昨日は、近所のいつもの散歩道を、フロリダから訪ねてきているグランマとステップグランパと一緒に2時間ほど歩き、11匹のマダニに出合い5匹のマダニに噛まれましたー!
マダニについては、去年の夏にこちら東海岸に越して以来、周りから話を聞いたり、子供達と調べたりとしてきたんですが(「米国で被害増大、「マダニ」って一体何なの&その対処法」)、まさかこれほど簡単に身体にくっついてしまうものとは、家族皆で驚愕です! こちらの自然は、まさに、マダニ・パラダイス!
日本でも年々増えているというマダニ被害(「身近に忍び寄るマダニ」NHKニュース)、今日は、マダニ・シーズン到来!ということで、昨日の出来事と、マダニに噛まれた場合どうしたらいいのか、そしてその予防法を改めてまとめます!
米国「ライム病」分布図
こちら米国東海岸北部にて、マダニが媒介する感染症の中で、最もやっかいとされるのが「ライム病」。「アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)」によると、米国では年間約30万人!が診断を受けているとのこと。これは、1982年の調査以来、約25倍だそうです!「ライム病」は、「病原媒介生物による疾患(VECTOR-BORNE, INFECTIOUS DISEASE)」としては、米国で最も急速に増大する疾患とされているんですね。
以下、以前にも載せた「アメリカ疾病予防管理センター」によるライム病が報告された地域の分布図(2014年)なんですが、
ここワシントンDC周辺、見事に、それはそれは「濃いネイビーカラー」。
つまり、ここら辺りのマダニ(deer tick)の多くが、「ライム病」を引き起こす「ボレリアBorrelia」菌を媒介するんですね。「国際ライムおよび関連疾患学会International Lyme and Associated Diseases Society (ILADS)」によると、ライム病が流行する地では、約2匹に1匹の割合のマダニが、ボレリア菌に感染しているとのこと。
昨日の散歩道での出来事
車から降り、走り周る子供達。
下の子二人は自転車で、全速力長男と競争。
いつものように、
海に出て。
湖の野鳥観察小屋で遊び。
そこへ、次女と長女がキャーキャー言いながら、「(次女の)ジャケットの背中にクモがついてるから取ってー」と、近寄ってきます。
よく見ると、確かに一見小さなクモにも見えるんですが、これって、写真で何度か見たことのある、マダニ?!
長男を呼び、「あー、マダニだね」と確認。しかも、3匹!もジャケットにはりついてます。
先を歩いていた残り組みに追いつき、報告。
「えー、本当?」という声を聞きながら、夫のジーンズを見ると、ああ、歩いてます。
小さなクモにも見えるマダニ。しかも、2匹―!
世界中をツアーガイドとして旅するステップ・グランパと、「ああ、これマダニだね」と確認。
帰宅し、身体をチェックすると・・・
そこで、皆のジャケットやズボンや頭部を点検。車に乗る前にも、身体中払い。
帰宅するとすぐに、ジャケットなど上に着ていた衣服を洗濯機に入れます。
すると長男が、くるぶし辺りを歩くマダニ発見!トイレに流します。
ちびっ子たちの洋服の中を調べ、次男の髪の毛を点検し始めると、うなじの生え際部分に、ああ、吸い付いたマダニ発見!
マダニは、まず「よし、ここから吸おうかなー」と決めると、その口部分を、寄生する動物や人の皮膚の中にのめり込ませるんですよね。そうして血を吸い続ける内に、徐々に膨らみ、初めは「鉛筆の芯の先」ぐらい小さかったのが、最後には、「ぶどう粒」ぐらいになると。
長男が、次男に吸い付いたばかりでまだまだ3ミリくらいと小さく平たいマダニを、ピンセットで抜き、密閉した瓶へ。
皆でペアになって、身体中頭中調べ、ついていないことを確認。
そして、飼い犬。一番茂み大好きですからね。予想していたとおり、2匹太ももに。ピンセットで抜こうにも、激しく嫌がるので、もうそろそろ与えようと買っておいた「マダニ除去薬」を肩甲骨の間に塗り込みます。こうした吸い付くマダニが死んでしまうという、それがしかも一ヶ月間も有効というペット用の薬が、そこかしこのスーパーなどで売っているんです。
就寝前にも確認して見ると・・・
家族皆身体中チェックしたものの、夫だけ、洋服の外側と、ボウズに近い頭部を「髪がないと簡単だねー」と確認しただけだったんですよね。彼、興奮状態の家族をこれ以上恐がらせないようにと、あまりマダニ!マダニ!と騒がないようにしていたんですよね。
就寝前に皆で、「今日はマダニ・パラダイスに足を踏み入れちゃったねー」と話していると、
毛布をかけベッドに横になっていた夫、「そういえば、パパもちょっと調べてくれるかな」と。
Tシャツをめくろうとする私に、「シャツとセーターとジャケット着てたのに、衣服の中に入り込むわけないじゃない」と呆れた声。ところがめくってみると、ああ、へその中に、吸い付くマダニがーーーー!
長男がピンセットで抜き取り。ジャーに密閉すると、ガラス側面を元気に歩き回るマダニ。それで気づいたんですけど、かなり速いんですよね、移動するの。家の中にいたとしても、結構短時間にあちらこちらに移動できそうな速度です。
その後ジャーに入れたまま冷凍にした今朝のマダニ。
左が次男、右が夫に吸い付いていたもの。
「鹿マダニ(deer tickまたはblack legged tick: Amblyomma americanum)」ですね・・・。
こうして就寝前にヘソのマダニを除去し、夫の身体中確認。皆でお休みのハグ。子供達は各自自分の部屋へ。私も夫の隣で毛布に包まります。
でもなんだか、落ち着かないんですよね。何というか、しゃかしゃかと身体の表面を何かが歩き回っているような。まあ、これだけ一日で盛りだくさんのマダニに出合ったわけだし、メンタル的なものだよね、と思いつつも、暗闇の中、念のため、身体中を触ってみます。
すると、右のアキレス腱あたりに、小さな膨らみ。まさかねえ、帰宅してすぐにも確認したし、さっきシャワー浴びたときも何もなかったし、と思いながら、風呂場に行き、電気をつけてみると、
ああ、この日一気に見慣れた、あの吸い付くマダニの姿が私のアキレス腱にー!
次男と夫の場合は、長男が引っこ抜く様子を見守れたんですが、これが自分となると、なかなか。とってくれている長男から顔を逸らし、反対方向の壁を見つめて。(笑) この日3本目の瓶に入れると、元気に歩き回るマダニ。
おそらく、夫の身体についていたものが、シーツや毛布をつたい、私の足へと来たんでしょうね。再び身体中調べ、別の部屋で就寝。
マダニが引き起こす「ライム病」以外の疾患
私の足から引っこ抜かれた瓶の中のマダニをよく見ると、背中に白い点。
これは「ローンスターマダニ(Amblyomma americanum,)」という種類で、
「鹿マダニ(deer tick)」のように「ライム病」を引き起こす菌は持っていないものの(「ローンスター」のつばには「ボレリア菌」を殺す作用もあるとか)、「STARI」とされる疾患を引き起こすことがあるとのこと。「ライム病」のように、神経系の疾患には繋がらないものの、熱や疲労感など風邪に似た症状です。それでも抗生物質により、「ライム病」に比べ急激に回復するとのこと。
(http://www.cdc.gov/stari/disease/より)
ちなみに、次女のジャケットについていたのも、「ローンスター・マダニ」でした。
またこんな報告もあります。
吸い付くことで「ローンスタ・マダニ」が保有する糖分「alpha-gal」が人体の血液内に入ると、赤身肉を食べるたびに、アレルギー症状が出るようになることがあると。この赤味肉へのアレルギーは、一生続く人もいれば、一時的な場合もあるとのこと。
吸い付く時間の長さと感染率
イェール大学医学部による研究では、マダニが口部分を寄生する動物や人に埋め込んでから24時間以内では、ほとんどウイルスに感染する確率はないとのこと。(グラフ参照)
マダニは、吸い付いてから、吸いつき部分がしっかり固定され、血を吸い始めるまでに、24時間近くかかるのだそうです。血を吸い始めると、ウイルスに感染する確率も高まるというんですね。
多くのメディカルなサイトでも、「36時間以上吸い付いていたか?」というのが、抗生物質を服用するべきかどうかの指標として、用いられているようです。
今回家族皆、吸い付いてから数時間内には除去しているので、感染の確率は随分と低くなるとも思うのですが、次のような研究もあるようです。
吸い付く時間だけでなく皮膚からの抜き取り方が大切
とはいえ、「ライム病」の専門サイトによると、吸い付いてから24時間以内であっても、ひねったり、押しつぶしたり、熱っしたスプーンを当てたり、ネールポリッシュに浸したりとしてマダニを除去しようとするなら、マダニの口部から、寄生する体内へとウイルスが排出されてしまう可能性が高くなるとのこと。(一昔前は、これらがマダニを引き剥がす主な方法だったそうです)
抜き取った後、マダニがダメージを受けておらず、元気に歩き回るのが理想なのだそうです。
正しい抜き取り方
このビデオのように、先のとがったピンセットで、吸い付き部分の根元を垂直にしっかり抜き取ること。
引き抜いたマダニは、密閉した器に入れて取っておきます。もしその後何らかの症状が現れた場合、そのマダニが菌を保有しているかを調べるためです。
それで、皮膚から引き抜いた後は?
発熱、頭痛だるさ間接の痛みなど風邪のような症状、吸い付いていた部分に的状の赤い斑点や腫れが出たら、取っておいたマダニと共に、病院へ。吸い付いてから3日から30日の間に現れるとのこと(平均7日間)。(http://www.cdc.gov/lyme/signs_symptoms/index.htmlより)
今朝小児科にも電話をして確認したんですが、対処はこれから2・3週間の内に何らかの症状が出た場合、ということのようです。
マダニに噛まれないための予防法
昨夜は、家族でマダニの予防法について改めておさらいしました。
・木の根っこに座らない。
・草むらに座らない。
・背の高い草の間を歩かない。
・道の真ん中を歩く。道端のしげみに近寄らない。
・肌を露出しない。
・明るい色の服を着る。
(これを本当に今回実感しましたよ。暗い色だと目を凝らしてもなかなか発見できないんですが、明るい色だと一目瞭然。)
・ズボンは靴下の中に入れる。
・こまめにマダニがついてないかチェックする。マダニシーズンは毎日の日課に。
・アウトドアから帰宅したら、衣服は全て洗濯機&乾燥機へ。そしてすぐにシャワーを浴び、ペアになったり手鏡を用いて頭の先からつま先まで調べる。へそ、耳の後ろ、頭部、股、膝の後ろなど見えにくい部分も。
予想をはるかに超え、マダニはこれほどまでに身近な存在。来週は、家主の手配で、庭にマダニ駆除薬が撒かれるそうです。毎年の決まりなのだとか。マダニに囲まれながらも、腹を据えするべきことをしつつ、こちらの春夏秋を楽しみます!
近々、ワシントンDCの桜についてお伝えします!桜、満開です!
それでは皆様、春の花々をお楽しみください!
追記:実は、この2日後に次男が発熱。病院へ駆け込んだ様子をこちらにまとめました。マダニに噛まれた二日後に発熱した次男と緊急処置科へ、肌にのめりこんだマダニの「正しい抜き取り方」
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