5番目の子が男の子と分かった時、それはそれは喜んだのが、長男でした。「僕の大好きな遊びをいっぱい教えてやるんだ!」と大張り切りで。普段3人の妹達に囲まれ、感覚や興味の違いを感じることもあったのでしょうね。
次男が生まれた時に10歳だった長男、オムツを替えてやり、抱っこして歩き回ったりとよく世話をしていました。次男が動き出し、歩き始め、話せるようになるにつれ、また一層可愛くてしょうがないようで。スケート、二輪自転車、泳ぎを次男に教えたのも、長男でした。
物心ついてからずっと私と一緒に眠りたがっていた次男も、最近では長男の隣で寝たがります。読み聞かせして、抱きしめながら背中をとんとんして寝かしつける長男。次男の様子を目を細めて見守りながら、「僕が大きくなったら、ティーンになった○○(次男)を連れ出して、色々なものを見せてやるんだ」と言ってみたり。
その様子は何と言うか、リトルパパやリトルグランパみたいというか。
ある日、
長男:「○○(次男の名前)かじっちゃおうかなあ?」
次男:「いやー」
長男:「食べちゃうぞー!」
次男:「きゃー、やめてー」
と追いかけっこしていた2人。
その後、長男が私の傍にきてぽつりと言いました。
長男:「なんかさあ、もう可愛くて可愛くて、かじりたくなるんだよねえ」
私:「あー、何か分かる」
今日は、そんな長男と読んでへーと納得したScientific Americanの記事「どうして私達は可愛いものをかじりたくなるのか?(Why Do We Want to Bite Cute Things, Like Adorable Newborn Babies?)」をまとめてみます。(笑)
生物人類学者グエン・デワー氏は、「どうして可愛いと感じるものをかじりたくなるのか?」の答えとしてこんな2つの理由を挙げているんです。
1.脳が混乱するため?
母親の脳を、fMRIで調べたところ、人が食べたいと思う食材に手をかけた時に、喜びのドーパミンが放出され脳が活性化する様子と、赤ちゃんの匂いをかいだり、赤ちゃんの画像を見たりとする時に脳が活性化する様子が、よく似ていたとのこと。
つまり、うわあ美味しそう~と、あ~~可愛い~と、同じように脳が活性化するため、「思わず口に入れたくなる」といった同じような生理的反応を引き起こす場合があるというんですね。脳がつい混乱してしまうと。
2.哺乳類に共通して見られる社会的コミュニケーションの名残り?
哺乳類の多くに、本気で噛むわけではない「あま噛み」と呼ばれるような行為が見られると言います。そうした行為は、愛情表現、遊びなど、様々な解釈がされているようですが、いずれも、信頼関係の上に成り立っているとのこと。
例えば、「旧世界ザル」など、他の母親に赤ちゃんが生まれると、鼻や口を押し付けるために列をなして待つというようなことをするそうです。(様子を思い浮かべて何だかほのぼの)。
UCLAの人類学者スーザン・ペリー氏によると、オマキザルは、相手の口に指を入れ、相手も痛いほどではないけれど抜け出せない程度の強さで口をぎゅっと閉じる、といった儀式のようなことをすると。これは、私の口にあなたの手を入れても本気で噛まないよと信頼関係を示すためと説明されています。
また犬や熊が、あま噛みしてじゃれ合うといった様子を見たことがありますよね。こうした「じゃれ」は、モータースキルを鍛えるため、現実生活での戦いに備えるため、フレンドリーな遊びのためなどと解釈されています。
そしてほとんど全ての哺乳類が、赤ちゃん時代に「ガジガジかじる性質」を持っているとのこと。
つまり、可愛いものや食べ物でないものをかじりたくなるのも、こうした哺乳類の性質の名残ではないかということ。
先に母親と新生児の例がありましたが、自分自身を振り返っても、出産し、授乳し、腕の中に一人では何にもできない存在を抱えていた時期というのは、より野性に目覚めるというか、原始の動物本能全開的な感覚があったかもと思ったりしますね。長男次男を見ていると、兄弟熊や親子熊のじゃれあいという様子がしっくりきたり。(笑)
「可愛いものをついかじっちゃいたくなる」というのは、それほどおかしなことでもなく、私達の脳の性質や哺乳類の本能の現れであり、信頼関係を築き愛情を表す行為ということなんですね。改めて下の子にも説明してみて、ふ~んと頷きあった夜でした。
それでは皆様、新しい週よい日々を! 日本の桜を想いつつ!