学習方法の違い

科学技術が多様な教育方法を可能にする?

112科学技術(technology)の発達はあまりにも急激で、教育現場にそれらをどう取り入れられるかという話し合いは、とてもその発達のスピードに追いついてはいけない。といって、役に立つ技術を取り入れるのを先延ばしし続けるのも、めまぐるしく変化する最新の技術に次から次へとすぐに飛びつくのも、同じくらい良くないこと。長い目で見て、教育現場にどんな方法が有効なのか真摯に問い続ける必要がある。
 
そう、先月の科学雑誌「Scientific American」に。
 
 
記事によると、高等教育(higher education: 大学以降)の目的とは以下の三つといいます:
 
1.知識の普及(knowledge dissemination)
2.知性の発達(intellectual development)
3.体験的成長(experiential growth)またはメンタル面の成熟(mental maturation)
 
そして科学技術の発達を取り入れることで、これら三つの目標達成のために、今までとは違ったより効率的効果的なあり方が実現できると示唆しています。
 
 
1.知識の普及(knowledge dissemination )
伝統的に教室や講義室で行われてきたもの。
 
それでも今ではMOOCs(Massive Open Online Courses)などのオンラインコースが十分にその役割を担えます。教室への収容制限による定員オーバーなども関係なく、しかも無料。一時停止や巻き戻しなどの機能もつき、様々な内容やレベルの選択もでき、学生一人一人の学習スピードやニーズへのより多様な対応も可能。
 
「『賢者』が壇上で講義」といった古いスタイルより、経済的効率的と。
 
 
2.知性の発達(intellectual development  )
いくら技術が発達したからといって、知性の発達には、先生との実際の交わりや繋がりに変わるものはないと思われがち。例えばoxbridge tutorial system(週ごとに一人から三人ほどの学生グループに教員がつきっきりで教えるといったオックスフォードやケンブリッジ大学で用いられている方法)のようなメソッドが最も理想的だと。
 
それでも今の教育機関でどれほどそんな状況が実現されているか? 素晴らしい先生でさえ、教育機関の不十分さに相殺されていないか?
 
テクノロジーをより活用するならば、世界中の様々な分野の先達と、繋がり交わることも可能と。
 
 
3.体験的成長(experiential growth)またはメンタル面の成熟(mental maturation)
伝統的な大学は、ラボラトリーやインターンシップや留学制度など、学生に実社会での体験を通し成長することを促してきたものの、大半の学生はキャンパスに留まってきたと。世界中の人々と瞬時に繋がることができるといった技術的な発達をより教育現場に取り入れることで、学生達に、「世界をキャンパス」として羽ばたかせることも可能になるかもしれないと。
 
 
 
 
 
今長男が用いているホームをベースにした教育方法を通し、以上のようなこと、実感しています。自身に合った学習スピードとニーズが満たされ、電話やeメールを通した先生との一対一でのやりとりも頻繁にあり、同じコースを取る学生と共にプロジェクトに取り組んだり、勉強量の割には拘束時間も少ないので、大学の授業を取ったりNPO活動や趣味にと様々な体験も積み重ねられる。
 
技術の発達を取り入れることで、メインストリームの教育方法に、より多様なオプションを付け加えていくことが確かにできるでしょう。日本でも、オンラインコースなど活用し、自分なりの学びをどんどん進めていけるシステムが整うなら、引きこもりや不登校などの問題も、随分解決されていくのかもしれません。
 
何十人の生徒を前に一斉に教えるといった画一的な方法では、無理があり過ぎる、四十人以上がひしめく教室に毎日一日の大半を過ごすという生活を小中高と続けつつ、私自身つくづく感じていたこと。子供一人一人興味も関心も学習のスピードも理解の仕方もまったく違うもの。はみ出る者がいるから、マジョリティーのやり方をより強化する必要があるという発想ではなく、これからは、どうしたらより多様なオプションを包括できるシステムを整えられるか、科学技術の発達を活用しつつ、そう進んでいくのがより自然なのだろうな、そう感じています。
 
 
大学の授業料は軒並み吊り上げられ、卒業した時点で膨大な借金を抱える学生達が社会問題にもなりつつあるこちら米国、同時に、技術の発達により様々な可能性も生まれ、将来、高等教育のあり方は、変わっていくだろうと言われています。
 
大学のあり方が変わるのならば、「大学に入る試験に通るため」という、それまでの学習のあり方も変わっていけるのでしょうね。
 
 
 
将来的に社会で役に立つ「知識の獲得、知性の発達、体験を通したメンタル面の成長」ということに純粋に向き合うとき、既成の方法とはまた違う、自分たちなりの道が、開けてくるようにも感じています。
 
その子がその子に合った道を見出すサポートをしていけたら、そう思いつつ。
 
 
 
 
 
皆様、新しい週、素晴らしい日々を!
Have a wonderful week!
 
 
 

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