マインドフルネス

マインドフルネスが教育分野にもたらすメリット

009マインドフルネストレーニングがひとまず終わりに近づいているんですが、今日は、マインドフルネスが教育分野でどんなベネフィットをもたらしているのかを、ざっとまとめてみます。
 
まずは、教育分野に広がるまでの流れを、ヘルスケア→メンタルヘルス→教育分野の順番にみていきつつ。
 
 

「マインドフルネスを基にしたプログラム(Mindfulness-Based Interventions)」の広がり

 

ヘルスケア

・70年代にマサチューセッツ大学教授ジョン・カバット=ジン氏が、宗教色を排して始めたMBSR(マインドフルネスストレス低減プログラム)は、今では、米国の主要な都市の病院やヘルスケアセンターならどこでも受けられるほど行き渡っている。
 
・その効果については、1983年にはたった3つの科学的研究があったのみだったのが、2013年には1,300以上の研究が報告されている。それらの研究により、ストレス緩和、慢性的痛み、記憶力改善、免疫力を高める、中毒症状緩和など、全体的な健やかさ(well-being)を高めるとする科学的根拠が示されている。
 
・過去10年間には、ハーバード大学神経心理学者Britta Holzel氏などによる、神経生物学的な効果が注目されている。記憶処理、感情統制、自己意識、知覚に関わる脳の箇所でのグレーマターの著しい増大など、脳の仕組みや機能が変化すると報告されている。
 
 
 

メンタル・ヘルス

・90年代初め、Mark Williams氏 John Teasdale氏 Zindel Seagal氏により、マインドフルネス認知療法(MBCT)が開発され、今では、英国などのヨーロッパの国々で、国の機関がうつ病再発防止に効果的と承認している。
 
・うつ病再発防止に、抗うつ剤と同じくらい効果的という研究も最近発表されている。
http://kosodatekyua.com/2015/04/mindfulnessantidepressants/
 
・ティーン向けのMBSRワークブック著者Gina Biegel氏が2009年に率いた研究では、メンタルヘルスのティーン(14-18歳)患者に8週間のMBSRを施したところ、不安感、うつ、身体的苦痛(somatic distress)、自己評価の上昇、睡眠改善が見られたとのこと。
 
 
 

教育分野

80年代後半からMBSRのバックグラウンドを持った人々が教育分野でも試みを始めている。2000年頃までは、教師へのトレーニングが主。その後、生徒自身へのトレーニングにも広がりつつある。
 
現在の米国の学校には、いじめ防止プログラムや葛藤解決法など、様々な社会面情緒面を整えるプログラムがある。マインドフルネスは、それらと効果を競うものではなく、それらを補足するもの。より直接的に神経系に働きかけることにより、それらのプログラムをより有効に用いることができる土台を整えるといった位置づけ。
 
生徒へは「2つの支柱」を培うアプローチが取られる。
1.アテンション・集中力
2.衝動性や感情を自ら調整する力
 
結果、多くの研究が以下のような効果を報告している。
・集中力が高まる
・落ち着く
・ストレスや不安感の減少
・衝動性コントロールの改善
・自己意識の改善
・難しい感情へ対応するスキル向上
・共感力や他者理解が高まる
・葛藤解決スキルの発達
 
 
神経生物学的には、ストレス、脅威、不安、怒りなどは、「決断を下す」といったより高次の脳の働きを妨げることが分かっている。マインドフルネスは、こうして「妨げられた状態」からシフトし、「本来の脳の働き」を取り戻す具体的なツールやスキルを培うことを目指している。
 
例えば以下のような方法を用いて:
・強い感情にラベリングする(名前をつけることで大人しくさせる)。
・聴覚や視覚へ導き拠り所として、「妨げられた状態」からフォーカスをシフトする。
・呼吸の感覚を様々な方法で身につけることにより、地に足をつけ落ち着く感覚を身につけさせる。
 
 
 
 
マインドフルネスは「補足」として用いていくというの、とてもよく分かります。様々な指示が入り易く、本来の力を発揮し易い脳の状態へと調整するスキルを身につけさせていく。
 
こちらの学校では、講堂やクラスルームで生徒が落ち着かないとき、「静かにしなさい!」と声を荒げるよりも、先生がすっと人差し指を立てた手を挙げ、それを見た生徒が真似して一斉に人差し指を立て手を挙げたり、先生が手をパンパパパンと叩いて、生徒もそのリズムを真似て叩き静かにさせる、ということをすることがあります。
 
これがマインドフルなんです。言葉で「~しなさい!」というより、身体の動きへとアテンションを導き、落ち着かせていく。場の雰囲気がすっと変わります。そしてアクティビティーそのものを提供するというより、どんなアクティビティーであれ、それらを遂行し易い状態へと整えるという位置づけなんですね。
 
 
私自身のティーチャートレーニングも終わりに近づき、少しずつ実践経験を積み重ねていこうと思っています!
 
今はひとまず、引越しでてんやわんやですが、こうした大きく変化し移り変わりの激しい時こそ、マインドフルネスの実践が私自身にとっても子供達にとっても、助けになっているなと感じています。
 
 
それでは皆様、新しい週、素晴らしい日々をお送り下さい!
 
 
参考資料:
Mindfulness School(60以上の国の医療関係者、ソーシャルワーカー、教育関係者をトレーニングする)によるまとめ。
 
 
 

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