「好ましい行為や言葉により注意を向けることで、
好ましくない行為や言葉を導く」
ここ何年か、
あちらこちらでよく耳にするようになったこのメソッド、
確かにいい!と感じています。
少し前の過去記事「親子の成長を助けるエキスパート&メソッド」で取り上げた、
定型的な発達を辿る子からシビアな問題行動を持つ子まで、
子育てのこつを教えたり、
セラピーを通して問題行動を減少させたりと、
国際的に成果をあげているPCIT(Parent-Child Interaction Therapy)にも含まれているのが、
このメソッドです。
この過去記事の中で、
ADHDとされる子へのセラピーの様子を少し紹介したのですが、
親の地雷を踏み続ける挑戦的な応酬にも、
穏やかにさらりとやり過ごす一貫した態度(注意を向けない)。
そんな応酬の最中にも、
その子が少しでも好ましい態度を見せるなら、
すぐに褒める(最大限の注意を払う)。
この「好ましい行為や言葉により注意を向けることで、
好ましくない行為や言葉を導く」、
「多くの研究を通しますます有効と証明されつつあるメソッド」
と紹介されていました。
その中で発達心理学者のAliza Pressman氏、
「好ましい行為や言葉に注意を向ける」際、
以下の三つの要素があるといいとのこと:
1.タッチ(Touch:スキンシップ)
2.熱心さ(Enthusiasm:喜び溢れて)
3.プリゼント(Present in a moment:心ここにあらずでなく、心身共にいること)
例えば何の騒動を起こすでもなく静かに本を読んでいるなら、
そっと肩に手を触れ、
取り立てて褒める必要もないけれど、
それでも気がついているよと喜びを示してみる。
子供達をよくよく観察してみると、
できてる時の方ができてない時より、
多かったりする場合もあるんですね。
「また!」となる兄弟姉妹喧嘩も、
仲良く遊んでいる時の方が多かったり。
それでもついつい、
いいときは「当たり前」として通り過ぎ、
できない・よくない時のみ、
きー!なんでー!と最大限の注意関心で向き合ってしまいがち。
先日友人からこんな話も聞きました。
アンカレッジで最も人気のある一つとされるプレスクールにて:
教室のトイレからね、
真っ裸で男の子が出てきたの。
バーンってドア開けてとっても嬉しそうに。
周りの子達大はしゃぎで笑ってね。
でも先生、
「何してるの!」とか
「止めなさい!」とか
一言もなしにね、
皆に「注意を払わないように」と静かに指示だけして、
何事も無かったように普通に穏やかにクラスを進めていったのよ。
しばらくして、
声を荒げるでもなく普段どおりの温かいトーンで「服着なさい」って。
その子静かに服着始めて。
十年以上前、
長男も同じ学校に一年だけ通ったことがあるのですが、
当時ならすぐさま隔離され、
服着なさい!となっていたんじゃないかなと想像します。
こちらの社会では例え幼児だとしても、
人前でプライベートな箇所を見せるということにとても厳しいのだなあと学んだのは、
初めて通ったこの学校ででした。
好ましくない行為や言葉に注意を向けるのは、
本人や周りにとって危険である時のみでいいとPressman氏。
その際、
どうしてだめかを説明し、
他にどんな違う方法があるかを示してやるのがいいと。
例えば噛まれたらどんなに痛いかを説明し、
噛んでもいい玩具を与えるなど。
「好ましい行為や言葉により注意を向けることで、
好ましくない行為や言葉を導く」
まだ言葉のままならない小さな子から、
ティーンまで有効だと感じています。
食後食器を流し台に持っていくのも、
「また忘れて!何度言ったらわかるの!」よりも
できている時に、
「ありがと。助かるわ」
と声をかけ続けることで、
できるようになっていく場合もあります。
「また散らかして!」より、
片付いている時に「部屋がきれいだとホント気持ちいいね」
「何度起こしても起きないんだから!」より、
起きられた時に「さっと起きると一日さわやかな気分で始められるね」
そう気づき続ける。
タッチ・熱心さ・プリゼントを思い出しつつ。
子供は注意関心を向けられるのが大好き。
普段「できている時」に十分な関心を向け、
ハグし温もりに包んでやる。
心に留め、
今日も子供達と向き合っていきたいです!
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