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人付き合い&子育てを楽しむために大切な3つのこと

018生き生きとした人付き合いを楽しむために大切なこととは?
マインドフルネスを学ぶ中で、まさしく!と感じる3つのこと、まとめてみます。
 
 

1.マインドフルであること。

相手の話を聞きながら、今日の夕食は何を食べよう、明日どんな映画を見よう、あっ、あちらから歩いてくるのは○○さんかしら? とマインドがあちらこちらに飛んでいたら、相手にも伝わるもの。
 
ホールハーティッド(全身全霊)で、目の前の相手に向き合うよう心がけたいです。
 
ちなみに、ダライラマはこうした「プリゼント状態」であるために毎日4時間の瞑想をするそうですが、そうまでできずとも、確かにマインドフルネスのプラクティスは、助けになると実感しています。
 
 
 

2.「不確かさ」を持って向き合うこと。

ギリシャ神話に、「プロクルーテースの寝台(Procrustean bed」という話があります。
 
ポセイドンの息子プロクルーテースは、人通りのよい地に宿を構え、通りがかる旅人に一晩休んでいくよう、声をかけたものでした。夜になると決まって、旅人が寝入る部屋に向かうプロクルーテース。もし旅人がベッドより長い場合は、ベッドにぴたりと収まるよう旅人の足を切り落とし、もし旅人がベッドより短い場合は、ベッドにぴたりと収まるよう旅人を重石などを使って引き伸ばしたのです。
 
この神話は、心理学の分野で、人の「基本的な発達」の説明のために用いられることがあります。
 
認知発達心理学のパイオニア、ピアジェ氏によると、人は、子供時代から周りの環境との触れ合いを通し、自らの内に「スキーマ(schemas)」を築いていくといいます。「スキーマ」とは、世の中がどのようにできているかといった仕組みのようなものです。椅子やベッドとはこういうものだ、いい人悪い人とはこういう人だといった、周りの物事を理解するための枠組みと言えるかもしれません。
 
新しい物事に出会った時、人は以下の2つの姿勢のどちらかを当てはめるといいます。

  1. 新しい物事を、既に築いた「スキーマ」に「同化」させる
  2. 既に築いた「スキーマ」を「融通」して、新しい物事に適応させる

 
これら「同化と融通(assimilation and accommodation」を、その都度使い分け繰り返すことで、子供達は発達成長していきます。
 
例えば、お絵かきの時間、お友達がエメラルド色に海を塗ったのを見て、「あらおかしい、この絵間違ってる、海は青いもの」と思ったり(同化)、でもひょっとしたらこんな色の海もあるのかもしれないなあと、既に築いた「海は青い」という「スキーマ」を広げてみたり(融通)
 
そうした繰り返しを通し、海がどういったものかという「スキーマ」は、またより確かに豊かに発達していきます。
 
「プロクルーテースの寝台」とは、この発達の基本となる「同化」面が、極端に表されています。「ベッドとはこういうものだ」という既に築いた「スキーマ」に、旅人の足を切ってまでして「同化」させてしまうのですから!
 
 
人は年を重ね、知識や体験が増えるにつれ、「同化」をますます得意とし、「融通」する力が弱まっていくとされています。目の前の新しい出来事を、膨大に蓄えられた「スキーマ」に「同化」分類するのに忙しく、今更わざわざ充実した「スキーマ」を、「融通」することをしなくなっていくというんですね。こうして人は、年を取るにつれ、どんどん、「プロクルーテース化」していくとも言えるかもしれません。
 
ところが、人付き合いでは、この「同化」に相対する「融通」こそが、大切だとされています。常に移り変わる感情や心を持った人とは、決まりきった固定的な「スキーマ」を当てはめるだけでは、とても理解し切れるものではないのです。
 
頭の中に膨大に築き上げられた「この人はこういう人」といった「スキーマ」を、ちょっと横に置いて、まるで全く初めて出会った人物かのような「劇的な不確かさ(radical uncertainty)」を持って、相手に向き合ってみます。
 
すると、その人との関係も、また生き生きと動き始めるかもしれません。
 
 
 

3.エンパシー(気持ちに寄り添うこと)。

マインドフルネス専門家で、ハーバード大学医学部教授のRonald D. Siegel氏が、見習い研修医の時分、うつ病に悩む女性の治療を担当した際、大学院で学んだあらゆるメソッドを試してみても、何ら回復に向けての糸口を掴むことができず、途方に暮れた時期があったといいます。
 
そうしてしばらくして、どんなメソッドを用いたかに関わらず、「特に難しかった」と感じるセッションの後に、女性の症状が少し軽くなっていったということに、気づき始めたといいます。それは「特に難しいセッション」では、Siegel氏自身、全身全霊で女性に向き合い、必死でその女性の気持ちを理解しようと寄り添っていたからに他ならなかったと記しています。
 
気持ちに寄り添うこと。人は、相手が少しでも自分自身を思いやり理解してくれていると感じる時、心を開き、歩き出していけるのかもしれません。
 
 
Siegel氏は、エンパシーを高めるための方法の1つとして、「愛と思いやり(Loving Kindness )瞑想」のプラクティスが有効だとしています。先にまとめた科学雑誌『Scientific American』に載せられた瞑想の研究でも(「マインドも身体もより健やかに? 神経科学から見た「瞑想」の可能性」参照)、この瞑想が、「寛容さやエンパシーを司る脳の箇所を活性化させる」と紹介されていました。マインドフルネスのプラクティスとセットで用いられるこの「愛と思いやり瞑想」、近年、その需要がますます高まっていると言います。
 
方法は、しごくシンプルです。静かに座るなどして、他者に向け、自分に向け、愛とピースなどについての思いを込めるといったものです。静かに目を閉じ、あなたがハッピーでありますように、あなたがピースフルでありますようにと、他者と自らの幸せを願う時を持ってみるということです。
 
もし興味ありましたら、お試しください!
 
 
 
 
これら「3つのこと」とは、「子育て」にも、大いに当てはまるとつくづく思います。
 

1.マインドフルであること。

嵐のような毎日に、何かの片手間に子供達に向き合うこと、私自身もしょっちゅうです。それでも3分でも5分でも、今はこの子にホールハーティーッドで向き合うといった時を、日常生活に散りばめてみます。それだけでも、随分違ってくると感じています。
 
 
 

2.「不確かさ」を持って向き合うこと。

「この子はこういう子だ」、「こういう子が理想の子だ」といった自身のマインドの中の像を当てはめてばかりでなく、目の前のその子自身に向き合ってみます。
 
この子の弱みはこうで強みはこうでと身近にいる大人が把握することは、その子を伸ばすために確かに大切なこと。それでも時に、それこそまるで初めてその子に出会ったかのように、目の前のその子を眺めてみます。
 
大人でさえ、出来上がった「スキーマ」だけでは理解しきれないほど複雑なもの。ましてや、1日1日成長し続ける子供ならば、昨日築いた「スキーマ」でさえ、もう古びて当てはまらないなんてこともあるものです。
 
頭の中の像に合わせて足を切り落としと、「プロクルーテース化」しつつある自身を見直し、時に「不確かさ」を持って、向き合っていきたいです。「子供を服に合わせるのでなく、子供に合った服を仕立てて」いくよう、心がけたいです。
 
 
 

3.エンパシー(気持ちに寄り添うこと)。 

悲しみや葛藤や、ふんふんと気持ちに寄り添って話を聞いているうちに、子供達自ら具体的な解決法を見つけて、また笑顔で歩き始めていくこともあるもの。あ、そうか、この子はただ傍にいて、聞いて欲しかったんだなと思ったこと、これまで何度あったでしょうか。
 
子供: もうまいっちゃうよ、あの音楽の先生ホントむかつく!
ママ: 先生に対してそんなこと言うもんじゃないでしょ!またあなたが何かしでかしたんでしょ!
子供: 何よママぜんぜん分かってない!もういいわよ!
 
となりがちなのですが、
 
子供: もうまいっちゃうよ、あの音楽の先生ホントむかつく!
ママ: そう。(動揺する子供の気持ちに寄り添いつつ)
子供: ・・・。だってね、教科書を忘れたからって、トロンボーンの練習させてもらえなかったの。
ママ: あら、昨日あんなに練習してたのにね。
子供: そうなの!普段教科書学校に置いてあるのに、たくさん練習しようと思って持って帰って頑張ったのに。
ママ: それは残念。
子供: うん。 ・・・・・。 今度は教科書忘れないから。
ママ: そうよね。せっかく頑張った練習の成果、見てもらいたいよね。
子供: 練習終わったらすぐに鞄に入れるから。
ママ: それはいい考え!
子供: ママ、ありがと。
 
実際にあった流れですが、エンパシー以外、大して何もしてないのに、「ありがと」とまで。
しみじみ思います。
子供達は、気持ちに寄り添ってもらうことで、落ち着き安心して、自分なりの道を見出し、自分の足で歩き始めていくんだなあと。
 
 
 
 
人付き合い&子育てを生き生きと楽しむために大切な3つのこととは?
 
1.マインドフルであること。
2.「不確かさ」を持って向き合うこと。
3.エンパシー(気持ちに寄り添うこと)。
 
日々、思い出していきたいです!
 
皆様、今日も素晴らしい日をお送りください!
 
 
 
参考資料:
‘Lecture 6: Attention and Empathy in Relationships’ “The Science of Mindfulness: A Research-Based Path to Well-Being” by Ronald D. Siegel,  The Great Courses
 
 
 

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