生活を見直し、根本的な改善に向けての働きかけを。
 
 

そう心に留め、今日も子供達に向き合っていきます!
 
皆様、新しい週、良い日々をお送りください!
 
 
 

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