学習支援

子供の問題解決能力を向上させるには? 昨夜のワークショップにて

昨夜は子供達の通う小学校で、プログラムに通う生徒の親を対象とした、ワークショップがありました。
 
入口で3つのグループに分けられ、異なるテーマについて話し合われる部屋をグループごとに交代で回ります。
 
 

テーマ1:問題解決能力を向上させる

問題を前にし、投げ出したり嫌になってしまうのではなく、「どう解決していける?」と自身に問いつつ、突き進む力やスキルをつけていきましょう!と。
 
プログラムでは、ここ10年以上の間「マインド(思考感情)の習慣(Habits of Mind)」(by Art Costa)の育成に力を入れています。(以前のブログにいくつか記事。以前は「心の習慣」と訳してありますが、英語の「mind」は思考や感情をも含むので、今後「マインド」としますね)
 
 Costa氏の唱える「マインドの習慣」には以下の16あります。
 
1.忍耐強くやり通す:粘り通せ
(Persisting – Stick to it.)
2.衝動的な軽はずみをマネージする:時間をかけて
(Managing impulsivity – Take your time)
3.理解をしようと共感して聞く:他者を理解しよう
(Listening with understanding and empathy – Understand others. )
4.柔軟に考える:違う面から見て
(Thinking flexibly – Look at it another way.)
5.考えていることを考える(メタ認知):知っていることを知る
(Thinking about your thinking (metacognition) – Know your knowing)
6.的確さを追求する:最も可能性のある答えを見つけて
(Striving for accuracy and precision – Find the best possible solution)
7.立ち止まって問いかけてみる:どうしてそう思うの?
(Questioning and problem posing – How do you know?)
8.創造、想像、発明:違う方法を試してみて
(Creating, imagining, innovating – Try a different way.)
9.相互依存的に考える:他者と共に学ぶ
(Thinking interdependently – Learning with others.
10.全ての感覚を駆使して情報を集める :自然な方法を用いて
(Gathering data through all senses – Use your natural pathways).
11.過去の知識を新しい状況に応用する:学んだことを用いて
(Applying past knowledge to new situations – Use what you learn.)
12.驚嘆と畏敬をもって向き合う:明らかになる過程を楽しんで
(Responding with wonderment and awe – have fun figuring it out. )
13.考え、明確さと正確さをもって交流する:明確に
(Communicating with clarity and precision – Be clear
14.ユーモアを見出す:笑ってみる
(Finding humour – Laugh a little)
15.責任あるリスクを冒す: 乗り出していこう
(Taking responsible risks – Venture out)
16.学び続ける :学ぶことはいくらだってある!
(Remaining open to continuous learning – Learning from experiences)
 
 
問題解決能力を向上させるには、まずは5の「考えていることを考える(メタ認知)」の習慣が大切です!と先生方。
 
子供達に自分が何をしているのか、どうして&どうやってそれをしているのか、自分が何を考え、何を感じているのか、それらを認知することを促していってくださいと。
 
そう自らを省みる「マインドの習慣」をつけること。そこから、今この目の前の問題を解決するために、どうしたらいいだろう?どんな「マインドの習慣」を用いたらいいだろう?そう戦略を練り行動を起こしていくことができるようになるんです、とのこと。
 
 
ここで、親1人1人に、16の「マインドの習慣」が記されたシールが渡されます。壁に張られたいくつかの「問題」。ではこれらの問題解決のために、子供達にどんな「マインドの習慣」を思い出させていきたいですか? 当てはまると思うシールを貼って下さい、そんなエキソサイズでした。
 
例えば、
 
他の子達と共にするプロジェクトで自分のアイデアばかり押し通そうとする。
→ 9の「相互依存的に考える」のシールを貼る。
 
先生や友達が話していても、何か思いつくとすぐに遮って口に出す。何か発見すると、皆が静かに机に向かっていても、先生のところにかけよって大声で話し始める
2の「衝動的な軽はずみをマネージする」
 
習い事を次から次へとしたがり、長続きしない。難しいと思うとすぐに嫌になってしまう。
1の「忍耐強くやり通す」
 
食べ物の好き嫌いが多くて、あれは嫌いこれは嫌いと、どんどん自分の「嫌いなものリスト」に付け足していく
12の「驚嘆と畏敬をもって向き合う」
 
などなど。
 
実際はもっと「問題」について詳細な事情が記されていましたが、概ねの要点はこんな感じでした。もちろん、いくつもの習慣が当てはまる場合も多く、何が正しいという「正解」があるわけでもなく。
 
実際の場でも、これがだめならあれはどうだろうと、どんどん試すよう励ましてくださいとのことでした。1つや2つの解決方法より、いくつも使うことができる、それが問題解決のエキスパートになるコツです!と。
 
 
その後の話し合いでは、「10の『全ての感覚を駆使して情報を集める』というものをこれまで思いつかなかった」、という1人の親御さんの言葉から、「マインドフルネス」の話にも。今この瞬間の状態に、5感をフル活用して向き合うと、また新しい発見が様々出てきますよと。
 
まずはこれが大切です!と強調された5の「考えていることを考える(メタ認知)」。自分が何を思い、何を感じと、自身を見つめていくこと、これもまさしく、マインドフルネス・トレーニングでも用いられる手法だなあと思ったり。
 
 
16の「マインドの習慣」、家庭でも是非用いてくださいね、と先生方。
 
問題を前に、自らの思考や感情を見つめ、じゃあ今ここで何ができるかな、どうしたらいいだろう? そう工夫していく。「マインドの習慣」から具体的方法を思い出し当てはめてみる。確かに、これから様々な問題に向き合うことになるだろう子供達に、身につけていって欲しい姿勢ですね。
 
 
 

テーマ2:「grit」について

ゲストスピーカーによるレクチャーでした。
 
昨今、こちらの教育界でますます重視されつつある「grit」。「失敗しても困難にぶつかっても立ち上がり進み続けるタフさ。不屈の精神力。」というような意味を持つ言葉です。
 
このウェブサイトでも少し取り挙げましたがhttp://kosodatekyua.com/category/grit/、心理学者ダックワース氏は、様々な教育機関での調査の結果、社会で成功していくための鍵は、社会的知性でも、ルックスでも、 身体的健康でも、 IQでもなく、「gritなんですと結論づけています。
 
「grit」について、昨夜話し合われたこと、ちょっと長くなりそうなので、次回の記事にまとめますね。
 
 
 

テーマ3: お勧めゲームや本

こんなゲームや、
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あんなゲーム。
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各教室にも様々なゲームが置いてあり、生徒達、フリータイムなどに遊んでます。
 
こんな本など並べられ、
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先生方と情報交換し合ったり。
 
この「脳」についての本、
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いいな、と思いました。結構詳しく脳の各部位についての機能が説明されてあります。そして「どんどん使うならどんどん成長するんですよ」、というメッセージ。
 
「脳は使えば使う程成長する」という脳の仕組みを教えることで、子供達の学習能力が上がっていったという心理学者Dwek氏の研究報告もあります。
 
確かに、「生まれながらにして頭いい悪いというのは決まっているんだよ」という姿勢よりも、「脳っていうのは筋肉みたいに使えば使う程鍛えられてより難しいこともできるようになるんだよ」と教えた方が、子供達は俄然やる気になりますよね。
 
 
有意義な夜でした!
 
皆様、どうぞ週末お楽しみください!
 
 
 
 

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