楽観性

子供の「楽観性」を育むためにできる7つのこと

小さな子はとてつもなく楽観的。

失敗なんてけろりと忘れ、輝く瞳で新しい扉を開けて。

夜になれば星空見上げ、微笑みながら夢の中へ。

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それでも小学校からティーンにかけて、
こうした楽観的姿勢は、次第に失われていくと言われます。
 
 
ところが、楽観性(optimism)とは、学校生活でも、社会に出てからも、「成功する=生き生きと力を発揮し続ける」ために必要な大切な要素と示す研究が多くあります。米国の貧困地域の学校をトップに押し上げたKIPPプロジェクトが重視した「7つの特性」にも、この「楽観性」が含まれていました。
 
楽観性を持つ子は、やる気に溢れ、難しい課題にも根気よく取り組み、結果多くを学び成果を出すことができる。また常に失敗にさらされる保険会社の営業マンを対象にした調査などでも、楽観的な人々の方が、よりキャリアを積んでいけると報告されています。
 
 
確かに、周りを見回しても、1つ1つの出来事に、ああもうだめだ、無理に決まってるとしゃがみこんでしまうよりも、何とかなるんじゃないかな、まだいける、そう考えられる子供や大人の方が、どんどん道を切り開き、前へと進んでいけますよね。
 
また以前「子供の成長に大切な母親の楽観性」でも紹介したように、母親にとっても「楽観性」というのは大切。子供が示すネガティブさに、逐一凹んでお先真っ暗になっていたら、子供もたまりませんが、母も持ちません。
 
 
 
ではそもそも、「楽観性」とは、一体何なんでしょうか? ここでは、楽観性というものの性質をより具体的に見つつ、ではどう「楽観性」をキープもしくは回復できるのか、見ていきたいです。
 
 
 
 

楽観的/悲観的って何?

心理学には、楽観的/ 悲観的というのは、その人が、成功や失敗をどう解釈するかに拠っているという説明があります。成功や失敗の原因を、次の3つのどれに「帰属する」かで違ってくると言うのです。
 
1.内的(自分) / 外的(自分以外)
2.安定(続く)/ 不安定(続かない)
3.全体的(広い範囲に影響を与える)/ 局所的(限られた範囲だけへの影響)
 
 
「楽観的」というのは、
成功は、
自分自身がもたらし(内的)
これからも繰り返し続くだろうし(安定)
様々な方面に影響を与える(全体的)
 
失敗は、
外からの原因に拠るところが大きく(外的)
続くことはないだろうし(不安定)
限られた範囲にとどまるもの(局所的)
 
と帰属する考え方
 
 
逆に「悲観的」とは、
成功は、
外からの原因によってもたらされ(外的)
これから続くと言うことはないだろうし(不安定)
限られた範囲にとどまるもの(局所的)。
 
失敗は、
自分自身がもたらし(内的)
これから何度もあるだろうし(安定)
広い範囲全体に影響を及ぼす(全体的)
 
と帰属する考え方。
 
 
例えば、
 
テストでいい点を取った場合:
楽観的帰属スタイルだと、
僕が頑張ったからだよな(内的)、今度も頑張ればできるだろうし(安定)、僕は頑張れがいろんなことができるんだ。(全体的)
 
悲観的帰属スタイルだと、
たまたま山があたったんだろうな(外的)、今度はこうはいかない(不安定)、今回だけ運がよかっただけだよな(局所的)。
 
 
曲がるはずの道を行き過ぎた場合:
楽観的帰属スタイルだと、
あの道分かりにくい!(外的)、まあでもあんなに入口の見つけにくい道ってそうそうないだろうし(不安定)、今度は大丈夫だよな(局所的)。
 
悲観的帰属スタイルだと、
私ってだめだなあ(内的)、こんなだったらまた間違えちゃうよ無事着けるのかな(安定)、だいたいこの前も迷ったし・・・(全体的)。
 
といったように考えるというわけですね。
 
 
 
 
 

「悲観的帰属スタイル」にはまり込んだ状態「学習性無力感」

元々うつの研究から始まったという、これら成功や失敗の「帰属スタイル」の研究。うつ状態とは、ことどとく「悲観的帰属スタイル」にはまった状態と言います。私のせいで、いつもこうだし、これからもそうだろうしと。そしてその状態は、「学習性無力感(helplessness learned)」とも呼ばれます。
 
この「学習性無力感」とは、「僕/ 私が何をしたって意味がない」ということを「学習」してしまい、その状況を改善したり、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなる状態とのこと。そして、幼少期はあれほど楽観的だった子供達も、成長につれこうした「学習性無力感」に陥ってしまうケースがあると言います。
 
これは、「学習性無力感」などと診断がつく程ではないにしても、それほど稀でなく見られるんじゃないでしょうか。冒頭の幼児に比べたら、多くの子が、僕/ 私が何をしたって、どうせ無理だしとやる気を失うという方向へ向かっていく。
 
その原因は、学校へ行き始め、学習の過程などで、すんなりいかない体験や失敗に出会い、そんな時、新しい課題をマスターできないまま諦めることが積み重なったためとも説明されます。また独裁的支配的な子育てスタイルにより、子供自らの意志を無視され続けた場合なども顕著に見られるとのこと。
 
 
 
 
 

「帰属スタイル」は変えることができる!どうやって?7つのヒント

その子がどんな帰属スタイルを培うかは、親や教師などの周り環境の影響が大きいと言われています。それでも、「帰属スタイル」は変えることができると分かっています。つまり、親や教師など周りが変わることで、その子の「帰属スタイル」を変えていくことが可能と言うのです。
 
ウィスコンシン大学のジョセフ・フォウラー氏とペネロペ・ピターソン氏の研究では、「学習性無力感(helplessness learned)」に陥った子に対し、「帰属スタイル再トレーニング」が効果的としています。
 
そのトレーニングとは:
 
1.その子のレベルに合った課題を用意し、何度も何度もできた!体験をさせる。
 
2.できた!体験を十分させた後に、少し難しい問題にもチャレンジさせる。
 
3.できた場合は、「正解だ。ってことは私/僕が一生懸命努力したんだ」
  できなかった場合は、「間違えた。ってことは、私/僕がもっと努力すればいいんだ」
  そう、唱えさせる。それを何度も何度も繰り返す。
 
 
自分が頑張れば(内的)、結果を出せる(安定)、そしてそれは色々な面に当てはめることができるという気持ち(全体的)を高め、「楽観的帰属スタイル」を培っていくんですね。
 
周りの大人も、できた場合は「頭いいね!」「なんて賢いの!」ではなく、「よく頑張ったからだね」と努力を褒めるようにします。成功は、生まれ持った才能や環境など、「自分ではどうしようもないもの」に拠るのではない、あなたの努力というあなたの手中にあるのだと教えるために。
 
 
 
その他にも助けになるのが:
 
4.脳の仕組みを教える。
脳は筋肉のように、使えば使うほど発達して、ますます難しいこともできるようになると、その子の年齢に合わせ説明します。賢さなどは、「何をしようがもう決まったもの」ではないと教えます。
 
5.何か1つでもその子が生き生きと力を発揮できる「得意」を見つける。
数学がだめでも国語、勉強がそれほどでなくても、運動なりアートなり、その子が自ら手綱を握り、羽ばたいていけると感じられるものを。多様なものさしでその子を見つめてみます。
 
6.親が考え方を体現する
子供の失敗を、その子の人格やその子自身とは引き離し(外的)、続くわけでもないし(不安定)、広範囲に当てはまるものではない(局所的)と説明するようにしてみます。
「あなたってだめねえ、こんなだったらまた同じことしちゃうわよ」ではなく、
「ピアノ弾き間違えたのは前日練習できなかったからね、練習きちんとすれば大丈夫」と。
 
子供達の小学校の社会面情緒面のカウンセラーの方が、「失敗は出来事、人ではない(Failure is a event, not a person.)」とロゴの入ったTシャツを着ていたのを思い出します。
 
7.伝記を読む、身近な周りの偉人の話をする。
偉人とされる人や、何かを成し遂げた人が、どれほど多くの苦難を何度も何度も乗り越えてきたかを教える。また周り身近にも必ずいる、倒れても立ち上がり歩き続ける「偉人」の話をしてやる。目の前の失敗も、次の成功へ繋がっている、困難を突き抜け笑顔で進む人々がいると。
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1から7のヒントを参考に、元々は溢れていた子供達の楽観性を回復させ、そして子供に関わる大人としての楽観性も、培っていきたいですね!
 
それでは皆様、今日もよい日をお送り下さい!
 
 
 
メモ:
・冒頭の小さな子というのは、そもそも、「過去」にさかのぼり、「将来」を思いということがないため、極端に楽観的とも言えますね。成長するにつれ、子供達も徐々に過去と未来に生きるようになっていく。
 
 
・こうしたデータ「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査平成26年6月 内閣府」を見ると、日本の若者は他の国々に比べて、かなり「悲観的」にも見えます。「学習性無力感」にはまっている若者が多いのではないかとも。自分が周りに影響を与えられる、自分が状況を変えていける、自分が自分の人生の手綱を握る、そんな気持ちを1人1人の若者が取り戻すことが、「どうせ無理。お先真っ暗」を吹き飛ばす鍵。
 
データにあるように、米国の若者の驚くほどの楽観性。確かにこちらは、「頑張るなら何とかなる」そう感じられる状況があるように思います。偏差値で紋切り型に区分けされたりということもなく、誰もが入れるコミュニティーカレッジででもきちんとしたスキルをつけるなら、それなりのゆとりある生活を楽しめる。それも、アメリカ経済の行方により今後変わってくるのかもしれませんが。
 
「帰属スタイル再トレーニング」のヒント3にあるような努力が、報われるシステムが整えられていけば。状況が変わっていくことを願いつつ。
 
 
 
参考資料:
‘Promoting Persistence and Self-Esteem’ Scientific Secrets for Raising Kids Who Thrive by Peter M. Vishton
 
 
 

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