子育てスタイル

3歳までにしておきたい5つのこと

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「3歳までにこれしといた方がいいよ、そんなお勧めってある?」

先日そんな質問をいただきました。

 
 
これまでリサーチしてきたこと、そして自身の子育てを通しての実感など合わせて、私自身が思い感じることをまとめてみます。

1.アタッチメント育児

(「『アタッチメント育児』が教えてくれる『繊細さ』過去記事)
 
アタッチメント育児は、親子間の「絆(アタッチメント)」を強くするとされています。発達心理学では、赤ちゃんや子供達と、その世話をする人物との間に築かれる「絆」こそが、その子が社会面や感情面を健やかに発達させるために、なくてはならない「鍵」とします。
 
心理学者 John Bowlby氏が六十年代に唱えた「アタッチメント理論」、その後に続く発展研究を基に、小児科医Sears氏が提唱した育児法「アタッチメント育児法」、その中心となるのが、以下の「7つのBs」です。
 
1.産後すぐの数時間を赤ちゃんと共に過ごす。
Birth bonding
 
2. 赤ちゃんの泣き声等のサインには意味があると捉える。
Belief in the signal value of your baby’s cries
 
3.母乳を与える。
Breastfeeding
 
4.スリングやキャリアーなどで赤ちゃんを身体に近づけておく。
Babywearing
 
5. 赤ちゃんと同じ部屋やベッドで眠る。
Bedding close to baby
 
6.してよいこととよくないことの境界を設け、片寄り過ぎない。「何してもいいのよ」でもなく、「それはだめこれはだめ」ばかりでもなく、その間でバランスを取る。
Balance and boundaries
 
7.周りからのアドバイスや意見に常に従うよりも、親自身の本能や直感も大切にする。
Beware of baby trainers
 
といって、7つ全て実践しなければ!とお母さんが必死の形相でストレスを溜め込んでいたら、「絆を築く」どころではありません。
 
産後母子別室だったと気に病んだり、母乳育児がうまくいかないとストレスになるよりも、育児はこれからと割り切り、人工乳でゆったりとリラックスしたお母さんが傍にいる方が、子供達も心身ともにより健やかでいられます。
 
またどんなセオリーにも、反対意見というものがあるもの。「添い寝」については、「生後6ヶ月にもなれば、自分1人で眠るのを学ばせたほうがいい」といった意見も米国では大いに受け入れられています。
 
Sear博士も言うように「できる範囲で」、そして自身が納得できるものを選んで、心がけていきたいです。
 
 
 

2.豊かな刺激に溢れたリズムある環境を整える

「豊かな刺激に溢れた環境が、赤ちゃんの発達をより促す」というのは定説ですが、では「豊かな刺激」とは一体どういったものなのでしょうか。
 
こんな調査報告があります。
 
最新式の設備を整えた保育所と、設備などに恵まれない古びた建物の保育所で、赤ちゃんの発達を比べたところ、後者の保育所の方が、赤ちゃんがより健やかに発達していたとのこと。
 
なぜかと調べてみると、最新式の保育所では、暖房調節も行き渡り、クリブもボタン1つで揺らしてくれたりと、赤ちゃん達は快適に何時間も寝たままの状態でいられたそうです。一方、より設備に恵まれない保育所では、保育士がしょっちゅう抱きかかえ、話しかけ、団扇で扇いだり着衣を着替えさえたり、外に連れて行って風にあたらせたりとしていたそう。
 
この調査から分かるのは、最新式の玩具や装備に囲まれ快適に1人じっとしているよりも、めりはりのある変化のリズムの中で、人の温もりに触れるスキンシップやコミュニケーションが頻繁にある方が、大切だと言うこと。そんな後者の保育所のような環境こそ「豊かな刺激に溢れ」と言えるのではないでしょうか。
 
「人工物」は一定の動きしかしません。それに比べ、人の表情も雰囲気も、動物の仕草も、屋外の気温や湿度も、風や空の様子も、常に変化しています。そんな自然の変化を肌で感じられる「刺激に溢れた環境」にあれる時を、整えてやりたいです。
 
 
 

3.話しかけ。

赤ちゃんへの話しかけ。
分かりやすい反応がないと、なかなかこちらから笑いかけたり話しかけたりというのをついつい忘れてしまいがちです。それでも、赤ちゃんは周りの情報をスポンジのように吸収しつつ、驚異的な速度で成長しています。ベッドに寝転がったまま何1つできなかったのが、1年もすれば、歩き、話し、とできるようになるのですから!
 
たとえ反応がないようでも、話しかけるよう心がけてみます。話しかけ方については、過去記事「赤ちゃんへの話しかけ方」「他者を理解する力を育む2つの方法」も参考になるかもしれません。
 
最近、長女13歳と発達心理学の講義シリーズ(The Great Courses)をダウンロードして見ているのですが、その中で、赤ちゃんというのは、周りが思う以上に、実は色々なことが分かっているのではないかと示す実験が、いくつも紹介されていました。
 
ボールを落としてみて、下ではなく上に向かう場合、
テーブルから物を移動させ端から飛び出たら落ちるはずが、そのまま空中に浮かんでいる場合、
1つのぬいぐるみを見せ、赤ちゃんとの間に衝立をして隠し、衝立の後ろにもう1つの縫いぐるみを加えて見せ(手に持ったぬいぐるみが横から衝立の後ろに入っていく様子を見せる)、衝立をとったら、そこに2つあるはずのぬいぐるみが1つしかない場合、
 
など、生後5ヶ月のあかちゃんでも、より長くアテンションを向けると。「より長くアテンションを向ける」とは、「あれ?なんかおかしいな」と思っているということを示しています。つまり、生後5ヶ月であっても、「引力の仕組み」や「足し算」などについて、ある程度分かっているというのです。
 
赤ちゃんから、明らかに「打てば響く」ような反応が返ってこないからと、諦めたり無関心になるのではなく、どんどん話しかけてやりたいです。
 
 
幼児への話しかけ
少し大きくなってから話し掛ける際、気をつけたいのは、「すぐに答えを教えたり、仕組みを説明してやらない」ということです。本人が探索し、自らの5感を使ってあれやこれやと試す時をたっぷりもたせてやること。
 
「答えに幅のある質問(open-ended question(「子供の「考える力」を育む働きかけ」参照http://kosodatekyua.com/2014/07/kodomonokangaeruchikarawohagukumuhatarakikake/)を用い、一緒に驚き探索するといったような姿勢が、子供の好奇心を伸ばします。
 
 
 

4.のびのびと遊べる環境を整える

年齢が下であればあるほど、子供達は「遊び」を通して成長します。「遊び」の重要性については、「子供の成長と『遊び』」にまとめてあります。
 
それはしちゃだめ、あれは触っちゃだめと周りから言われ続けていたら、遊びに夢中になったり、のびのびと辺りを探索したりとはいきません。危険なものや壊れ易いものなどは手の届かないところへ置き、自由に好奇心や想像力全開で動き回れる場を整えてやりたいです。
 
 
 

5.共にいることを楽しむ

3歳までの子の世話というのは、フィジカルに大変です。チョコチョコ動き回るし、要求もだいたい理不尽だし、何かをしたいと思ったらいつでもどこでもしようとするし、好きなときに昼寝して勝手に元気絶好調に回復するし、とにかく、日常生活最低限の世話だけでもヘットヘト。
 
私自身も、幼い子を何人か抱え、もうとにかく食べて寝て、生活できるだけのスペース確保の掃除と、ある程度清潔な衣服確保の洗濯など、1日1日最低限をぎりぎり終えることで、今日も時間にエネルギーに全て使い果たしました、そんな毎日だったように思います。
 
そうして目の前の物事に、毎日必死で取り組む中で、忘れてしまいがちなのが、「子供と共にいる今のこの時を楽しむ」、ということです。
 
ああ、僕/ 私と一緒にいることを、お母さんお父さんはこんなに喜んでくれてる、そう子供達が感じられる瞬間、それほど子供達にとって嬉しいことはないかもしれません。そしてまた、そうして共に楽しんだ時こそが、大きくなってからもその子の内で支えとなる「自己肯定感」や「安心感」をパワフルに育んでいきます。
 
あれしてこれしてとマインドに荒れ狂うモノゴトを少し横に置いて。深呼吸。今この瞬間を、子供達と共に精一杯楽しむ時を、日常に散りばめていきたいです。
 
 
 
 
 
子供が小さな時分に、これをしておいた方がいい、あれをしておいた方がいい。何ていったって、シナプスの接合マックスな時期なんだから、そう焦ってしまうこともあります。
 
それでも、3歳までに大切なことというのは、実はそんなに複雑なことではないのかもしれません。
 
以上5つに見てきたことというのは、何か特別な習い事や、決められた場所や、高価な玩具や教具などが必要になるわけでもなく、全て、日頃の姿勢や心がけ1つでできることです。
 
 
そしてまた、ああ、3歳をとっくに過ぎてしまった、もう遅い遅い、なんてことも、ないのでしょう。
 
最近の神経科学の研究では、大人であっても、体験によって脳の構造は深く作り変えられると分かっています。
 
今できることから、始めていきたいです!
 
 
それでは皆様、今日も良い日をお送りください!
 
 
 

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