ネガティブな感情より、ポジティブな感情をより感じていると、
ハッピーになれる?
楽しいとか嬉しいとかばかり感じていることが、
ハッピーになる秘訣?
イェール大学、ケンブリッジ大学、ハーバード大学など4つの国の6つの機関が去年行った調査によると、「そうではない」のだそうです。
フランス語を話す37,000人を対象に、ポジティブな感情(楽しさamusement、畏敬awe、感謝 gratitude、喜び joy、満たされた気持ちcontentment、愛love、希望hopeなど)と、ネガティブな感情(怒りanger、不安fear 、心配anxiety、悲しみ sadness、恥embarrassment、嫌悪感disgust、罪悪感guiltなど)全部で18の感情の「レベル」と「多様性」をはかってみたそうです。すると、ポジティブとネガティブ両方の感情を全般的に感じている人々の方が、ポジティブな感情のみに偏っている人々よりも、落ち込んだりうつになったりすることが少なかったと言います。
またベルギーでの1,300人を対象にした調査では、多様な感情を感じている人々の方が、ポジティブ、ネガティブどちらかに偏っている人々よりも、医者にかかかる頻度も少なく、かける医療費も少なかったとのこと。
多様な感情を豊かに持つことを、Emodiversity(イーモダイバーシティー:感情多様性)と呼ぶそうです。
これらの研究では、この「感情多様性」を、「生物学的な生態系の多様性」に喩え、こんな興味深い説明がされています。
「生態系では、単一の捕食者が全体の生態系を全滅させるということが不可能な仕組みになっています。なぜなら、生物学的な多様性によって、ネガティブな出来事への弾性が高まるようになっているため。同じように、感情の多様性も、特に極度のストレスや、怒りや悲しみなどの特定の有害な感情が、『感情の生態系』を支配して全滅させてしまうことを防いでくれるんです。
例えば、長期の悲しみを体験することでうつになるわけですが、悲しみや怒りを合わせて感じることで、その人が、置かれた環境から完全に引きこもってしまうのを防いでくれるかもしれません。
またそれはポジティブな感情についても当てはまります。人は、良くも悪くもポジティブな感情の体験に繰り返しさらされることに素早く順応できます。ポジティブな感情の多様性が、そうした感情が消えてしまうことへの抵抗力を培ってくれるんです」
つまり、多様な感情を持つことで、悲しみっぱなし、怒りっぱなしといった単一の感情にがんじがらめになり、自身を追い詰め苦しめてしまう状態を防げると。またポジティブな感情にも、「喜び」だけでなく、「感謝」、「希望」など多様性があることで、例え「喜び」が続かずとも、それほど影響を受けることもなくなるというんですね。
なるほどなあと思います。
確かに、悲しんじゃだめ、怒っちゃだめ、大嫌いって思っちゃだめと「感情に蓋」をするよりも、ああ、私、悲しんでる、怒ってる、大嫌いなんだなと様々な感情を認めた方が、そうした感情を引きずらずにすみますね。
その時、それらの感情がいいとか悪いとかジャッジする必要もなく、こんな風に思っちゃうのが私なんだとそれらの感情と自身を同一化して落ち込む必要もなく。
ただ静かに見つめ認めているのなら、それらは、打ち寄せては返す波のように、いずれは引いていく。
ちなみに認知科学の分野では、感情と言うのは、言葉で繰り返し反芻しないのならば、せいぜい続いて90秒程、という説もあると言います。
そして、これはまさしく子育てにも言えることで。
今朝もですね、娘の一人が、着ていこうと思っていたジャケットを洗ったはずなのにシミが取れてないと癇癪を起こしまして。
つられて私自身も「時間のない時にいい加減にしなさい!」どっかーん、ということをこれまで何度も繰り返してきたわけですが、そして今も疲れていたりするとそう反応してしまうこともあるんですが。それでもそうした繰り返しの中でしみじみ思うのは、基本、「子供の抱えるフラストレーション、怒り、悲しみなどの感情に対し、止めなさい!と無理やり蓋したり否定するよりも、それらを認め共感し包み込んでやる方が、それほど長引かせることなく、ではどうしたらいいかなと次へ進んでいけたりする」ということ。
今朝の癇癪。ああ、何言ってるのこの忙しい時に夜用意しておきなさい!と私自身にもふつふつと怒りが湧いてくるのをまずは認めつつ、深呼吸。着ていこうと思っていたのに悔しかったね。でも他に何か解決策が必ずあるはずだから、何ができるか考えてみよう、と穏やかに誘ってみました。週末の疲れもあるのでしょう、寝ぼけ眼でこの世の終わりのような状態になっている娘、「何もできなーい、もうだめー」と叫びながらも、しばらくしたら徐々に落ち着いていきます。
ジャケットを広げ、どこにシミがついているのか一緒に検証。他のジャケットのチョイスを並べ。ここで娘は今日の気温を調べに。ちょっと冷え込んでいるから、ちょっと厚めの違うジャケットでもいいかなと気を取り直し始め。
元々私も含めて、実は家族皆かなり感情が激しかったりします。今朝の娘のように、その上完璧主義もいますし。
昨日は、5歳次男、レゴ買ってー、まだ寝たくなーいとギャーギャー泣くという出来事もありました。(笑)
そんな嵐のような日々ですが、つくづく、結局は「感情に蓋をせず、まずは感情を認め共感し包み込む」が、がつんと抑えつけるよりも「急がば回れ」で、最も効果的かなと思います。
そして、親としての自分自身、次から次へと内に湧き上がる感情に対し、怒っちゃだめだ!など「いい/ 悪い」のジャッジをせず、あ、私怒ってると、まずは認めてみる。すると、結構引きずることなく、一呼吸挟んで、目の前のことにより穏やかに対応できたりします。「怒りの感情」と「怒りの行為」はあくまでも別物。感情は、本来続かないもの、自分自身で飾りつけたり、蓋をして「なかったこと」にしない以上、そう覚えておきたいです。
生態系が多様性によってバランスを保っているように、内に溢れる多様な感情を認めつつ、全体的な健やかさを整えていきたいですね。
雪解け水で遊ぶ子。洗っても洗っても毎日泥だらけ。(笑)
それでは皆様、今日もぽかぽかな春の日を!
参考資料:
Quoidbach J, Gruber J, Mikolajczak M, Kogan A, Kotsou I, & Norton MI (2014). Emodiversity and the Emotional Ecosystem.Journal of Experimental Psychology. General PMID
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25285428
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