昨日は次女11歳ののミディエーター就任式に行ってきました。
こちらの学校のいくつかには、「ミディエーター」という役割を担う子供達がいます。「ミディエーター」とは、子供達の間でイザコザがあった場合、ピースフルに双方が納得し解決できるよう「仲裁(ミディエイト)」する係り。
子供同士間の葛藤を、子供同士で解決する術を身につける。かねがね、このミディエータープログラムっていいなあ、と私自身思ってます。
昨日も就任式で先生方がおっしゃってたように、ミディエーターがうろうろとしているだけでも、皆が「えっと、どうしたらピースフルに解決できるんだっけ」と思い出すきっかけになれると。
以前はクラスから選ばれた代表だけでしたが、今年から希望者誰でもが訓練を受けられることに。3年生以上の各クラスからの希望者49人が、来学年度に向け、通常の授業を抜け丸2日間訓練を受け、昨日の就任式を迎えました。今後も定期的に集まり、訓練が続けられるそうです。
ミディエーター養成プログラムでは、ミディエイトの手順を次のように学びます:
お友達間のイザコザを前に。
1.ミディエイトを始めるにあたっての注意事項説明
まずはミディエーターとしての自己紹介、そして「相手を遮らず、真実を告げ、解決に向け互いに努力する」といった決まりに、イザコザの双方が同意するよう求めます。
2.とにかく互いの言い分を聞く
「何が起こったの?」「その時、どういう気持ちになった?」など、状況がより具体的に詳しく明らかになるような質問をする。ミディエイターは自分の意見や解釈を挟まず、とにかく聞き、返答を「そのまま繰り返す」ことに徹する。
3.解決策をイザコザ本人たちから引き出す
「どんな違うやり方があったと思う?」
「解決するためには今どうしたらいいと思う?」
「あなたが相手と同じ立場だったらどう感じる?」など、
質問を通し、イザコザ本人達から解決策を導き出すことを目指します。
創造力駆使し、発想豊かに、解決に向けての質問を考え出して。
4.着地点の同意、解決を祝う
本人同士が納得する着地点にたどり着き、解決に双方が同意したことを確認。そして解決したことを祝います。
5.レポート提出
レポート用紙にミディエイトした事実を記入し、提出する。
ミディエイターとは、自身の意見を押し付けるのではなく、あくまでもイザコザの当事者自身に、起きた出来事や気持ちを整理させ、当事者同士で解決策を導き出させる手伝いをするんですね。
葛藤解決の術をトレーニングし、子供同士で解決させようという試みは、訓練を受けたミディエーター本人にとっても、ミディエートされる生徒達にとっても、その後の人生で出会う様々な人間関係の葛藤に向き合う時、助けとなるんじゃないかなと思ってます。
友人の一人は、夫婦喧嘩の際、「はい、2人ともまずは落ち着いて、僕がミディエイトを担当するから」と息子さんが分け入ってきたと、笑ってました。(笑)
この日の式では、高校生の女の子がスピーチし、ミディエーターのトレーニングで、相手と自分の共通点を見出すことがうまくなり、友達作りや人間関係に役立っていると話してました。来年度から大学で政治科学を専攻したいと将来の夢を語りつつ。
ちなみに、「ミディエーター」なる職業も存在するんですよね。
ミディエーター(ネゴシエーター)として活躍し、世界中いくつもの扮装を回避させた文化人類学者のウィリアム・ユーリー(William Ury)氏は、「人は、そろそろ感情的反射的な反応を繰り返すことから卒業し、反応する前に一呼吸置き、平和的な解決を意識的に選択する方向へと向かう時ではないだろうか」と言います。
他者との関係の中で、「反応する前に一呼吸」、自分と相手を含めたより広がりのある視野の中で、「意識的に」より平和的な方法を選び、互いが納得できる着地点を模索する。
頭では分かっても、実際の生活ではこれがなかなかですが・・・。この「反応する前に一呼吸」には、マインドフルネストレーニングも効果的だと感じてます。「怒り」と「怒りの行為」は違いますからね。
世界中のいくつもの難しい紛争場面に取り組みつつ、「個人レベルでも国レベルでも、平和的解決に至らない葛藤はないと信じている」というユーリー氏の言葉は、大きな希望を与えてくれます。
以前のブログで紹介したことのある、ユーリー氏の中東での試み「アブラハムの道」(イスラム教、ユダヤ教、キリスト教共通のルーツ、アブラハムの一生をたどる道を歩くことにより、互いの理解や絆を築こうという試み)は「ナショナルジオグラフィック・トラベラーズマガジン」で、2014年の世界のベストトレール1位に選ばれたようです。
子供達が学ぶミディエートの方法、親子ともども日常の葛藤に応用していけたらな、そう思いつつ。
ミディエ ーター就任のみんな、おめでとう!
おそろいのTシャツ着て。
廊下には、訓練を終えた一人一人に励ましの言葉を書き合ったポスター、そしてピースマーク。
今日2度目ですが、皆様、今日もよい日を!